見どころが多すぎる多摩動物公園

ここは東京・日野市の多摩動物公園。日野台地、多摩丘陵の地形を生かして作られた、自然あふれる動物園だ。

多摩動物公園の正式名称は、東京都多摩動物公園。1958年、上野動物園(正式名は東京都恩賜上野動物園)の付属動物園として開園した。

  • 写真提供:東京動物園協会

多摩エリアでは、遠足の定番地だが、「いろいろ見たが、特に記憶がない」という話も耳にする。それは、広すぎて、見どころが多すぎるから。

これから初めて行きたい人も、再訪の人も、計画的に見ることをお勧めしたい!

無料のスマホアプリで効率的に見よう

東京都には、多摩動物公園と並び、恩賜上野動物園、井の頭自然文化園、葛西臨海水族園と、全部で4施設の動物園・水族館がある。

2021年10月5日から、「都立動物園・水族園 見どころデジタルマップ」が無料公開されているので、これを参考にしながら回るといいだろう。

  • 筆者のスマホ画面(iPhone)

あるいは、「今日はトラやライオンなどの肉食動物だけ見よう」「今日はアジアの動物だけを見よう」など、テーマを決めるのも良い方法だ。

名物のライオンバスがパワーアップ

歴史ある動物園だが、園内のあちこちで工事が進行しており、新しい見どころも続々誕生中。

最近のトピックは、「ライオンバス」のリニューアル。ライオンの間近までバスで行けるライオンバスのステーション(乗り場)とライオン放飼場の整備工事が終わり、2021年7月3日にリニューアルオープン。

  • 写真提供:東京動物園協会

ライオンは常に活発に動いているわけではないが、「9時30分~10時30分ごろだと、活発に動いているところが観察できる可能性が高い」とのこと。

ライオンは自然界では「プライド」という群れを作って暮らしている。そうした生態を伝えるため、ライオン舎にはさまざまな展示の工夫がなされている。

動物園の案内板では、写真や色付きイラストをよく見かけるが、こちらはあえて色を使わないデッザン画。ライオンの筋肉の付き方、動き方などを見事に描写している。動物好きをぐぐっと引き込む説明文章も良い。

タスマニアデビルが見られるのは日本でここだけ

ここにしかいない動物にも、ぜひ注目してほしい。

こちらは、哺乳(ほにゅう)綱フクロネコ目フクロネコ科のタスマニアデビル。タスマニア島だけに分布する。なんとコアラやカンガルーなどと同じ有袋類で、メスは育児嚢(のう)と呼ばれるポケット状の器官で子を育てる。

  • 写真提供:東京動物園協会

ずんぐり体型で頭は大きく、あごも強そう。体の色は黒~黒茶色で、胸や腰に白い模様が入る個体もいる(模様のない個体もいる)。

動物園スタッフに、タスマニアデビルの魅力を聞いてみた。

「『夜に大きな唸り声を上げながら、死体をめぐってケンカをする獰猛な動物』というイメージもあるようですが、自分より大きな家畜などは襲いません。死んだ動物に複数のタスマニアデビルが集まってケンカをしつつも引っ張り合って、結果的には分け合って食べます。あごの力が強く、骨も皮もかみ砕いて食べることもあり、恐ろしい動物、デビル扱いされていますが、本当は慎重でおとなしい動物です。人家の近くに巣を作ると、靴や洗濯物を持って行ってしまうなど、好奇心が旺盛なところもあります」

とのこと。タスマニアデビルは見れば見るほど不思議で、おもしろい動物だ。その他、園内ではキリン舎立て替えなども進行中。進化する多摩動物公園から目が離せない!

扉画像提供:東京動物園協会