近年はクルマにとどまらず、バイクにも「EV化」(電動化)の流れが押し寄せている。電動化すると、バイクはどう変わるのだろうか。2022年にEVバイク3モデルを市場投入する予定のカワサキが「研究車」を公開したので、実車を確認してきた。
EV化でもギア操作は残る?
CO2を排出しない観光先進都市「ゼロエミッション東京」の実現を目指す東京都は、2035年までに二輪車(新車販売)の100%を非ガソリン化するとの目標を掲げている。そうした中で、より多くの人にEVバイクを知ってもらいたいと開催したのが「EVバイクコレクション in TOKYO 2021」だ。
国内外のメーカーが出展する中で、2022年にEVバイク3モデルの市場投入を予定するカワサキのブースでは、プロトタイプの「EV研究車」を見ることができた。
2000年代初頭からEVバイクの開発を進めているカワサキが、数あるEV化のパターンを研究する目的で製作したのが、この「EV研究車」だ。2019年の「EICMA」(イタリア・ミラノ)で初公開した際にも注目を集めたが、実際にさまざまなデータ収集にも活用しているそうで、まさにEVバイク開発の最前線ともいうべきモデルだ。その風貌は「ニンジャ250」に酷似しているが、実際にはフレームから製造しているという。
見た目の大きな特徴は、マフラーがないこと。やはり、EV化によってバイクの魅力のひとつでもある走行音は一切なくなってしまうのだろうか。
カワサキの担当者は「何も聞いていない」と前置きした上で、「音に関するユーザーからのお声は多く頂戴しており、貴重なご意見としてうかがっております」としていた。もしかすると、市販モデルには何かしらの工夫を施すつもりなのかもしれない。
一方で、注目したいのがクラッチレバーとギアチェンジペダルを備えていることだ。
クルマで考えると、モーターで走る電気自動車(EV)にマニュアル車はない。バイクも同じかと思ったのだが、どうやらギア操作(あるいは、それに似たもの)が何かしらの形で残る可能性はあるようだ。
現状はあくまで研究用であり、市販EVバイクが必ずしも搭載するわけではないというが、ギアを操作してマシンの性能を引き出すのはライダーの醍醐味のひとつだ。EV化してもそうした楽しみが残るのでれば、ライダーにとっては歓迎すべきことだろう。