テレビ東京で生まれた『テレビ演劇 サクセス荘』シリーズがまさかの映画化となり、12月31日より『映画演劇 サクセス荘』が全国で公開される。同作は都会の片隅にひっそりと佇む一軒のアパート「サクセス荘」を舞台に、芸人、漫画家、占い師、料理人など個性豊かな住人の物語を描いている人気シリーズで、「本番一発勝負」が特徴。
映画でも同じく一発撮りで勝負し、住人である和田雅成、高橋健介、高野洸、高木俊(※高ははしごだか)、黒羽麻璃央、spi、立石俊樹、有澤樟太郎、荒牧慶彦、定本楓馬、玉城裕規、寺山武志、小西詠斗、唐橋充(劇中部屋番号順)に加え、ゲストとして佐藤流司、北園涼、橋本祥平、北村諒がセレブ集団・通称S4として登場する。今回は、1期から出演する高木俊と、メンバー最年少・小西詠斗にインタビュー。それぞれの立場から見た作品の面白さや、今回の『映画演劇』の撮影についてなど話を聞いた。
■「怖いな、僕にできるかな」と…
——映画化決定ということに誰もが驚いたと思いますが、まずは企画を聞いた時の感想をぜひ教えていただけたら。
小西:皆さんが驚いたように僕も映画化と聞いてものすごくびっくりしましたし、そこからずっと「怖いな、僕にできるかな」と思っていたんです。でも今までのメンバー、新しいメンバーが一緒になって盛り上がって、想像していたほどの緊張はなく撮ることができて楽しかったです。
高木:最初に聞いた時は、尺が1番気になりました。「70分くらい」と聞いたので、いつもの2倍すぎくらいの量か、と考えていたのに、実際やってみたら95分になっていたんですよ。今までドラマのように20〜30分を一発で撮ることも結構大変だったのに、95分の映画を一発で撮るって。集中力が途切れないように苦労しました。
——映画を一発で撮るというのは前代未聞なのではないでしょうか?
高木:舞台の本番に近い感覚があったんですが、稽古ができるわけではないから、怖かったです。でも撮影に入ってみれば皆いい意味でノリがよくて、本当に楽しい現場でした。
——特に高木さんは1期から出られてて、イベントなどもほぼ出席されていると思うんですけど、「ここまで来たか」みたいな感慨はあったんですか?
高木:何かのイベントの時に「劇場版ができたらいいね」と話したことがあったんですが、「やりたがってたら、本当に来ちゃったよ」と思いました(笑)。本当に一発で撮るのかなと思ったら、本気でしたね。稽古ができないのに撮影の日に動きも全部確認して、心配でしたけど、意外とできちゃいました。
——今回ドラマから映画になり、環境が変わったりとか、待遇が変わったりとか、そういうことがあったりはしましたか?
高木:待遇は変わらず、優しくしていただいています(笑)。映画にあたってゲストさんがいるのでその初絡みが刺激的でした。
小西:セットが2つあって、僕は普段とは違うS4のマンションにいることが多かったので新鮮でしたし、S4の方たちのお芝居をじっくり見ることができて楽しかったです。あと、サクセス荘のリビングがとても広くなっていました。ちょっと映像で伝わるのかがわからないですけど、とっても広くなっています。
——ゲストのS4の登場についてはいかがでしたか?
高木:それぞれが主役級でやって来ている人たちなので、持ってくる役作りだったり、芝居のプランだったりが面白くて、今までにないキャラクターばかりでした。サクセス荘のメンバーがこんなにいるのに、まだ新しいキャラクターたちが登場できる余白があったんだと思って、さすがでした。
小西:僕が『サクセス荘』に初めて出演した時は本当に何もできなかったのに、S4の方々は「緊張する」と言いながら完璧に演技をしていて、すごい方々ばかりなんだと改めて思いました。4人とも、役として本当に怖かったんです! そのお芝居を見て「僕、この先大丈夫かな」と思いました。
高木:どういうこと!?
小西:皆さんみたいになれる気がしなくて……。先輩方を見て、これからも頑張っていかなきゃいけないんだなとすごく思いました。
高木:詠斗は自信ない感じで言ってるけど、全然そんなことなくて。お芝居が始まったら堂々としているし、詠斗にしかできないプランをちゃんと持ってきてくれる。若いからこそできることでもあって、他の人がそれをやるとあざとくなったりするんだけど、詠斗だからできるお芝居を見せてくれるのが、『サクセス荘』にとってすごくいいなと思っていました。内緒ですけどね、詠斗には(笑)
小西:ありがとうございます(笑)。僕は、いつもしゅんりーさんがすごくてビビっています。皆が欲しいと思っている感じでお芝居を持ってきてくださるし、テンポ感もアドリブも本当にすごいんですよ! 脚本を限界までふくらませてくださっていて、僕の想像をはるかに超えることばかりです。寺山さんとの掛け合いも本当に面白いですし、ああいう風にお芝居できたら楽しいだろうなと思っていました。
高木:ありがとうございます。
小西:舞台上でもぜひ共演させていただきたいです。間近で見てみたいです。
高木:ほんとだよね。舞台上で共演してみたい。
■ゲストのインパクトに驚き
——ゲストでもサクセス荘メンバーでも、「この人のここに注目してほしい」というところがあったらぜひ教えてください。
小西:流司くんが怖いですよ。本当に怖いです。
高木:今までの『サクセス荘』にないテイストのお芝居感。
小西:本当に責められています。
高木:サクセス荘メンバーとS4の対立を見せる上で、振り切って悪い方で来てくれるのは、すごく良かったですね。いつものサクセス荘みたいな感じのノリだとたぶん緊張感が出なかったと思うんですけど、S4のメンバーの役作りのバランスがすごく良かったので、その辺の迫力とかも皆様には楽しみにしてて欲しいです。
——小西さんはミュージカル『ジェイミー』でちょうど佐藤さんと共演されていたと思いますが、今作では怖かったんですか?
小西:プライベートでは、めちゃくちゃ仲良くしていただいています。本当に面白い方で、舞台中も暇があれば2人で芝居をして遊んだりしていました。流司くんが出演するとなった時に、皆でアドリブとかもぶっこんでくるんじゃないかと予想していたんですけど、流司くんは「S4のリーダーとして、変わったことをやりすぎると物語的に良くないんじゃないか」と言っていて。台本通りに真面目に演技をして、たまに入れられるところはアドリブも入れて、しっかりS4のリーダーという役づくりをされていました。舞台の公演期間中に映画を撮ったので、2人で台本を合わせて練習もできましたし、楽しかったです。流司くんがいてくれてよかったです。
——改めて、お二人は『サクセス荘』シリーズに出演したことでの変化などはありましたか?
高木:黒い服ばかり着ていたんですけど、ピンクも悪くないな、意外と着れるのかなと思ってきました(笑)。最近、色味のある服に挑戦しようかと思っています。
小西:僕も銀色の服、挑戦してみようかなと思いました。
高木:ほんとかよ?(笑)
小西:すみません(笑)。『サクセス荘』を見てイベントに来てくださるようになった方も増えているので、とても影響を感じました。あとは、他の作品の現場に行っても、『サクセス荘』ほどは現場で緊張しないことも増えたので、メンタル的にもちょっと強くなったかもしれないです。本当に色々鍛えられて。空間の使い方も、舞台でも映像でもいかせると思うので、本当に勉強になります。
——ちなみに、今回映画化ということで心に残ってる映画作品などはありますか?
高木:ずっと好きなのが『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズで、あれこそエンタメの完成形かな、と。僕が生まれてすぐの作品なんですけど、今でも驚くようなクオリティの高さとストーリー性、そして編集の仕方も本当に良くて、僕はああいうエンタメを作っていきたいとずっと思っています。でも、この『サクセス荘』もそういうエンタメで、何か通じるものがあるので、僕はもう『サクセス荘』は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だと思ってます!
小西:(笑)
高木:この作品、タイムマシーンとかも出てきますからね(笑)
小西:僕が今までで1番見た映画は『ラ・ラ・ランド』です。本当に好きで。考えれば考えるほどあの作品はすごいです。『サクセス荘』も映画になると「これまで見ていなかったけど面白そう」と見にきてくださる方もいらっしゃると思うんです。そういう方が見たらどういう感想を持つのか、すごく気になります。「一発撮りの映画がある」と見てみて、どう感じるのか、想像がつかないですね。皆さんがどういう感想を持っていただけるのか、とても楽しみです。
■高木俊
1981年3月17日生まれ、石川県出身。2003年、ミュージカル『テニスの王子様』出演で注目を浴び、舞台、声優など幅広く活動する。2005年より宮野真守とユニット「SMILY☆SPIKY」も結成。近年の主な出演作にミュージカル『黒執事』シリーズ(13年〜)、ミュージカル『憂国のモリアーティ』シリーズ(19年〜)、舞台「紅葉鬼」シリーズ(19年〜)、舞台『錦田警部はどろぼうがお好き』(21年)など。
■小西詠斗
2000年1月21日生まれ、広島県出身。2017年度の男子高生ミスターコンで、モデルプレス賞を受賞。モデルとして活躍しながら、恋愛リアリティショー『白雪とオオカミくんには騙されない』(19年)出演で話題となる。主な出演作にドラマ『W県警の悲劇』(19年)、真夜中ドラマ『どんぶり委員長』(20年)、舞台『刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち』(19年)、『地縛少年花子くん-The Musical-』、ミュージカル 『黒執事』〜寄宿学校の秘密〜、ミュージカル『ジェイミー』(21年)など。2022年は歌劇『桜蘭高校ホスト部』出演を控える。
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