「鬱陶しい」は否定的な意味合いが強く、ネガティブなシーンでたびたび見聞きする言葉です。見たことはあるものの、読み方や意味を知らないという人もいるのではないでしょうか。
本記事では「鬱陶しい」の読み方や意味、語源などをくわしく解説。あわせて類語・言い換え表現や英語表現も紹介します。言葉を正しく使えるよう、しっかり学んでいきましょう。
鬱陶しいとは
「鬱陶しい」はネガティブなニュアンスの言葉で、読み方は「うっとうしい」です。物事の様子や性質などを表す形容詞であり、派生言葉には名詞の「鬱陶しさ」、形容動詞の「鬱陶しげ」などがあります。
鬱陶しいの意味
鬱陶しいは、「邪魔で、うるさい」「煩わしい」ことを意味する言葉です。目の前などから排除したい物事に対して使います。人・動物やモノだけでなく、天気などの形がないものも対象になります。
そのほかの意味
「鬱陶しい」は、「不快感」や「重苦しい気分」といった意味も持ちます。「心がふさぎ込んで晴れない」「身体や気分がすっきりしない」様子を表す言葉として使われることもあるので、あわせて覚えましょう。
鬱陶しいの語源
鬱陶しいの語源は漢語の名詞である「鬱陶」。読み方は「うっとう」で、「心がふさぎ、晴れない」ことを意味します。「しい」の部分は接尾辞と呼ばれ、動詞または名詞の最後につくことで言葉自体を形容詞に変えるもの。「腹立たしい」「なれなれしい」などと同じと考えるとわかりやすいでしょう。
「鬱陶しい」の「鬱」は、漢字1文字だけで「気分がこもる、ふさがる」ことを指します。ほかにも「草木が生い茂る」という意味があるので、あわせて覚えてみてください。
「陶」は「もやもやして晴れない」ことを表す漢字です。ほかには「焼き物」「人格を練る」「打ち解け、楽しい」といった意味を持ちます。
読み方・漢字に注意
鬱陶しいの正しい読み方は「うっとうしい」ですが、「うっとおしい」と読んでいる人もいるのではないでしょうか。声に出して読むと「うっとおしい」にも聞こえるので、間違って覚えてしまう人も多いようです。しかし、「うっとおしい」は誤った読み方。パソコンやスマホで文字入力しても変換できないので注意しましょう。
また、書く場合には鬱という漢字に注意。画数が多く複雑に見えるため、間違えやすい漢字です。この機会に読み方も漢字も正しく覚えてみてください。
鬱陶しいの類語・言い換え表現
鬱陶しいには、似たような意味を持つ言葉が多く存在します。複数の類語・言い換え表現を覚えておけば語彙力が高まり、さまざまな場面で役立つかもしれません。ぜひ読み方や意味とともに類語・言い換え表現も覚えましょう。
煩わしい
「煩わしい」は、「心が悩まされ、うるさい」ことを指します。品詞は「鬱陶しい」と同じ形容詞です。「病気」や「物事が入り組んでいる様子」を表すこともあります。
・今日は天気が悪く、外出するのが煩わしい
・周囲の人と時間をかけて関係を築くのは煩わしい
鬱陶しいと煩わしいは非常に似た意味を持つので、言い換え表現として違和感なく使えます。しかし、厳密にはニュアンスなどが少し異なるので注意が必要です。鬱陶しいは、限度を超えたものに対して、排除したいほど嫌気がさしたときに使います。一方、「煩わしい」は自分自身に負担がかかり、面倒だと感じる物事に使います。使用する際は適切かどうか確認しましょう。
うんざり
「うんざり」は「心の底から嫌になる」という意味の言葉です。何度も繰り返されて飽きた物事に対して使います。また、「期待外れでがっかりしたこと」や「飽和状態になること」という意味でも使えます。
・いつも同じところでミスをしてしまう自分にうんざりする
・また同じ場所へ行かなければならないことにうんざりしている
面倒くさい
「面倒くさい」は、「億劫」「煩わしい」など、「手間がかかること、困難であることを考えると気が進まない」ことを表す言葉です。
・目的地が遠すぎて、移動するのが面倒くさい
・来週から面倒くさい仕事に取り掛からなければならない
不愉快
「不愉快」は「楽しくないこと」や「嫌な気持ちになること」を指す言葉です。「鬱陶しい」と同じく「不快感」という意味も持ちます。
・人を不愉快にさせる言葉は決して使うべきではない
・いつも約束をドタキャンされて不愉快だ
うざったい
「うざったい」は、「煩わしい」や「邪魔」など不快な意味を表す言葉です。若者言葉である「うざい」のもとになっている言葉でもあります。
・ルールがあまりにも厳格すぎてうざったい
・中学生のころは、親の言うことがうざったいと感じていた
鬱陶しいの英語表現
ビジネスシーンにおいて英語で文書を作成する機会がある人もいるはず。単語選びに迷うことなくスラスラと書くことができれば、調べる時間が短縮できるでしょう。ここでは、鬱陶しいの英語表現を紹介します。
gloomy・depressing
「鬱陶しい」を「重苦しい」というニュアンスで使うなら、「陰気」を指す「gloomy」や「depressing」が適切でしょう。
・It's a depressing feeling, a string of bad experiences. (嫌なことの連続で鬱陶しい気持ちだ)
・I'm sick of this depressing(gloomy) weather. (鬱陶しい天気で嫌になる)
annoying
「煩わしい」や「邪魔なもの」などの意味を込めたいときには「annoying」が合うでしょう。
・My bangs have grown long and annoying. (前髪が伸びて鬱陶しい)
・It's annoying to get DMs every day. (毎日DMが送られてきて鬱陶しい)
鬱陶しいの使い方
鬱陶しいは、具体的な物事だけでなく抽象的な物事にも使える言葉です。具体例を参考にしながら使い方を学んでいきましょう。
具体的なものに対する使い方
鬱陶しいは、「邪魔」や「煩わしい」と感じる人やモノに対して使うことができます。
・髪の毛が中途半端に伸びてしまい、非常に鬱陶しい
・小さなことにも文句をつけてくる鬱陶しい隣人
抽象的なものに対する使い方
天気や気持ち、出来事など実際に形のないものを対象とするときも、使い方に変化はありません。
・鬱陶しい雨はいつになったら止むのだろうか
・立て続けによくないことがあり、鬱陶しい気分だ
鬱陶しいという言葉を正しく使おう
鬱陶しいは、「邪魔なもの、重苦しい気分」を言い表す言葉です。正しい読み方は「うっとうしい」であり、「うっとおしい」は誤った読み方なので注意しましょう。人やモノのほか、天気や気持ちなど形のないものに対しても使用できます。
また、鬱陶しいには「煩わしい」や「うんざり」、「面倒くさい」など似た意味を持つ類語表現が複数あります。語彙力を高めるためにも、あわせて覚えてみてはいかがでしょうか。