ダイハツ工業は軽商用車「ハイゼット トラック」の荷台を使った新規事業「Nibakoプロジェクト」を始める。軽トラの荷台に設置できる箱をクルマと一緒にリースし、移動販売に使ってもらおうという取り組みで、サービス開始は2022年半ばごろの予定。ダイハツが「荷箱」(Nibako)に見出したチャンスとは?

  • ダイハツ「Nibakoプロジェクト」

    軽トラの荷台に商機? ダイハツの「Nibakoプロジェクト」とは

対面・移動販売を始めやすく

従来の移動販売車は作るのに改造届けが必要で、特装車両となるため価格も高額になりがちだった。ダイハツは「Nibakoプロジェクト」を始めることで「ユーザーに気軽に商売を始めてもらいたい」(ダイハツの説明員)としている。

軽トラの荷台に設置する移動販売ツールの「Nibako」(荷箱)は、商品の移動販売に使用できる。ちなみに、キッチンカーのように中で調理することはできない。今は実証段階なので外部で作った箱を使っているが、将来的には内製し、大量生産でコスト削減を図る方針。まずは軽トラと箱のセットでリースを始めるものの、箱だけでのリースが可能かどうかも検討していく。リースの料金は「レンタカーに毛の生えたくらい」(ダイハツの説明員)に抑えたいとのこと。箱だけを販売することは現時点で考えていないという。

  • ダイハツ「Nibakoプロジェクト」
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  • 箱の側面がガルウイングで開き、即座に店舗になる。内部には商品の陳列・広告など幅広い用途で使用できる間仕切りが。業種に合わせて箱の内装を変更することも可能だ

ダイハツでは移動販売の「ソフト面」も支援していきたいとしている。例えば「スタートアップサポート」というサービスでは、全国に広がる販売店のネットワークを利用し、Nibakoユーザー(商品を売りたい人)と顧客(あるいは商品が売れそうな場所)のマッチングをサポートすることなどを想定している。商品の陳列や広告といったブランドづくりにもノウハウを活用できないか検討しているそうだ。

  • ダイハツ「Nibakoプロジェクト」
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  • 「Nibakoプロジェクト」の実証実験で京漬物の「弘悦」が作った移動販売車

Nibakoを自分でつけたり外したりすることはできないが、ディーラーに持ち込めば割と簡単に載せおろしが可能とのこと。例えば普段は軽トラとして農業に使用し、商品を移動販売する際にはNibakoを取り付ける、というような使い方もできそうだ。

今の時代、手軽にモノを売る商売を始めるならネットショップを選べばよさそうなものだが、Nibakoを使えば実際に顧客と話をし、商品を見てもらうというフェイストゥフェイスの販売業が始められる。ネットショップが林立し、潜在顧客と出会うことも難しそうな今だからこそ、かえって対面で行う商売に可能性があるのかもしれない。