ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパンは12月16日、転職実績動向の分析を行い、2022年の日本国内の転職市場における10大トレンドを発表した。

現在、日本は経済活動を徐々に再開させ、回復と成長を見据えた取り組みを強化している。その結果、すべての業界ではないが、多くの企業で採用者数の大幅な増加が予想されている。同社が予測した国内転職市場の10大トレンドは下記の通り。

1.サイバーセキュリティ人材に需要が集中

新型コロナウイルス感染拡大に伴うサイバー攻撃の増加により、あらゆる企業がセキュリティ問題について真剣に取り組むべき状況となっている。この分野での転職には、セキュリティ情報イベント管理(SIEM)の経験や、技術的な職種以外では公認情報システム監査人(CISA)、セキュリティプロフェッショナル認定資格制度(CISSP)、公認情報セキュリティマネージャー(CISM)などの資格は有利になるという。

2.データセンター市場の成長は持続

日本でデジタル化が進み、さらに多くの企業がクラウドサービスを利用するようになったことから、データセンターの需要も増加している。そのため、データセンターの建設・管理を行うコンストラクションエンジニアやファシリティエンジニアとしての経験を持つ人材が求められている。

3.金融・保険業は回復から成長へ

金融サービス企業は、2022年には回復から成長へと向かう見込み。DXスペシャリストやITビジネスアナリスト、アプリケーションプロジェクトマネージャー、WEBディベロッパー/アーキテクト、ビックデータ、クラウドスペシャリストなどの役割を担う人材が求められるようになるという。

他にも、監査やカバナンス、コンプライアンス、サイバーセキュリティの採用が活発化。ブロックチェーンや仮想通貨の専門家の需要が高まり、投資銀行におけるフロントおよびミドルオフィスの求人も増加することが予想される。保険業界では、契約内容や保険料を審査するアンダーライターや、損害保険に関わる損害などの査定を行う損害鑑定人、営業職の採用増加もあるとのこと。

4.営業職への需要が増加

複数の業界で営業機能の回復が見られ、多くの企業が営業チームの強化のために人員補充や新規採用を行っている。企業は顧客基盤を急速に拡大・強化を続けており、事業開発やアカウントマネジメントのスキルを持つ人材の需要も高まることが予想される。

5.ライフサイエンス業界での応募要件緩和

ライフサイエンス業界の人材不足の背景には、伝統的に学歴のハードルが高いことが挙げられる。しかし、人材プールが縮小していることから、必須要件を一部緩和する動きが見られるという。現在では、メディカルサイエンスリエゾン(MSL)の求人でも、医薬情報担当者(MR)やコマーシャルセールスの経験を持つ求職者であれば、応募できる求人も徐々に増えている。

6.多くの企業がコーポレートサービスの採用を強化

来年への見通しが楽観的なことから、会計士や財務計画・分析のマネージャー、法務スペシャリストの採用が増える見込み。需要増加が見込まれる金融やIT業界では、コーポレート部門や業界経験を持つ人材が求められるようになると考えられている。マーケティング分野も成長を続けているため、Eコマースや、見込み客を獲得するリードジェネレーションのスキルを持つ人材が求められるようになるとのこと。

7.顧客対応のない職種で在宅勤務の採用が増加

新型コロナウイルスの影響に伴う国境閉鎖により、多くの業界で国内競争が強まっているが、特に会計・財務の分野での競争が激化しているという。直接顧客と顔を合わせる必要がないバックオフィスのポジションを持つ企業は、事業を展開している都市部以外の場所でも人材を探し始めている。

8.オフィスの分散化とシェアサービスの台頭

企業はオフィスの有効活用を考え、中心地からの移転やオフィススペースの縮小を行っていることが増えている。サービスオフィスやシェアオフィスの利用が復活する可能性もあるという。

9.ジュニアレベルの需要は増加

エンジニアリングやサプライチェーンの業界全体では、多くのジュニアレベルの人材を採用し始めている。日本語と英語が堪能であることも、これまで以上に重要な要素になっており、優れた外国語能力を持つエンジニアや購買・調達担当者は、必要な経験を持っていれば、他の求職者より優位に立つことができるとのこと。

ジュニアレベルの需要は増加しているものの、企業は経験が少なく現場での研修が必要な人材を採用することに躊躇しており、依然として経験は重要な要素であるという。

10.再生可能エネルギー分野での求人が増加

日本ではESG(環境・社会・ガバナンス)分野への投資が活発化しており、さらなる成長への期待と人材需要が高まっている。特に、需要が増加しているのは、再生可能エネルギー事業を行う企業のエンジニアリングや建設プロジェクトマネジメント。再生可能エネルギー分野以外では、金融業界がESGデータアナリストやプロダクトスペシャリストの採用を進めている。