感無量は、深く身にしみて感じ、しみじみとした気持ちになることを意味します。ビジネスシーンをはじめ、家族や友人との日常会話などさまざまな場面で使われている表現です。
本記事では、感無量という言葉の意味や正しい使い方を解説します。また、類語や英語表現についても説明しますので、ぜひご一読ください。
感無量(かんむりょう)とは
感無量の意味
感無量は「深く身にしみて感じ、しみじみとした気持ちになること」を意味します。喜びや感動で胸が一杯になることを表す言葉です。
感無量は感慨無量(かんがいむりょう)の略
感無量はもともと「感慨無量(かんがいむりょう)」を省略した言葉で「喜びで胸が一杯になり、深く感じること」を意味します。基本的にポジティブな意味で用いられる表現です。
感無量の由来
感慨無量という言葉は比較的新しいもので、1917年に日本の小説家である田山花袋が自身の作品の中で喜びの表現として使われました。少なくとも1917年以前から存在した言葉ではありますが、現在の意味で使われるようになったのはこれ以降であると考えられます。
感慨無量が感無量と省略されるのが一般的になった時期や理由などについては明らかになっていません。
感無量がよく使われるシーン
喜びを表現するポジティブな意味を持つ感無量は、日常会話からビジネスの場まであらゆるシーンで活用できます。ただし、感無量は非常に大きな喜びを表す言葉ですので、多用しすぎないように注意しましょう。
感無量の適切な使い方については、後ほど例文を挙げながら説明します。
感無量と混同しやすい言葉
感無量には混同されやすい言葉がいくつかあります。ここでは、感無量と「感慨無量」「万感」との違いをそれぞれ解説します。
感無量と感慨無量との違い
すでに説明した通り、感無量は感慨無量の省略形ですので、会話や文脈の中でどちらを使用しても問題ありません。
感無量と万感(ばんかん)との違い
万感(ばんかん)とは「心に沸き起こるさまざまな思い」を表す言葉です。感無量と意味は近いですが、万感は喜びに限定されない表現ですので、より幅広い場面で使うことができます。
万感は単体で使用されることもあれば、「万感の思い」「万感胸に迫る」といった形で用いられることもあります。
また、感無量と万感は意味がまったく同じというわけではないため、常に置き換え可能ではありませんが、文脈によっては近いニュアンスで使える表現です。
感無量の類義語
いろいろなシーンで使える感無量ですが、類語として置き換え表現を知っておけば、言葉の引き出しが増えて、コミュニケーションをより円滑なものにできるでしょう。
ここでは、感無量の類語となる置き換え表現について解説します。
感極まる
非常に感動している様子を表す「感極まる」は、感無量の類義語として挙げられます。感無量と同様にポジティブな意味を持ち、マイナスな気持ちを表現するときには使用されないので、要注意です。
胸が一杯になる
感情の高まりで心が一杯になっている様子を表す「胸が一杯になる」も、感無量の類義語です。一方で、「胸が一杯になる」は「悲しみで胸が一杯になる」のように、マイナスの感情でも使用できるという点が、感無量とは異なります。
しみじみ感じ入る
「しみじみと感じ入る」は、心に深く感じるさまを表す言葉です。
感無量を「しみじみと感じ入る」という意味で用いる場合は、「感慨深い」などの言葉が置き換え表現となります。意味としては、何らかの出来事などに触れて心を動かされたり、心に強く残ったりした様子を表すときに使用します。
感無量の例文・使い方
感無量の正しい使い方を例文とともに見ていきましょう。
感無量の例文・使い方【ビジネスシーン】
感無量のビジネスシーンにおける適切な使い方を例文で紹介します。
・これほど大きなプロジェクトを成功させることができて感無量です。
・社長にお目にかかることができて感無量です。
・大役を任されたことで彼は感無量の様子です。
・一緒にこのプロジェクトに関わることができて感無量です。
感無量は自分に対しても人に対しても使うことができる言葉です。やや硬い表現ではありますが、ビジネスシーンでは光栄であることを伝える際に用いられることもあります。
感無量の例文・使い方【日常会話】
感無量は少し硬い印象の言葉ですが、日常会話でも使用可能です。
・信じられないような幸運が立て続けに起こった彼女は感無量の様子だ。
・ずっと目標だった進路に進むことができて感無量でしょう。
・苦境に立たされたときに助けてくれたあなたの優しさに感無量でした。
・不可能だと思われていた難題を解決することができて感無量です。
・長年の努力が報われ、大会に優勝することができて感無量の思いだ。
日常会話の中で使う感無量は、ビジネスシーンのように光栄といった意味で使用するよりも、感激などの喜びのニュアンスが強い表現として用いられることが多いでしょう。
ただし、感無量はとても大きな喜びや感情の動きを表す言葉ですので、使いすぎには注意が必要です。
感無量の例文・使い方【スピーチ】
喜びなどを表現する感無量は、スピーチなどでも使用されることがあります。
・本日は親友の晴れの日を迎えることができて感無量です。
・いろいろなことがありましたが、無事にオープンを迎えることができて感無量です。
・○○さんの長年の苦労が報われ、この日を迎えることができて感無量です。
感無量は、お祝いのスピーチや挨拶などで使いやすい表現ですので頭に入れておきましょう。
感無量の英語表現
感無量の英語表現を紹介します。
deep emotion
「deep emotion」は「感激」や「感慨」といった意味を持ち、感無量の英訳として使われることの多い言い回しです。強い情動や深い感情を表現する際に使われます。
being filled with emotion
「感情で体、胸が一杯になる」という意味を持つ「being filled with emotion」も感無量、感慨無量の英語表現のひとつですので覚えておきましょう。
感無量という言葉には「喜びなどで胸が一杯に満たされる」という意味があるため、「being filled with emotion」は日本語の意味を直訳した英語表現といえます。
感無量の意味や正しい使い方を理解しましょう
感無量は「深く身にしみて感じ、しみじみとした気持ちになること」を意味する表現であり、日常会話はもちろん、ビジネスの場などさまざまなシーンで活用できます。
しかし、感無量の言葉の意味や適切な使い方を理解していなければコミュニケーションに活かすことはできません。それどころか、相手に誤解を与えてしまう可能性もあります。
この記事で説明した言葉の意味とあわせて、正しい使い方も身につけましょう。