ニュースや新聞などでよく見聞きする「見解」という表現。ビジネスシーンでも頻繁に使う言葉です。本記事では、見解の意味や正しい使い方を例文つきで解説。同義語や尊敬表現などについてもあわせて紹介します。

  • 見解とは?

    見解の意味や正しい使い方、類語・尊敬表現などについてくわしく解説する記事です

見解の意味とは?

見解(けんかい)は「ある物事についての価値判断や評価・意見」という意味です。

「見」という漢字には「見方」や「考え」、「解」には「解き明かす」「よくわかる」というニュアンスがあります。見解という熟語は、物事をどう解釈したのかを示す言葉といえます。

なお、日常生活で使う場合は「けんかい」と読んで問題ありませんが、仏教用語として使われる場合は「けんげ」と読むため、注意するようにしましょう。

「見解の相違」の意味とは?

ビジネスシーンでよく見聞きするのが「見解の相違」という表現。「見解の相違」とは、考え方や見方、解釈が互いに食い違うことを表します。

たとえば、「貴社と弊社で見解の相違があるようです」というのは、簡単にいうと「貴社と弊社で意見が異なるようです」という意味になります。

  • 見解とは?

    見解は「けんかい」と読み、物事をどう解釈したのかということを示す言葉です

見解の使い方と例文

見解は、主に公的な場や文書などで使われる言葉です。

個人が考えを述べる場面ではあまり使われず、公的機関が社会問題について述べるシーンなどでよく使用されます。一個人ではなく企業としての判断を述べたり、公の問題について専門家が話したりする場面などで見聞きすることが多いので、覚えておくようにしましょう。

見解は、以下のように使われます。

・昨年よりたびたび議題に上がる海外展開について、部長の見解を聞かせてください

・国の専門家会議は、新しい法案に関して時期尚早であるとの見解を示した

・テレビ局からの環境問題に関する取材に対し、教授は慎重に見解を述べた

・本社と海外支社の間では、新システムの導入に関して見解の相違があるようだ

・見解書を書く際は、客観的かつ冷静に文章を作成しなければならない

  • 見解の使い方と例文

    見解は主に公的な場や文書などで使われる言葉で、一個人が私的な考えを述べる場ではあまり使われません

見解の同義語・類語

見解には「意見」や「解釈」、「所見」「考察」などの類語があります。これらの意味や見解との違いなどをくわしく解説します。

■意見

「意見」は「ある問題に対する主張や考え」という意味の言葉で、主に自分の思うところを述べる際に使われます。「誰が考えや評価を述べるか」という点に着目すると、見解との使いわけがしやすくなるでしょう。

「見解」は前述した通り、社会問題などに対して公的機関や専門家が考えを述べる場合に使用されます。一方、「意見」はあくまでも個人が私的な思うところを述べる時に使われる言葉であり、自分がどう考えたか、どう判断したかということを伝える時に使われます。

例えば、一般の人がインタビューなどで自分の考えを述べる場合は「意見を述べる」となります。

■解釈

言葉や文章の意味を解きほぐして明らかにしたり、物事を自分なりに考え理解したりすることをあらわす「解釈」という言葉。「解釈」を踏まえて導き出す結論や評価が「見解」であり、この二つの言葉は意味も使用される場面も異なります。

例えば、「環境問題」に関して意見や評価をまとめる場合、まずは環境問題の内容を理解して明らかにしようとするでしょう。その行為自体が「解釈」であり、そのうえで導き出した結論や問題点などが「見解」となります。

■所見

「所見」は、「あるものを見て、考え出した結果」という意味の言葉です。「物事に対しての考えを示す」という意味では見解と似ていますが、所見には「一見して判断する」というニュアンスがあり、熟考したうえでの考えである見解とは使用シーンなどが異なります。

例えば、通常の診察による医師の判断を示す場合など、表面的なものから得た情報を元に考えをあらわす際に所見という言葉が使われます。

■考察

「よく調べて考えをめぐらすこと」という意味の「考察」という言葉。見解は物事についての考えや評価をあらわしますが、「考察」は考えることそのものをあらわす言葉となります。

「考察」や「解釈」をしたうえで導き出した答えが「見解」であると考えると、それぞれの言葉をうまく使いわけることができるでしょう。

  • 見解の同義語

    見解の同義語・類語を知ることは、見解自体を深く理解することにつながります

見解の敬語表現

見解は公的な場やビジネスシーンでよく使う言葉のため、敬語表現も理解しておきましょう。

基本的には、尊敬の意をあらわす「御(ご)」を前につけて「ご見解」としたり、「ご講評」「ご高説」などの言葉に言い換えてあらわしたりする方法がよく使われます。

・改めて、ご見解を聞かせていただけますか

・昨今の環境問題に関して、先生のご講評を賜りたく存じます

・ご高説を拝聴したいのですが、お時間を頂戴できませんでしょうか

また、「物事を正しく見通す、すぐれた見識」という意味の「卓見(たっけん)」も見解の敬語表現として使用できるので、あわせて覚えておくとよいでしょう。

・田中教授がずいぶん前にこの問題に着目したことは、やはり卓見というべきであろう

なお、相手を立てる謙譲表現として、自分の意見をへりくだって表現する「愚見(ぐけん)」があります。これは謙譲表現なので、間違って相手の見解に対して「愚見」などと言わないようにしましょう。

・愚見を申しますと、子供の教育は学校ではなく両親が主となって行うべきであると感じております
  • 見解の尊敬語や丁寧語は?

    公的な場やビジネスシーンで正しく使うために見解の尊敬表現を理解しておきましょう

見解の英語表現

見解を英語で言う場合は、名詞「view」もしくは「opinion」、「perspective」などを使って表現することができます。

英語で議論をする際や意見を述べる時によく使う単語ですので、主要な言い回しを例文で確認しておきましょう。

・From my point of view, we should make a new contract with ABC corporation
 私の見解では、我が社はABC社と新たな契約を結ぶべきだ
・There is a diversity of opinions on this matter
 この問題に関してはさまざまな見解がある
・From the perspective of a professional, the domestic market will shrink for the next 5 years
 専門家の見解によると、国内市場は今後5年間で縮小する見通しだ
  • 見解の英語表現

    見解の英語表現は「view」や「opinion」「perspective」などを使います

見解の意味や正確な使い方を理解しておこう

見解は「ある物事についての価値判断や評価・意見」という意味で、物事をどう解釈したのかということを示す言葉です。

基本的に個人が考えを述べる場面では使われず、公的機関が社会問題について述べる場面などで主に使用されます。

「意見」などの混同しやすい同義語との違いや尊敬表現などもあわせて確認しておき、自信を持って使えるようにしましょう。