ダイハツ工業はバンタイプの軽自動車「アトレー」を17年ぶりにフルモデルチェンジして発売した。これまでは「アトレーワゴン」という乗用車だったのが、新型は「アトレー」に車名を変更し、分類も商用車へと変わっている。どんな背景があるのだろうか。
荷室の使い方はアイデア次第
ダイハツがアトレーを商用車にしたのは、アトレーの使われ方が変わってきているとの考えからだ。家族(3人以上)で出かけるための乗り物という役割は、ダイハツでいえば「タント」などの背の高い軽自動車が担うようになってきた。そこでダイハツは、子育てが落ち着いた世代やワーケーション、車中泊にクルマを使うユーザー(1~2人でクルマに乗る人たち)をターゲットに据え、アトレーの積載量(最大350kg)と後席を含めた荷室の広さを存分に使ってもらえるクルマとすべく、アトレーを商用車にした。
乗用車であれば後席を前後にスライドさせられるが、商用車となったアトレーにその機能は付いていない。なので、後席に座るという観点からすれば快適性は下がっているが、そもそも2人までしか乗らないユーザーにしてみれば、後席の快適性はあまり気にならないはず。後席を折りたたんで少し下げれば、フルフラットの広大な荷室が出現するのでさまざまな使い方できる。
今回のフルモデルチェンジでダイハツは、アトレーおよび「ハイゼット カーゴ」(アトレーの兄弟車)のプラットフォームを一新し、「Daihatsu New Global Architecture」(DNGA)を軽商用車に初めて採用した。FR用CVT(フロントエンジン・リアドライブ用の無段変速機)も軽商用車として初採用となる機構だ。これらの改良により、アトレーは燃費、静粛性、発進性などが向上。予防安全装備「スマートアシスト」も最新バージョンとなった。アトレーのグレードは「X」(2WDが156.2万円、4WDが171.6万円)と「RS」(2WDが167.2万円、4WDが182.6万円)の2種類だ。