カウントダウンライブやニューイヤーコンサートなど大規模なイベントが続々と開催される年末年始。新型コロナウイルスの影響は予断を許さない状況ではありますが、上限人数の制限も緩和されたり、ワクチン・検査証明の活用が行われるなどイベントを取り巻く環境は変わりつつあります。

久々にコンサートやライブに行くなら、持っておきたいのが「双眼鏡」。なかでもセンサーとモーターで手ブレを補正する機能がついた「防振双眼鏡」は、自分の"推し"の姿をしっかり追いかけたい時に欠かせないアイテムと言えるでしょう。

購入する際はどの倍率を買えば良いのかか迷うものですが、イベント会場の規模や席の位置によって最適な倍率は変わるものの、アリーナやドーム規模のライブやコンサートでも「推しの表情をしっかり見たい」という場合、倍率10倍以上の双眼鏡を持っておきたいところです。

この記事では、比較的倍率の高い12~16倍の防振双眼鏡を紹介します。なお今回は、家電お試しサービス「レンティオ」の協力を得てレビューを行いました。

【倍率12倍】Vixen「防振双眼鏡 ATERA H12×30」

天体望遠鏡、双眼鏡を取り扱う総合光学機器メーカー「Vixen(ビクセン)」の手掛ける「防振双眼鏡 ATERA H12×30」。丸みを帯びたすっきりしたデザインは、スッと手に馴染みます。また防振双眼鏡は重いものも多いなか、422gと比較的軽量なので片手で長時間持ち続けても疲れづらい印象でした。

  • Vixen「防振双眼鏡 ATERA H12×30」メーカー小売希望価格75,350円、レンティオレンタル価格3泊4日6,980円

Vixen「防振双眼鏡 ATERA H12×30」は、2軸ジンバル制御防振機構による手ブレ補正機構を搭載しており、スイッチを入れるとヌルッとブレが収まります。また、レンズとプリズムには3つのコートを施しており、明るくクリアな視界であることも特徴。

倍率も重要ですが、暗いコンサート会場で双眼鏡を使う時にチェックしておきたいのが「明るさ」。Vixen「防振双眼鏡 ATERA H12×30」は明るさ「6.3」と、12倍の防振双眼鏡のなかでは、比較的明るさは高い機種です。

また、電源がアルカリ単4電池なのは嬉しいポイント。会場に入場する直前に「そういえば電池、大丈夫かな!?」と不安になることもしばしば。わざわざ持って来た防振双眼鏡も、電源が切れたらブレやすい普通の双眼鏡です。もしもの時でも、コンビニで手軽に買えるのは安心ですね。

防振機能オンオフのスイッチはスライド式。ずっと押し続ける必要がないため、コンサートの鑑賞中も推しに集中できます。約5分経過すると自動的に電源が切れるオートパワーオフ機能もあるので、無駄な電池の消耗が防げるのも便利な反面、コンサートでじっくりと推しを見ていると、約5分は意外とあっという間。メドレー曲などで長い時間推しを見たい場合、防振機能が切れるたびに視界がブレてしまい、スイッチのオンオフを繰り返すのは手間に感じることもありました。

アリーナやドーム規模のコンサートに行く際、筆者はVixen「防振双眼鏡 ATERA H12×30」を持って行くことが多いのですが、アリーナでもスタンドでも、ある程度カバーできる一台という印象です。

Vixen「防振双眼鏡 ATERA H12×30」スペック

倍率 12倍
対物レンズ有効径 30mm
実視界 4.2°
1000m先の視野 73m
ひとみ径 2.5mm
明るさ 6.3
アイレリーフ 17.5mm
最短合焦距離 約2.5m
サイズ 14.9×10.8×6.2cm
重さ(電池別) 422g
電池・動作時間 単四電池×2、約12時間(単四アルカリ乾電池 新品使用、20℃)

【倍率14倍】ケンコー「VC Smart 14×30」

光学製品の専門メーカーである「ケンコー・トキナー」の防振双眼鏡「VC Smart 14×30」。こちらも2軸ジンバル光学式手ブレ補正機構を採用。レンズ面・プリズム面にはマルチコート(多層膜コート)を施してあり、明るくクリアな像が得られます。

  • ケンコー「VC Smart 14×30」希望小売価格73,000円、レンティオレンタル価格3泊4日7,480円

本体の厚みは今回紹介する製品のなかでは薄い51mm。しっとりしたラバー外装は指がかかりやすく、きちんと持てることも特徴。重さは515gと、Vixen「防振双眼鏡 ATERA H12×30」に比べると重量がありますが、きちんとグリップできるので、そこまで重さは感じませんでした。双眼鏡、ペンライト、うちわなど、頻繁に持ち替えることが多いライブでは心強いポイントかもしれません。また、オートパワーオフ機能も搭載。「VC Smart 14×30」は約10分と少し長めです。

なお以前筆者がドームのスタンド席後方で使用した際、倍率12倍では表情がやや見えづらかったのですが、14倍だとひとまわり大きく、表情や指先の動き、衣装の装飾まで見えた印象でした。後方の席や2階席以上でも表情まで見たいという場合は、14倍のほうが安心かもしれません。

ケンコー「VC Smart 14×30」スペック

倍率 14倍
対物レンズ有効径 30mm
実視界 4.4°
1000m先の視野 76.8m
ひとみ径 2.1mm
明るさ 4.4
アイレリーフ 14mm
最短合焦距離 3.5m
サイズ(H×W×D) 147×51×124mm
質量(双眼鏡本体のみ) 515g
電源 リチウム電池(CR2)1本、連続使用時間約12時間、オートパワーオフ機能付(無操作状態で10分)

【倍率16倍】富士フイルム「フジノン 双眼鏡 FUJINON TECHNO-STABI TS16x28」

とにかく推しの表情が見たい! 倍率は正義! という方にオススメしたいのが、倍率16倍の富士フイルム「フジノン 双眼鏡 FUJINON TECHNO-STABI TS16x28」。

  • 富士フイルム「フジノン 双眼鏡 FUJINON TECHNO-STABI TS16x28」88,000円、レンティオレンタル価格3泊4日6,980円

富士フイルムが手掛けるフジノンの双眼鏡は、国境警備や巡視船でも採用されています。「フジノン 双眼鏡 FUJINON TECHNO-STABI TS16x28」も同社が培った技術が盛り込まれた一台。EBCマルチコーテングが施されており、高い解像力と、周辺まで歪みのないクリアでシャープな像を得られるそう。

指で押さえる部分は本革調のシボ加工がされており、クラシカルなデザイン性もありつつ持ちやすさも兼ね備えています。また倍率が高い双眼鏡はその分手ブレが起きやすいのですが、人間工学に基づいた設計をされているとのことで、片手でもホールドしやすく感じました。

使ってみて便利に感じたのが、防振機能のスイッチの位置。他の2製品は本体中央から少し右寄りの位置にスイッチが配置されていますが、「フジノン 双眼鏡 FUJINON TECHNO-STABI TS16x28」は中央にあります。左右どちらの手で持っても指が届くため、スイッチの操作がしやすい印象でした。

なお倍率が高い分、他の2製品と比べると視界が狭く、推しの顔をしっかり見る分には満足できる一方、複数のメンバー同士がわちゃわちゃする様子を見たい時はオーバースペックに感じました。

富士フイルム「フジノン 双眼鏡 FUJINON TECHNO-STABI TS16x28」スペック

倍率 16倍
対物レンズ有効径 28mm
実視界
1000m先の視野 70m
ひとみ径 1.8mm
明るさ 3.1
アイレリーフ 16mm
最短合焦距離 3.5m
サイズ(W×H×D) 120×151×74mm
質量(双眼鏡本体のみ) 550g
電源 リチウム電池(CR2)1本、電池寿命約12時間、オートオフ機能付(10分間)

今回は12倍以上の双眼鏡を紹介しましたが、小~中規模の劇場や、席が前方の場合は6~10倍程度の双眼鏡でも十分なこともあります。

推しの表情や衣装の細部まで見たいのか、全身の動きを見たいのか、それともメンバー全員を見たいのか、双眼鏡で見たいと思う対象は人それぞれ。また、会場の規模や席の位置によっても見え方が変わってきます。その時の状況や見たいものによって、異なる倍率を持ち替えてみるのも良いかもしれません。いずれも購入すると7~8万円と高額なアイテムなので、家電量販店の店頭で触れてみたり、レンタルサービスで借りてみるなどして、自分に合った一台を見つけてくださいね。