制御と管理
VDIでは、日常のメンテナンスやセキュリティ、ネットワークのパフォーマンス、トラブルシューティング、すべてのソフトウェアやハードウェアのアップデートなど、IT部門がオンサイトのVDIサーバを完全にコントロールすることができます。データセンターによっては、追加の管理サポートを提供する場合もありますが、大半の負担は社内のIT部門にかかってきます。
メンテナンスが不要なDaaSでは、企業の内部統制がやや弱くなりますが、データ保護に関しては高度なセキュリティ効果が得られます。実際、ESGの調査回答者の39%が、ファイル、データ、アプリ、パスワードなどの機密データをデバイスから外して安全な環境に置いておくことがDaaSの最大のメリットであると回答しています。DaaSは、GDPRなどの最近のデータプライバシー規制への対応にも役立ちます。
リソースへのアクセス
VDIの導入は、シングルテナントモデルに基づいています。つまり、リソースと配布は単一の組織に限定されます。他の組織とサーバを共有していないため、他のユーザーの要求に干渉したり、妨害されたりするリスクがありません。
しかしこれは、データセンターがダウンすると、すべてのリソースが使用できなくなることを意味します。これは、24時間365日稼働している企業や、天候や停電などの予期せぬビジネスの中断に遭遇する企業にとって、課題となります。
DaaSでは、ほとんどのサービスがマルチテナントであり、他の組織と動的にリソースを共有することになるため、障害が発生した場合にはサービスに支障を来す可能性があります。しかし、ソリューションの中には、リソースのダウンタイムを軽減するための高度なオプションを提供するものもあります。また、DaaSはインターネットへのアクセスを必要とするため、ユーザーや地域によってはアクセシビリティに影響を与える可能性があります。
ビジネスのアジリティをサポートするDaaS
VDI、DaaSのいずれもビジネス全体やIT部門に多くのメリットをもたらします。組織の成長が安定していて、従業員が地理的に集中しており、導入やメンテナンスに必要なリソースやコストを処理できる場合は、オンプレミス型のVDIが必要なインフラとなるでしょう。
しかし、ビジネスの将来性を考慮してより俊敏なソリューションを求めているのであれば、DaaSが最適なソリューションかもしれません。以下、DaaSがそうした企業にもたらすメリットを紹介します。
契約社員や期間限定で雇用する従業員がいる場合、DaaSによって迅速に増減させることができ、納税シーズンや季節的な雇用にも柔軟に対応できます。繁忙期が終われば、それらのデスクトップをシャットダウンし、使用した分だけを支払えばいいのです。
新しい地域や国にオフィスを開く必要がある場合、DaaSは、ローカルのITリソースを設定する時間と複雑さを伴わずに、企業が即座にデスクトップをプロビジョニングすることができます。
M&Aを重ねている企業においても、DaaSによって社内の共有リソースに誰もが平等にアクセスできるようにすることで、移行をスムーズに進めることができます。
デスクトップ仮想化に「万能」なソリューションはありません。VDIでも、ハイブリッドクラウド環境を展開し、オンプレミスの展開とパブリッククラウドのホスティングを組み合わせて、ビジネスニーズに対応することができるソリューションを採用することで、各企業のペースで作業を進めることができ、既存のデータセンターへの投資と新しいDaaSのワークロードを同時に活用することが可能になります。