ビジネスシーンや新聞などにおいてよく使われている「言及」という言葉。実際に「言及する」「言及される」などのフレーズを目にする機会は多いですが、その意味を正しく理解できていますか? 本記事では、言及の意味や類語、正しい使い方などを紹介します。

  • 言及の読み方や意味

    言及の意味や類語、正しい使い方などを紹介する記事です

言及の読み方や意味

言及は「げんきゅう」と読み、意味は「話題に出すこと」や「言い及ぶこと」です。話がある事柄にまで触れることを意味し、ニュースや新聞に登場したり、ビジネスシーンなどで使用されたりしている言葉です。

  • 言及の読み方や意味

    言及は「話題に出すこと」や「言い及ぶこと」ことを意味する言葉です

言及の使い方と例文

言及はややかたい表現のため、日常生活の中で使われることはあまりありません。

どちらかというと改まった場面などで使用されることが多いので、正しく使えるようにシーン別の使い方と例文を確認しておきましょう。

ビジネスシーンで使用する場合

ビジネスシーンで使う場合は、会議やプレゼンの場で使われたり、ビジネス文書に記載されたりすることが多いです。言及という表現を使うことで何について話しあっているかが明確になり、文章のどの部分に触れているのかがわかりやすくなります。

ビジネスシーンで言及という表現を使う際の例文を紹介しましょう。

・田中さんが言及していた新規プロジェクトだが、個人的にはうまくいかないと感じている

・昨年売上目標が達成できなかったことに関しては、本日のミーティングで必ず言及すべきだ

・次回の株主総会で、CEOは進退に関しての言及を避けるつもりらしい

・言及する必要はないことをあえて取りあげたせいで、ABC社との契約を締結させることができなかった

メディアやマスコミ業界で使用する場合

メディアやマスコミ業界では、言及という表現は主に政治に関するニュースや新聞記事などで使用されています。テレビのワイドショーや情報番組などでリポーターやキャスター、専門家が使うこともあります。

メディアやマスコミ業界で使用する場合の例文は以下になります。

・本日の国会で、総理大臣が今後の外交政策について言及しました

・あえて古い事件に言及するのは、現代でも同じような事件が起こる可能性があるからです

・あれだけ大きく報道されたにも関わらず、記者会見では不祥事についての言及を避けたようです

法律関連の話題で使用する場合

言及という言葉はややかたい表現なので、法律関係の文書や憲法の条文などについて話題にする際にも多く使われています。法律関連の話題で使用する際の具体的な例文を紹介します。

・政府は自衛のための措置についても言及すべきである

・ローマ教皇は同性婚の権利について言及し、「法律を作って保護する必要がある」との意見を述べた

  • 言及の使い方と例文

    言及という表現の使い方と例文を確認しておきましょう

言及の類語

言及には、状況や場面によって言い換えをすることができる類語がいくつかあります。代表的なものを確認しておきましょう。

論及

「論及(ろんきゅう)」は、「論じてそのことにまで触れること」という意味の言葉です。言及と語感も意味も似ているため、混同してしまう人は少なくないでしょう。

言及は比較的軽く話題に出す時でも使用できる言葉であるのに対して、論及はしっかりと議論をする際に使用するような言葉となります。

例えば給料についての同僚同士での会話などは、評価基準などについて論じた場合は「論及した」という表現になりますが、世間話程度なら「言及した」という表現のほうが適しています。

暗示

「それとなく知らせることや、その言葉・態度」を意味する「暗示」という言葉。言及とは異なる表現に見えますが、「はっきりと述べるのではなくそれとなく伝える」という意味で言及を使う場合は、類語として使用することができます。

例えば、口にしがたい内容などを遠回しに言及する時や、間接的な内容を話題に出す際などは「暗示」に置き換えることができるでしょう。

まな板にのせる

一見言及とは似ても似つかない「まな板にのせる」という表現。実は「それについて話をするさま」という意味の言葉で、言及の類語として使用することができます。

なお、「俎上(そじょう)にのせる」や「話のネタにする」なども同じ表現として使えるフレーズですので、あわせて覚えておくといいでしょう。

  • 言及の類語

    言及の類語の意味や、言及との違いなどを理解しておきましょう

言及の敬語表現

ビジネスシーンや公的文書などでは、敬語表現が必要な場合も多いものです。「言及する」を敬語で表現する場合、「する」の敬語表現である「なさる」や「される」を後ろにつけ、「言及なさる」や「言及される」のように表すのが一般的な用法です。

・大統領は、移民政策について公の場で言及なさった

・社長は、今後の対策だけではなく事故原因についても言及なさるべきであった

・部長は予算について言及されたが、一体何を根拠に話されたのだろうか

  • 言及の敬語表現

    言及を敬語表現にすると、「言及なさる」や「言及される」となります

言及の英語表現

言及を英語で表現する場合、動詞「mention」や「refer to」などで表すことができます。それぞれ、英文のビジネスメールやミーティングなどで頻繁に使われる表現です。

「mention」や「refer to」を使った例文を紹介します。

・The CEO mentioned corporate responsibility in the scandal which happened last year
 CEOは、昨年起きたスキャンダルに関しての企業責任について言及した

・She decided to refer to the topic of gender equality in the next meeting
 彼女は、次の会議で男女差別の問題に言及することを決めた

  • 言及の英語表現

    言及の英語表現は、動詞「mention」や「refer to」などを使ってあらわします

意味や使い方、類語などを正しく理解しよう

言及は「話題に出すこと」や「言い及ぶこと」という意味で、話をする際にその話題に関連する事柄にまで触れることを意味する言葉です。ややかたい表現のため、改まった場面などで使用されることが多く、ビジネスシーンやニュース・報道番組などでよく使われます。

言及の類語や尊敬表現などもあわせて確認しておき、ビジネスシーンでも正しく使えるようにしておきましょう。