「憧憬」とは、「あこがれること」や「憧れの気持ち」という意味の言葉です。日常生活では口にする機会の少ない言葉ですが、きちんと意味を知り、正しく使いたいもの。
本記事では、憧憬の意味や使い方、類義語との違いなどを解説します。英語表現も紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
憧憬とは
憧憬の読み方
憧憬の読み方は「しょうけい」または「どうけい」になります。「どうけい」は慣用読みですが、現在では正しい読み方とされているため誤りではありません。
憧憬の意味
憧憬とは、「あこがれること」や「憧れの気持ち」という意味の言葉です。
なお、憧憬の漢字には、それぞれ次のような意味があります。
・憧
「憧」は「あこがれる」「心が落ち着かない様子」などを意味する漢字です。本来の読み方は「ショウ」ですが、慣用読みの「ドウ」としても使われています。
・憬
「憬」には、「あこがれる」「さとる、気がつく」などの意味があります。読み方は「ケイ」になります。
憧憬の使い方・例文
憧憬は名詞としてだけではなく、「憧憬する」のように動詞としても用いられます。どちらも日常的に使用する言葉ではありませんが、詩文や改まったシーンであれば、違和感なく使うことができます。
憧憬を使った例文を紹介します。
・以前より社長に憧憬の念を抱いていたため、入社を決めました
・贅沢な暮らしを憧憬する
上記例文のように「憧憬の的」や「憧憬の念を抱く」のような言い方を覚えておくと、スムーズに憧憬を使えるようになります。
憧憬の類義語
ここからは、憧憬の類義語を紹介していきます。
憧れ
「憧れ(あこがれ)」は「理想とする物や人に心をひかれる」という意味の言葉です。憧憬の類義語や言い換え表現として、そのまま使えます。
憧れの例文は下記のとおりです。
・都会の暮らしに憧れる
称賛
「称賛(しょうさん)」は「言葉にして褒めたたえる」という意味の言葉です。「素晴らしいと思って褒めたたえる」というようなシーンで使われるので、憧憬の類義語として使えます。
称賛の例文は下記のとおりです。
・君の営業成績は称賛に値する
なお、読み方も意味も同じ言葉の「賞賛」には「金品をあげて褒める」という意味合いがあるので、使う際には注意が必要です。
相手を褒めるときに賞品・賞金が関係する場合は「賞賛」、そうでない場合には「称賛」というように、シーンに合わせて使いわけましょう。
敬慕
「敬慕(けいぼ)」とは「尊敬して人柄を慕うこと」という意味の言葉です。「尊敬する」という意味合いもあり、憧憬の類義語になります。
敬慕の例文は下記のとおりです。
・教授に対する敬慕の念がとても強い
思慕
「思慕(しぼ)」は「思い慕うこと」という意味の言葉です。思慕には「恋しく思うこと」という意味合いもありますが、恋愛感情をともなわない相手にも使うことができます。
思慕の例文は下記のとおりです。
心酔
「心酔(しんすい)」は「心から慕って感心すること」という意味の言葉です。「心から慕う」という意味合いが含まれるため憧憬の類義語として使えます。
心酔の例文は下記のとおりです。
憧憬の対義語
ここからは、憧憬の対義語を紹介します。
幻滅
「幻滅(げんめつ)」は「期待や憧れによって美化されていた物ごと、または人が現実と異なりがっかりすること」という意味の言葉です。失望の感情をあらわすので憧憬の対義語として使えます。
幻滅の例文は下記のとおりです。
嫌悪/憎悪
「嫌悪(けんお)」は「忌み嫌うこと」という意味の言葉です。また、「憎悪(ぞうお)」には「憎み嫌うこと」という意味があります。どちらも「相手を嫌う」という意味があるので憧憬の類義語になります。
「嫌悪」と「憎悪」の例文は下記のとおりです。
・まったく反省していない彼に深い憎悪を覚えた
憧憬の英語表現
憧憬の英語表現は、「憧れる」という意味の「yearn for~」です。
(私は父の故郷の地に憧憬の念を抱いている)
「yearn for~」は形式ばった表現なので、憧憬の英語表現としてそのまま使っても違和感はありません。
憧憬の意味や読み方、使い方を確認しておこう
憧憬は「あこがれること」や「憧れの気持ち」という意味の言葉です。「憧憬の的」や「憧憬の念を抱く」などの言い方も覚えておくとよいでしょう。
憧憬は類義語や対義語も多いので、それぞれの意味を知っておくと、改まった場でもスマートに会話に取り入れることができます。