女優の有村架純、古川琴音、俳優の北村匠海、斎藤工が18日、ELLEが独自の視点で選定する映画賞「ELLE CINEMA AWARDS 2021」の授賞式に登場した。
ファッション雑誌『ELLE』を始めとするELLEグループは、SDGsをテーマにした配信イベント「ELLE ACTIVE! FESTIVAL 2021」を初開催。2015年から続く同授賞式では、今年新設の「ELLEACTIVE! for SDGs賞」含む5つの賞と作品賞の6部門が発表された。
今年最も輝いた女優に贈られるエル べストアクトレス賞は、有村が『花束みたいな恋をした』で受賞。受賞作を含め6作の映画に出演したほか、舞台やドラマにも多数出演し、常に話題を集めた。有村は「この度は本当にありがとうございます」と感謝。「皆様が選考されるなかで、自分を思い浮かべてくれたというのが嬉しいなと思いました」と受賞の喜びを伝えた。
今年最も輝いた男性に贈られるエルメン賞を受賞した北村は、「素直に嬉しいです。目の前にあるものを自分なりに真摯に取り組んできた結果、こういう評価をしていただいたというのは本当にやりがいも感じますし 糧になります」とコメント。受賞映画『東京リベンジャーズ』は今年の実写日本映画の興行収入1位を記録、ボーカルをつとめるバンド・DISH//でも第72回紅白歌合戦の出場が決定するなどマルチな活動ぶりで注目を集めた。
今後活躍が期待される若手に贈られるエル・ガールライジングスター賞は古川が受賞し、「うれしいです。いただけてとてもありがたく思っていますし、これからも頑張っていきたいなと思います」と意気込みも。エルベストディレクター賞を受賞した濱口竜介監督の『偶然と想像』や『花束みたいな恋をした』などでの演技が高く評価された。
映画界でSDGs的な役割を果たした映画人に贈られる、ELLE ACTIVE! for SDGs賞を受賞した斎藤。俳優、監督として精力的に活動し、2014年からは移動映画館「cinema bird」プロジェクト、そして昨年立ち上げた「ミニシアターパーク」の活動など、苦境に陥った映画界や劇場、観客をサポートする取り組みに力を入れている。監督作『フードロア:Life in Box』、『ゾッキ』などでは、現場に託児所を設けたことでも話題になった。受賞にあたり斎藤は、「恐れ多い気持ちと同時に、SDGsという言葉が僕もどこまで理解しているのか試されている気もしていまして、賞の受賞の真意みたいなものはいただいた後に試されるといいますか、とても意義のある賞をいただいたと思っています」と受賞の喜びをかみしめた。
受賞者コメントは以下の通り。
■有村架純
受賞作『花束みたいな恋をした』では、企画の段階から再び脚本の坂本裕二さんと監督の土井裕泰さんとご一緒できるということで、本当に楽しみで、お相手も貴重な同い年の菅田将暉さん。今の私たちに何ができるだろうかと撮影をするなかで、すごく考えましたし、映画界を盛り上げたいなっていう気持ちもすごくありました。2021年は、去年撮りためていた作品たちが世の中に飛び立つ年となってコロナで公開が延期になっていたものがたまたま今年に重なって多くの作品を発信することができて、タイミングと運ってあるんだなと実感しましたし、もしかしたら『花束みたいな恋をした』もコロナ禍でなかったら、ここまで皆様の心に残ることができなかったかもしれないですし、色々なめぐりあわせとか目に見えないものを信じてもいいのかなとか希望を感じるような1年になりました。映画は、初めて出させていただいたときから、みんなで作っていくという過程にすごく魅力を感じてお芝居をすることは映画でもドラマでも舞台でも同じなんですけど、監督やスタッフや役者さんの本気をみせていただける場所と、映画には感じていて、それを間近でみられることが幸せに思います。プロの技を学んだりして、刺激をもらって吸収していく、それができるのが映画独特の世界かなと思います。2021年に撮影した作品も来年公開になりますし、待っている作品もあるので、変わらず一つひとつの作品に誠実に向き合っていきたいなと思いますし、作品に出会うことだったり人に出会うことだったり、出会いにときめきを持つことを忘れたくないなと思います。
■北村匠海
2021年は、役者だけではない活動もいっぱいある中で目まぐるしい一年でしたね。いろいろ背負う瞬間が多かったなという印象です。また本当にいろんな人に出会えた一年だったなと思います。自分にとって、音楽と芝居だけでいったら100:100で自分の中では比重を置いて、そういう中で、役者でなし得たことが音楽にも作用しているし、音楽で見てきた景色も芝居だったりフォトグラファーでもそうですし他にもいろんなマルチなことをしていくなかで、いっぱい作用していくようになりました。僕だけじゃない世界が広がってて、いろんな人に助けられた部分もありますね。
受賞作『東京リベンジャーズ』では、まずひとつは今年(実写映画の興行収入)1位というところで、それを僕らの世代で作れたというのは、本当に大きいなと思っています。これは日本の映画の歴史としてみても、僕らの時代を一個確立したのかもしれないな、というタイミングでもありました。その真ん中に立たせていただくということもとても光栄です。こうやってちゃんと結果にでるというのは、僕らの熱量とそれをみてくれた方たちっていう全員の熱がひとつになった瞬間なのかなと思います。来年は、役者としても控えている作品もあるし、バンドとしても10周年の記念のイヤーだったり、あっという間にまた12月になってるんだろうなって気はするんですけど、いわゆるもう一度学ぶ年にできればなと思っています。
■古川琴音
2021年は、まだ自分が成長している実感というのがなかなか持てなくて、成長の途中だと思うのですが、たくさんの幅広い役をやらせていただいて、いろんなチームに加われて、とても恵まれた1年だったなと思います。この前できるようになったことが、今回通用しないなって思うことがあったり、掴んだと思ったら逃げていくような、そういう感覚がすることもあって、一概に掴み切れたとか、ここは成長できたとか言えることはまだないです。受賞作『偶然と想像』では、今の自分のお芝居をするうえでの基盤を、濱口監督には作っていただけたなと思っています。撮影したのは2年くらい前で、撮影当時は、自分が参加した作品が世界的に観ていただける考えずに演じていたので、監督と他のキャストの皆さんで作り上げたものの結果かなと思っています。(自分が)濱口さんが作る作品の世界にちゃんと入っているなと思って。見る前はとてもハラハラしてたんですけど、そういった意味では少し安心しました。私がいろいろな映画を見て思うことは、生きるうえで、タフに生きるためのパワーを映画から教えてもらうことが多いなと思ってます。2022年は1月からミュージカルに初挑戦で、1月から挑戦することがたくさんあるので、まだ目の前のことでいっぱいいっぱいで、計画ができないというか一年を見通せていないんですが、目の前の仕事に誠実に続けていきたいですね。
■斎藤工
受賞させて頂き、恐れ多い気持ちと同時に、SDGsという言葉が僕もどこまで理解しているのか試されている気もしていまして、賞の受賞の真意みたいなものはいただいた後に試されるといいますか、とても意義のある賞をいただいたと思っています。
2021年は、自分の限りにむかっての人生設計みたいなものから、自分がいなくなった未来に何が残るかを意識しだしたのが去年だったので、(それまでに)ライフワークとしてやっていた移動映画館だったり、ミニシアターパークだったりっていう活動と自分のマストっていうのが見つかった1年ではありました。現在、映画制作の現場で託児所設置の提案をしているのですが、最も感じるのが女性のスタッフさん、キャストの方もそうですけど、妊娠、出産、子育てのプロセスと、現場というものがあまりにも乖離していて、引退していく才能を僕ですらたくさん見てきました。前例がないと日本ってシステムがなかなか変わらないので、本当に小さなのろしですけど、託児所が現場にあれば、1つ何かが解決するのではと思いました。(もちろん)今回このような光栄な賞をいただいた真意のわかる一年であると思いますし、もっと先になんであの人だったんだろうっていうことをELLEさんをはじめこの動画を見てくださってる方に恩返しをしていくというか自分の活動だったり、ということでお返ししていくという思いはあります。でも唯一自分のことは嫌でもずっと付き合っていかなきゃいけない対象なので、愚かさとか醜さとかもわかってる自分の行動がこれからも全てだなと思っているので、いただいた賞に相応しい人間の行動を起こしていきたいなと強く思っています。