本田技研工業は、同社が2011年に販売開始した日本のライフスタイルに寄り添う軽自動車「N」シリーズの発売10周年を記念し、12月16日に「Nシリーズ10周年 記念イベント」を開催した。

本イベントでは、10周年を記念して、Nシリーズのブランディングを統括するクリエイティブディレクターの佐藤 可士和氏、完全オーダーメイドのウェディングブランド「CRAZY WEDDING」創業者の山川 咲氏、本田技術研究所 CMFデザイナーの渋谷 恭子氏が登壇し、10年間のNシリーズの歩みやライフスタイルの変化について、トークセッションが行われた。

Nシリーズにかける想いとは

Nシリーズは、"New Next Nippon Norimono"をメッセージに、「日本にベストな新しいのりものを創造したい」という思いを込め、2011年発売の第一世代「N-BOX」からスタートしたHondaの軽自動車シリーズ。家族との生活を豊かにする「N-BOX」、自分の個性を大事にする「N-ONE」、ドライバーベストを追求する「N-WGN」、働く人を元気にする「N-VAN」の4つのラインアップで展開する。

佐藤氏は、初めての軽自動車N360の「N」を使い、リブランディングを提案したことから、Nシリーズが誕生したと当時を振り返る。2017年9月に発売した第二世代では、"N for Life"をテーマに、乗るだけではなく、もっとNのある暮らしを知ってもらい、多様化する価値観やライフスタイルに合わせて、進化を重ねた。

渋谷氏は、1人ひとりの暮らしを作りたいと思い、さまざまシーンを想定し、使う人がどんな気持ちになってもらいたいかを意識してデザインしたと語る。第二世代目では、「Refreshing Coodination」をコンセプトに掲げ、忙しいママが少しでもハッピーになるよう、乗ることでエネルギーチャージできる心地よい空間を目指したという。

  • Nシリーズ10周年 記念イベント

    (左)「CRAZY WEDDING」創業者 山川 咲氏
    (右)Nシリーズ クリエイティブディレクター 佐藤 可士和氏

ライフスタイルの変化と車のあり方

昔はみんなが同じものを好んでいたが、それぞれの豊かさを求めたライフスタイルに変化したことにより、車も1人1台など、スマホと同じようなあり方になっているのではないかと佐藤氏はいう。

渋谷氏は、コロナの影響でリモート化が進み、1日がシームレスになったいま、いかに1日を心地よく過ごすかが大事だと話す。車も同じで、心地よく過ごせて、乗る人を迎え入れたり、後押しできるような存在になることが必要だと開発メーカー目線での考えを語った。

  • Nシリーズ10周年 記念イベント

    本田技術研究所 CMFデザイナー 渋谷 恭子氏

山川氏は、「外国車や高級車が良いという考えはいまだにあると思うが、先日キャンプに行った時に軽自動車で来ていた人は、自分は"この軽自動車に愛着がある"いうのが伝わってきて、これが今のかっこよさなんだなと感じた」とユーザー目線で話す。

山川氏も自身が創業した「CRAZY WEDDING」の中で、結婚式のコンセプトなんか自分で作れないという人も多かったというが、話を聞くとつまらない人生の人はいなくて、それぞれの人生の面白さや良さがあるということを目の当たりをしたと話す。車も"これしかない"ではなく、自分自身が"これがいい"と思えるのが重要ではと語った。

Nシリーズのユーザーには、「N-ONE」にルーフテントをつけてキャンプや車中泊旅行を楽しむ人もいるという。佐藤氏も渋谷氏も「この使い方は想定してなかった」を話し、N-ONEでやりたいと思い自分流を楽しんでくれていることに喜びを表した。

  • Nシリーズ10周年 記念イベント

    ルーフテントをつけた「N-ONE」

どんな世代もパートナーになれる存在に

昔は、車好きの男性が相棒として使うイメージがあったが、今ではどんな世代でも車と付き合える時代なのではと山川氏は話す。

それを受けて、渋谷氏は「パートナーになれるものづくりをしたい、移動するだけの使い道ではなく、自分を表現するものとして、使ってもらえると嬉しい。ぜひ山川さんもパートナー見つけてほしい」と熱く語った。

Nシリーズが誕生してから10年、ライフスタイルも大きく変化した。これから10年もNシリーズがどのようなかたちで人に寄り添い進化をしていくのか楽しみだ。