俳優の吉沢亮が主演を務める大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)の第40回「栄一、海を越えて」が19日に放送された。今回、実業の第一線を退いた栄一(吉沢)が、排日の機運が高まっていたアメリカとの関係を改善しようと妻・兼子(大島優子)と渡米し、特別列車で全米60の都市を巡って民間外交に奔走。演説シーンでは吉沢が熱演を見せた。この回について、吉沢と演出を務める黒崎博チーフ・プロデューサーが語った。
■列車シーンは「スタッフの皆さんが全力で揺らして…」
列車のシーンは、スタッフが電車を揺らして走っているように見せ、窓の外の風景はCGで作り出した。
吉沢は「スタッフの皆さんが全力で電車を揺らして走っているように見せて、窓の抜けなどは全部グリーンバックなので想像して、という感じでしたが、その感じが逆に楽しかったなと。皆さんと相談しながら作り上げて楽しかったです」と撮影を振り返り、完成した映像について「広大な土地が広がっていて、すごくきれいな映像だなと思いました」と感想を語った。
演出を務める黒崎博チーフ・プロデューサーは「苦労したのは、列車がなかなか揺れなくて、10人も20人もセットを囲んで揺らして……本当に現場でスタッフみんな頑張ってくれました」と裏話を披露。「狭いセットで長時間撮影したので、役者の皆さんもスタッフも大変でしたが、いつの間にか、これまでには出てなかった栄一と兼子の夫婦関係が見えてきたり、結束感が生まれた不思議な作用があったなと思いました。撮影終盤のこの期に及んで、グリーンバックで合成も大変だしスタッフにはご苦労をかけてしまいましたが、青天チームの一体感が生まれたんじゃないかなという瞬間を感じ、それがよかったなと思っています」と現場で感じた一体感を明かした。
■演説シーンの仕上がりに「うるっときました」
そして旅の道中、長年の友、伊藤博文(山崎育三郎)暗殺の知らせが飛び込み、栄一は悲しみに暮れる。排日運動が激しいサンフランシスコの商工会議所でスピーチを控えていた栄一は、中止を提案されるも、「アメリカを頼んだぞ」という伊藤の言葉を思い出し、壇上に立った。
そして、「日米の親善は55年前にさかのぼります」と語り出した栄一は、「日本人は敵ではありません。我々はあなた方の友だ。日本人移民はアメリカから何かを奪いに来たのではない。この広大な地の労働者として役に立ちたいという覚悟を持ってやってきたんです。それをどうか憎まないでいただきたい」と呼びかけ、「みんなが幸せになる世を作る。私はこれを世界の信条にしたいのです。ノー、ウォーだ」と訴えると大きな拍手が沸き起こった。
吉沢は演説シーンについて、「いろんな面で難しいと思っていました。英語の通訳と同時進行で進んでいくのでセリフのタイミングもそうだし、どこに向けての感情なのか、いろいろ考えながらお芝居しました」と難しさを感じていたと告白。そして、「すごくいい感じに仕上げてくださって、自分の芝居ではあるんですけどちょっとうるっときました」と完成した映像に感動したという。
黒崎氏は、このシーンでの吉沢の熱演を絶賛。「吉沢さんの芝居の熱量に僕自身が驚きました。こんなに強いシーンになるんだと思いました。想像をグッと超えて演じてくださって、アメリカ編をやってよかったなと思わせてくれるシーンでした」と称えた。
SNSでも「栄一さんの演説に涙しちゃった」「素晴らしい演説です!!渋沢さん!吉沢さん!」「栄一の演説…泣ける…」「吉沢亮さんの演技素晴らしかった」「心が震えた」などと感動や絶賛の声が続出している。
いよいよ来週26日に最終回を迎える『青天を衝け』。吉沢は「年を重ねてもどんどん挑戦していく栄一の姿がこの作品の肝。それを最後までやり切ったと思っているので、そういう部分を見ていただきたいと思います」と語っている。
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