俳優の吉沢亮が主演を務める大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)の第40回「栄一、海を越えて」が19日に放送された。今回の最後に登場した北大路欣也演じる徳川家康は、26日の最終回にも登場し、この物語を見届けるという。視聴者にも大人気の“家康コーナー”について、演出を務める黒崎博チーフ・プロデューサーに話を聞いた。
第40回では、慶喜(草なぎ剛)の伝記の編纂が大詰めを迎え、栄一は「これでようやく、正しく御前様(慶喜)のことを、また、幕末の世の真相を世間に知らしめることができる」と喜んだ。慶喜は「いつ死んでおれば徳川最後の将軍の名を汚さずに済んだのかずっと考えてきた。しかし、ようやく今思うよ。生きていてよかった」と語り、「尽未来際ともにいてくれて感謝しておる」と栄一に感謝。「快なり、快なり快なり快なりじゃ!」と言って栄一に微笑みかけ、栄一も目を潤ませながら笑顔を見せた。
悩み苦しみ続けてきた徳川最後の将軍・慶喜。ようやく心のモヤモヤから解き放たれたような晴れやかな笑顔と穏やかな表情を見せ、栄一もさぞうれしかったに違いない。そして、ナレーションで「徳川慶喜は77歳の天寿を全うしました」と死が告げられた。
今回のラスト、白い空間に切り替わり、北大路演じる家康が登場。「慶喜よ、よくぞ生き抜いてくれた」と労い、「徳川の世が閉じて以来、励み続けてくれた者たちも次々と亡くなりました。しかし、栄一はまだまだ止まりませんよ。さあ、どうか最後まで、私とともに見守っていただきたい」と力強い眼差しで視聴者に呼びかけた。
黒崎氏は“白い世界”の演出について「慶喜さんは徳川の世を閉じていったので、少し天国感が出てもいいのかなというつもりで、ああいう色調にしてみました」と説明。「最終回まで家康さんにきちんと見届けていただこうと思っています」と最終回の登場も明言した。
そして、「最初は歴史の語り部として登場してもらった家康さんですが、北大路さんの力というか、眼差しが大きいと思うのですが、語り部だけではなく、一緒に物語を見ている存在に」と、単なる語り部を超えた存在へと成長していったと語る黒崎氏。
「『青天を衝け』の家康さんは、栄一のことが好きだろうなって思うんですよね。家康さんはいつも栄一を、ご自分の立場で応援しているというのがにじみ出ている。時には息子のように、孫のように見ている瞬間もあったかもしれないし、人としての視線を出してくださって、それは北大路さんの力だと思う。我々としても物語の最後まで伴奏したいと思わせてくれるすごいパワーを発揮していただいた」と北大路に感謝した。
さらに、「最後に家康さんを撮り切ったあと、吉沢さんも感無量な顔をしていて、肉親に会ったような、再会したようなシーンがスタジオでは繰り広げられたんですけど、そんな不思議な時空を超えた関係が出来上がったと思っています」と、スタジオの様子も明かしつつ、本作における家康の存在の大きさを語った。
北大路も、先月イベントに登壇した際、“家康コーナー”に言及。「ドラマを俯瞰の目で見る立場の人がドラマに対して発言をしていくというアイデアを作られた作家の方、プロデューサーの方々の大勝利だと思います」と制作陣を称え、「私は徳川家康の役にはすごい縁がありまして、20歳くらいから何回もやらせていただいています。ですから、感謝の思いで務めさせていただきました」と思いを明かしていた。
主演の吉沢も「家康はもう最高です! 視聴者の皆さんが家康さんを待っていますよね。僕も待っています(笑)」と視聴者同様に楽しんでいる“家康コーナー”。26日の最終回ではどのような登場となるのか、最後まで駆け抜ける栄一を見守るとともに、家康のラストも楽しみたい。
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