歌手・女優の中山美穂が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、あす19日に放送される『日中共同制作第10弾 この町で人生を変えたくて ~結婚とお金と生きがいと~』。今、世界中から夢と金が集まる中国・深センで暮らす日本人たちを追った作品だ。
「結婚」「お金」「生きがい」…この町で人生を変えたいと海を渡った人たちが“夢”を追う姿に、中山は何を感じたのか――。
■面白い人を面白い人として扱う深セン
今回登場するのは、深センの中心地にあるバーを切り盛りし、中国人と国際結婚したゆきさん(35)。投資会社で数億円の運用を任され、いつか大きな富を手にする成功を夢見る鈴木さん(26)。そして、深センに集まってくる最先端技術を世界へ発信する電子機器のエキスパート・高須さん(47)だ。
特に若者の2人は、日本での生きづらさを感じて深センにやってきたといい、ナレーションでは「成功を求める若者にとって、日本はいつから“居づらい国”になったのでしょう」と読むシーンがある。
彼らがこの街で夢や希望を抱く姿に、「私たちの年代はすごくいい時代を過ごさせてもらってきたし、ハングリー精神や欲みたいなものがあったなと思います」と、かつて勢いのあった日本を見ている感覚にもなったという中山。「日本だと、面白い人がどんどん押し退けられてしまう空気があったりするかもしれないですけど、(深センは)面白い人を面白い人として扱ってくれるのがいいなと思いました」と印象を語る。
自身も芸能界という夢のある世界に飛び込んだ1人だが、「生きるだけで精いっぱいで、『夢』とか言ってられませんでした(笑)」と、デビュー当時の多忙な日々を述懐。それでも、「音楽が一番好きな仕事なので、音楽を届けられることで皆さんが受け取ってくれるものがあるのかな…という夢はありましたね」と、歌手活動をやりがいに突き進んでいたそうだ。
■東日本大震災でパリの日本人コミュニティに
ゆきさんのバーの常連客は日本人も多く、その顔ぶれは日本企業の駐在員や、深センでの成功を夢見る若きビジネスマンたちなど。中山もパリという異国に暮らしていた時期があったが、「現地の社会に慣れたかったので」と、あまり日本人のコミュニティに属さないようにしていたという。
それでも、2011年に東日本大震災が起こると「日本から離れているんですが、『どうしよう…』『なんとかしなきゃ…』という気持ちで、一気にそのコミュニティとつながっていきましたね」と、同胞がいることの安心感を覚えたことを明かした。
前回、2019年10月20日放送の『ザ・ノンフィクション』の日中共同制作作品でドキュメンタリー番組のナレーションに初挑戦したが、読み始めの場面ではあまりの緊張から、あの中山美穂の声が震えていた。今回はそれ以来のナレーションで、やはり緊張もあったというが、「(視聴者に)伝わらないといけないものですから、とにかく“ちゃんとやろう”と思いました」と、意識して臨んだという。
曲のレコーディングでは、ブースに入ると大きく深呼吸を2回するという“儀式”を行うそうだが、今回の収録でもそれを実行。「ブースの中って孤独な作業なので、その世界に入り込むまでに時間がかかるので」と集中を高めていたが、「お芝居みたいに何回もお稽古するものじゃないので、その難しさもありましたね」と振り返っていた。
●中山美穂
1970年生まれ、東京都出身。85年、ドラマ『毎度おさわがせします』(TBS)で女優デビュー、シングル「C」で歌手デビューし、以降も『すてきな片想い』『For You』『眠れる森』『Love Story』などのドラマ、『波の数だけ抱きしめて』『Love Letter』『東京日和』などの映画に出演、「世界中の誰よりきっと」「ただ泣きたくなるの」などのヒット曲を持つ。22年5月には映画『死刑にいたる病』が公開予定。