思慮という言葉は比較的目にする機会の多い言葉です。その一方で、日常会話などではあまり使われないこともあって、読み方や意味がわからないという方もいるでしょう。

今回は思慮の読みや意味をはじめとして、適切な使い方を例文付きでご紹介します。

  • 思慮の意味

    思慮の意味や使い方を身につけましょう

思慮とは

思慮は「深く考えること」「注意深く心を働かせて考えること」または「その考え」という意味の言葉です。日常の中でも目にする機会が多い一方で、実際に会話で使っているという方は案外少ないかもしれません。

ここでは思慮の正しい読み方や意味についてくわしくご紹介します。

思慮の読み方

思慮は「しりょ」と読みます。会話のみでなく、文章で読む機会も多い言葉なのでしっかりと覚えておきましょう。

思慮の意味

「思」という言葉には「思う」の他に「心」や「考える」といった意味があります。そして「慮」には「考える」「おもんばかる」「深く考える」という意味があります。

それぞれ似た意味合いの言葉が重なることで、「注意深く思いを巡らせる」「深く考える」または「深く思い巡らす考え方」という意味になります。

単に「思う」や「考える」と表現するよりも深いニュアンスで使われるケースがほとんどです。

「思慮深い」とは?

思慮はよく「思慮深い」という表現で使われます。これは「物事をしっかりと深く考えることやその様子」を表します。

「考える」という言葉はときには「考えすぎ」といった形でネガティブな意味で使われることもあります。しかし思慮深いという表現はポジティブな表現になるため「思慮深い人」というとほめ言葉であると考えてよいでしょう。

  • 思慮の類語・置き換え表現

    まずは意味をしっかりと知ることが大切です

思慮の使い方・例文

思慮の意味を知っていても、正しく使いこなせなければコミュニケーションに役立てることはできません。ここでは思慮の正しい使い方を例文付きでご紹介します。

ビジネスシーンでの使い方・例文

思慮はビジネスシーンでも使いやすい言葉のひとつです。それでは具体的な例文をあげながら使い方をご紹介します。

  • 彼はやや思慮が浅いため、プロジェクトを任せるのに不安がある
  • 思慮分別が欠けていては、一時的には成功してもいずれ問題を起こすことになるだろう
  • 彼は思慮深い性格なので今回の企画に適した人材です
  • 思慮深いことが今回の企画を統括するためには欠かせない要素です

このように思慮という言葉は文章の中で名詞的に使用されます。一方で「思慮する」と動詞のように使うことは基本的にはありません。動詞的に使用するのであれば類語の思料や考慮に置き換えるようにしましょう。

また、思慮は単体ではなく、すでにご紹介した「思慮深い」や、物事の道理や善悪などを注意深く判断するという意味を持つ「思慮分別」という熟語で使われることもあります。

日常会話での使い方・例文

思慮はやや硬い表現ではありますが、日常会話でも使用できます。

  • 彼は思慮が浅いので信用できない
  • 思慮深いという点が彼女の魅力であり、会社でも信頼されている理由だ
  • 君には思慮分別のある行動ができる大人になることを期待している
  • あの人は思慮が浅いので問題ばかりを起こす

日常会話の中では思慮が浅い、思慮が深いという形で使われるのが一般的です。思慮が浅い人というと、物事をしっかりと考えずに軽率な行動をするというネガティブな意味あいになるので使うときは注意が必要です。

メールでの使い方・例文

思慮という言葉は口頭のみでなく文面、メールでも使うことができます。

  • 計画を成功させることはもちろんのこと、思慮分別のある行動を意識してください
  • 思慮深い方なのでとても助かりました

文面の中で使用する場合も、基本的には会話の中などと同じように名詞的に使用されます。

  • 思慮を正しく使いこなせるようになろう

    思慮の正しい使い方を身につけましょう

思慮の類語・言い換え表現

ここでは思慮の類語や置き換え表現をご紹介します。

思料

思慮と近い意味で使われる言葉としてはまず思料があげられます。読みも「しりょう」で、思慮と近いことから混同されてしまいがちです。思料の意味は「いろいろな思いをめぐらして考えること」です。思慮とほぼ同じなので置き換え表現であるといえます。

違いとして、思慮は「思慮深い」のように名詞的に使われることが多いのに対して、思料は「思料する」など動詞的に使われることがほとんどだという点があげられます。

反対に「思慮する」のような動詞的な使われ方はあまりないので覚えておきましょう。

思案

思案には「いろいろと考えをめぐらすこと」という意味があり、思慮と近い意味を持ちます。思案も「思案する」といった形で動詞的に使えます。

同時に思案には心配や物思いなど、ネガティブな表現で使われることもあるため、思慮との使いわけができます。

考慮

考慮には「さまざまな物事に思いを巡らせ、考えること」「いろいろの要素を含めてよく考えること」という意味を持ちます。前者の場合、思慮と意味が近く、置き換え表現として使えます。

ビジネスシーンにおいては後者の意味で、「先日の件も考慮して検討する」として使われることもあります。「考えの中に含めておく」という意味で使われるときは思慮と意味を取り違えないように注意しましょう。

案ずる

案ずるには「考えを巡らす」という意味があり、思慮の置き換え表現として使用できます。この言葉には同時に「心配する」という意味もあるので、この点を頭に入れておくと思慮との使いわけがしやすいでしょう。

  • 思慮の英語表現

    類語を知ることで表現の幅を広げることができます

思慮の英語表現

ここでは思慮の英語表現をご紹介します。

  • consideration

思慮は英語で「consideration」と表現されます。 より砕けた表現としては「thought」や「good sense」などがあります。

思慮深いの英語表現は?

  • thoughtful

思慮深いは一般的に「thoughtful」と表現されます。思慮深い人は「a thoughtful person」です。 日本語では思慮と単体で使うのみでなく、思慮深いと表現することも多いので頭に入れておきましょう。

  • 思慮の正しい使い方を例文でご紹介

    思慮の英語表現も頭に入れておきましょう

思慮を正しく使いこなせるようになろう

思慮は「しりょ」と読み、注意深く思いを巡らして考えるという意味の言葉です。「思慮深い」や「思慮分別」という使い方が多く、ビジネスシーンをはじめとして日常会話でも使用されている言葉です。

今回ご紹介した例文や類語を参考にして正しい使い方を身につけてくださいね。