ホンダは「N-BOX」の特別仕様車「N-BOX Custom STYLE+ BLACK」を発売した。軽自動車「Nシリーズ」に共通するブランドとして新たに立ち上げた「STYLE+」の第1弾で、随所に黒を使った外観が特徴だ。新ブランドを全車種に展開していくのであれば、今後は黒基調のNシリーズが増えていくのだろうか。ホンダの営業担当に話を聞いた。
Nシリーズ各車に個性的な特別仕様が登場?
「N-BOX」はホンダの軽スーパーハイトワゴンで、初代の登場は2011年のこと。現行型は2世代目となる。燃料タンクを前席の下に置く「センタータンクレイアウト」により獲得した広い室内空間が高く評価されていて、初代のころから売れ行きも堅調。ホンダによれば、2011年12月~2021年11月の累計で、登録車を含む国内新車販売台数の第1位がN-BOXだったそうだ。つまり、この10年で、日本で最も売れたクルマということになる。
ホンダは今回、N-BOXの一部改良(オートブレーキ付き電子制御パーキングブレーキを全車に標準装備)に合わせて新たな特別仕様車「N-BOX Custom STYLE+ BLACK」を発売した。N-BOXには「ノーマル」と「カスタム」があり、特別仕様はカスタムをベースとする。
営業担当によると、N-BOXのカスタムを好むユーザーの多くは「スタイリッシュで上質」なところに魅力を感じているとのこと。そこで特別仕様車では黒をテーマカラーとし、随所に加飾や追加アイテムを入れて個性を強めた。
「STYLE+」という新ブランドは今後、軽商用バン「N-VAN」を含む「Nシリーズ」の全車種に展開していくとのこと。そうすると、黒を基調とするカッコいい系の特別仕様車が増えていくのかと思いきや、そうではないようだ。
ホンダによると、「STYLE+」ではNシリーズの各車(とユーザーの嗜好)に合わせて特別仕様を作っていくとのこと。今回は「N-BOX Custom」がベースだから「STYLE+ BLACK」としてスタイリッシュ/上質方向に振ったが、例えば「N-BOX」のノーマルバージョンをベースとする場合には、また違ったキャラのクルマを作るつもりだという。つまり、「STYLE+ BLACK」の「BLACK」の部分は固定ではなく、ベースとなる車種によって変わっていくのだ。
ホンダの営業担当に聞いたところ、軽自動車を購入するユーザーの7割くらいはクルマを「下駄」(日常の移動手段)と捉えつつも、クルマを所有する喜びを感じたいと思っていたり、クルマでこだわりを表現したいと感じていたりもするとのこと。そうしたユーザーに選択肢を提供したいというのが「STYLE+」を立ち上げたホンダの狙いだ。さらにいえば、「Nシリーズ」の購入者は「Nシリーズ」からの乗り換えが増えているそうで(全体の3割くらい)、「前とはちょっと違ったクルマに乗りたい」という需要もあるのだという。
各モデルに個性を強調する特別仕様車が増えていけば、さらに商品力が高まりそうなNシリーズ。個人的には個性派軽自動車「N-ONE」にどんな「STYLE+」が登場するのかに興味がある。女性ユーザーも多いと聞くので「STYLE+ ドルチェビータ」みたいな方向性となるのか、あるいはMT仕様があるので「STYLE+ シティーレーサー」といった感じに持って行くのか。ホンダの提案に注目だ。