近年の住宅には「24時間換気システム」が設置されていて、居住空間の空気を常時入れ替え、新鮮でキレイな空気の状態を維持しています。ですが、年末年始など来客で人が集まる場合は、よりしっかりと換気を心がけたいものです。
そんなときに役立ちそうな、「寒い冬に窓を開けず、より効率よく換気する方法」を、三菱電機が紹介しています。
レンジフードファンの弱運転との併用で、換気量が3倍以上に
三菱電機は、社内の試験用住宅内において、窓を閉めて「24時間換気システム」による換気を行ったうえで、「レンジフードファンの弱運転を行った場合」と「行わなかった場合」の換気量を測定しました。
その結果、「レンジフードファンの弱運転を行った場合」は、「24時間換気システム」のみの場合と比べて、リビングにおいて3倍以上の換気量を確保できたそうです。
レンジフードファンの「強」運転でも試験したそうですが、強だと換気量が過剰になり室温が変化する可能性があるため、電気代や運転音なども考慮すると「弱運転で十分」だとしています。
なお、レンジフードファンの活用は常時ではなく、あくまでも人が集まることが多い時間帯やシーンでのみ推奨とのことです。
「24時間換気システム」が正しく使えているかチェック
24時間換気システムが設置されている室内は、日常生活で最低限必要な換気量は確保されています。しかし、誤った使用方法では換気が十分にできていない可能性があります。以下の2点を確認しましょう。
1つめは、浴室やトイレなどに設置されている換気扇にホコリなどの汚れが詰まっていないか。24時間ずっと換気しているため、換気扇には汚れが詰まりがち。そして汚れが詰まると吸い込める空気の量が減って、十分に空気を外に出すことができない可能性があるそうです。換気扇は小まめに掃除しましょう。
2つめが、給気口がしっかり開いているか、汚れが溜まっていないか。室内に設置されている給気口が閉まっていたり汚れが溜まっていると、室内の空気が換気されず、よどんだ空気が室内に蓄積されてしまいます。また、結露やカビが発生する原因にもなるそうですので、給気口は必ず「開けっ放し」にしておきましょう。給気口が家具などで塞がれていないかも要チェックです。
扇風機やサーキュレーターで「空気のよどみの解消」
ただし、空気は目に見えないため、部屋の形や家具の形状によっては局所的に空気が溜まり、汚れた空気が室内に残っている可能性があります。そこで、汚れた空気が室内に残らないように、扇風機やサーキュレーターを活用して室内の空気を攪拌(かくはん)させ、室内の「空気のよどみの解消」を行うことも重要だそうです。
ちなみに、「24時間換気システム」が設置されていない住宅(建築基準法改正以前の住宅)は気密性がそこまで高くなく、家自体が“呼吸”しているため、自然と換気ができているそうです。もし人が多く集まるなど換気量が気になる場合は、レンジフードファンなどの換気機器を使用しましょう。
北海道大学大学院工学研究院建築都市部門教授の工学博士 林基哉先生は、「換気」について次のように解説しています。
「お部屋の空気をキレイに保つには、まず十分な換気量を確保することが大切です。気象条件に配慮しながら窓を開けたり、レンジフードファンなどの換気機器を利用して十分な換気量を確保しましょう」
また、「空気のよどみの解消」については、以下のようにアドバイスしています。
「お部屋に滞留する空気を攪拌させながら換気すれば、空気中に偏在する有害物質の濃度をむらなく下げることができ、高濃度のまま他の人に届くことを防ぐ効果が期待されます。重要なことは、外気を取り込むだけでなく、室内全体の空気を効率的に排出することです。
一方、家庭内で健康的な生活をしていく上では、温度の急変を抑制する必要があります。家庭内で『換気による安心感』、『室温変化が少ない快適性』を両立するために、エアコン空調による室内空気の攪拌や温度設定を利用することは上手な換気方法です」