「お雑煮っていつ食べるべきなの?」と疑問に思っている人は多くいるのではないでしょうか。
今回は、お雑煮を食べるタイミングや由来・具材の意味などを詳しく解説します。また、地域ごとのお雑煮の違いなども紹介するので参考にしてください。
お雑煮はいつ食べる? 適切なタイミングとは
お正月の伝統料理として、人々が古来から大切にしてきたお雑煮。縁起物の一つなので、適切なタイミングで食べたいと思う人もいるでしょう。ここからは、お雑煮を食べるタイミングについて詳しく解説します。
一般的には三が日のどこかで食べる
お雑煮は、一般的には「三が日」と呼ばれる1月1日から3日までの間に食べることが多くなっています。ただし特にこれといった決まりがあるわけではないため、必ずこの期間に食べなければいけないというわけではありません。地域や家庭内の風習・習慣などに合わせて、好きなタイミングに食べるといいでしょう。
「三が日の間は毎日食べるべき」という意見も
食べ方に明確なルールがあるわけではないお雑煮ですが、「三が日の間は毎日食べるべき」という意見もあります。また、「毎日お餅を1つずつ増やして食べれば縁起がいい」とか「おせちの後にお雑煮を食べたほうがいい」などの説もあるため、げんを担ぎたい場合は参考にするといいでしょう。
おせち料理の残りと一緒に元日に食べる地域も
北海道や東北の一部の地域では大晦日におせち料理を食べる風習があり、これらの地域においては、お雑煮はおせちの残りと一緒に元日に食べられています。年末年始の文化や慣習は地域ごとに少しずつ異なるため、おせち料理や年越しそばを食べるタイミングには違いがある場合もあります。
ただし、お雑煮に関しては北海道や東北でも必ず年が明けてから食べられるため、食べ始めは全国共通して元日であると考えていいでしょう。
お雑煮の由来
お雑煮の起源は平安時代にまでさかのぼると言われています。当時、お餅は「ハレの日」に食べる縁起のよい食べ物であり、神様へのお供えものとして使われていました。その供えたお餅と里芋やにんじんなどを、その年の最初に井戸や川からくんだ「若水」で煮込み、元旦に食べたことがお雑煮の始まりとされています。
なお、「お雑煮」という言葉は「さまざまな具材を煮合わせて煮雑ぜ(にまぜ)したこと」が語源となっているようです。
お正月にお雑煮を食べる理由
お正月にやってくる神様を「年神様」と呼びますが、その年神様へのお供えものには古来から霊力が宿るとされてきました。人々は「お下がりのお餅を使ったお雑煮を食べることでパワーをもらえる」と考え、その年の豊作や家内安全を祈願する意味を込めてお雑煮を食べ始めたのです。
お雑煮を食べる時は両端が細くなっている「祝い箸」というものを使いますが、この「祝い箸」も縁起物の一つと知られています。これは片方を神様が、もう片方を人間が使う「神人共食」を表しているもので、「年神様とともに食事をしている」ということを示しているのです。
お雑煮の具材の意味
お雑煮と言えば、基本的にはメインであるお餅の他に大根やにんじん、ネギなどの一般的な野菜を具材に用いますが、地域によってはその土地柄を感じさせる具材が入ります。
昔から縁起物として大切にされてきており、さまざまな意味や願いが込められているお雑煮だけに、用いられている具材にもげん担ぎや魔除け効果などの意味が込められていることがあります。
ここからはお雑煮の具材が持つ意味について紹介しますので、ぜひ具材を選ぶ際の参考にしてください。
お餅の意味
お雑煮に欠かせない具材であるお餅。よく伸びるため「長生きの象徴」と言われており、長寿を願ってお雑煮の中に入れられています。
地域によって使われるお餅の種類には違いがあり、西日本側で使われる丸餅には「角が立たず円満に過ごせる」という意味が込められています。
一方、角餅は一度に多く作れるため、人口が集中していた江戸を中心に使われてきました。「敵をのす(倒す)」という意味を込め、のし餅(つきたての餅を伸ばした餅)を切った角餅を縁起物として使うようになったという説があり、関東地方では今でもこの角餅が主流となって用いられています。
青菜と鶏の意味
地域によってはお雑煮の定番の具材である青菜や鶏肉。特に武家文化の強い関東地方では小松菜や鶏肉を入れ、「菜鶏(なとり)」を「名取り」とひっかけ、「敵の大将の首を取って名乗りを上げるように」との意味が込められていたそうです。
里芋の意味
里芋は小芋をたくさんつけるため、「子孫が繁栄しますように」というげんが担がれています。京都府や奈良県、兵庫県などの関西地域でお雑煮にいれる風習があるようです。
にんじんの意味
おせち料理によく使われる紅白かまぼこは「赤が魔除け」「白が清浄」を意味しているため、赤色であるにんじんも魔除けの意味を込めてお雑煮に用いられていると考えられます。
頭芋の意味
京都では「人の頭になって過ごせるように」「出世できるように」との願いを込め、頭芋(かしらいも)を入れます。
地域別お雑煮の違い
日本全国で食べられているお雑煮ですが、その種類や味付けは地域によってさまざまです。基本的にその地域の特産品や文化に根付いた具材が使われるため、自然と地域ごとに差が生じたのでしょう。
ここからは地域別のお雑煮の違いを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
東北地方のお雑煮
基本的に山菜やきのこ類が使われるケースが多い東北ですが、いくつか特徴的なお雑煮を食べている地域があります。
例えば青森県の南郷では、捕鯨が盛んだったことから「くじら雑煮」が食べられています。くるみをすりつぶして味付けしたタレにお雑煮をつけて食べる岩手県や、いくらと鮭をお雑煮に入れる新潟県なども、特色を持つ地域として知られています。
関東地方のお雑煮
関東地方は、お雑煮のお餅に角餅を使うのが基本です。味付けは昆布や鰹節で出汁を取る「すまし汁」が一般的で、関西地方でよく使われる里芋はあまり用いられず、鶏肉を入れる地域が多いという特徴があります。
また、千葉県では青海苔が入れられるなど、地域の特産品が別途入る場合もあります。
関西地方のお雑煮
関西ではお餅の種類は丸餅、味付けは白味噌仕立てでお雑煮を食べるのが一般的。ただし、関西でも日本海側や山間部など、一部の地域では赤味噌が使われます。
中国・四国地方のお雑煮
中国・四国地方では、地域ごとに特徴的なお雑煮が食べられています。例えば、広島県では特産品である牡蠣がお雑煮に入れられ、鳥取と島根にまたがる出雲地方ではぜんざいのような「小豆雑煮」が食べられるのが主流。
他にも、香川県の「あん餅雑煮」という、白味噌の汁にあん餅を入れたものなどが特色のあるお雑煮として知られています。
地域の風習にあわせてお雑煮を楽しもう
お雑煮の起源は平安時代ごろとされており、その年の豊作や家内安全を祈って食べる縁起物として浸透してきました。一般的には三が日の間に食べることが多いですが、これといった決まりがあるわけではないため、家庭内の習慣にあわせて自由に食べるといいでしょう。
お雑煮の具材や味付けには地域ごとに大きな違いがあるため、地域の風習や伝統を踏まえたうえでお雑煮を楽しむようにしましょう。