政府は子育て支援と省エネ住宅を推進する観点から、子育て世帯や若者夫婦世帯を対象に「こどもみらい住宅支援事業」を創設し、住宅取得のための補助を行うことを決めました。対象者や対象となる住宅、リフォームについてわかりやすく解説します。さらに、令和4年度税制改正によって変わる住宅ローン減税についても合わせてお伝えします。

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「こどもみらい住宅支援事業」とは

子育て世帯や若者夫婦世帯が住宅を取得する際に、高い省エネ性能を有する住宅を新築、あるいは一定のリフォームを行うと国から補助を受けられる制度です。

住宅の新築で補助を受けられる対象は子育て世帯や若者夫婦世帯に限られますが、リフォームについては全世帯を対象としています。子育て世帯と若者夫婦世帯がリフォームする場合は補助金の上乗せがあります。

対象者

新築

子育て世帯:18歳未満の子を有する世帯

若者夫婦世帯:夫婦のいずれかが39歳以下の世帯

※年齢はいずれも令和3年4月1日時点

リフォーム

全世帯

対象となる住宅・リフォーム

子育て世帯・若者夫婦世帯による住宅の新築
  • ※対象となる住宅の延べ面積は、50平方メートル以上とする

住宅のリフォーム
  • ※子育て世帯・若者夫婦世帯は、上限45万円(既存住宅購入を伴う場合は60万円)※安心R住宅の購入を伴う場合は、上限45万円

対象期間

令和3年11月26日から令和4年10月31日までに契約の締結等を行い、住宅を整備・分譲する事業者が所定の手続により事務局の登録を受け、その後に着工したものが対象。

手続き

住宅を整備・分譲する事業者が申請します。国は事業者に対して補助金を交付し、住宅の取得・リフォームを行った人は事業者から補助金を受け取ります。

変わる住宅ローン減税

子育て世帯や若者夫婦世帯が住宅を新築すると、こどもみらい住宅支援事業によって補助金を受けられることは大きなメリットです。一方で、令和4年税制改正によって見直される住宅ローン減税の影響も少なからず受けることになるでしょう。そこで、住宅ローン減税がどのように変わるのか、要点をお伝えします。

住宅ローン減税の変更点

・制度を4年間延長
・控除率を1%から0.7%に引き下げ
・控除期間が新築住宅は13年間、中古住宅は10年間になる
・控除対象の借り入れ限度額が住宅性能、入居年によって変わる(下表参照)
・対象者の所得条件が3000万円以下から2000万円以下に引き下げ

●控除対象の借り入れ限度額

  • ※出典:住宅ローン減税 税制改正 2022年度/NHK

控除率が1%から0.7%に引き下げられたことが影響として一番大きいでしょう。これまで一般の住宅を取得した場合、借り入れ限度額が4000万円、控除率1%で10年間控除できたので、最大控除額は400万円でした。令和4年に入居した場合は、借り入れ限度額は3000万円となり、控除率0.7%、期間は13年となったので、最大控除額は273万円となります。期間は長くなったものの、控除額が引き下げられたため、最大控除額が32%減少しています。

認定住宅を取得した場合はどうでしょうか。これまでのケースは認定住宅の借り入れ限度額5000万円、控除率1%、10年間控除で最大控除額は500万円となります。令和4年に認定住宅を取得した場合は、借り入れ限度額5000万円、控除率0.7%、期間13年で最大控除額は455万円となります。この場合は9%減少となりました。

今回の住宅ローン減税の見直しは、政府が推し進める住宅の省エネ性能の向上や長期優良住宅の取得の促進が背景にあるため、認定住宅や省エネに配慮した住宅を新築することにメリットをおいていることがわかります。

省エネ住宅はメリットが多い

子育て世帯や若者夫婦世帯がこれから家を建てるなら、補助金を受け取ることができ、税制面でも有利な省エネ性能を有する住宅を新築するといいでしょう。ただし、これらは住宅取得の負担を軽減してくれる手段であって、目的にならないように気を付けましょう。

年収と物件価格に乖離がないか、ライフプランにあわせて無理なく返済していける金額か、客観的に判断して購入可能な金額を決めたあとに、住宅性能に優れた物件を選ぶことでの金銭的メリット分を上乗せする形で購入金額を上げて、認定住宅や省エネに配慮した住宅を取得するのは賢い選択だと思います。目先の情報だけでなく、長い目でみて得する選択ができるといいですね。