否定的なニュアンスで使われることの多い「窓際族(まどぎわぞく)」。しかし、働く人の中には窓際族であることを肯定的にとらえている人もいるようです。
本記事では、窓際族の意味や特徴を解説。さらに、窓際族になりたい人が知っておきたい実態や窓際族からの脱却方法も紹介します。
窓際族の意味
窓際族とは、会社といった組織において出世ルートから外れた中高年のサラリーマンを指す言葉です。重要な仕事を与えられる機会もほとんどなく、組織の中で置き去りにされてしまった社員を揶揄的に窓際族と呼びます。
窓際族の由来
窓際族という言葉の由来は、出世ルートから外れたことで実質的な仕事を与えられることなく、社内の窓際の席で新聞を読んだり窓の外をぼんやり眺めていたりする中高年を「窓際おじさん」と表現したことに由来します。1977年に北海道新聞のコラムにてこの言葉が使われて以降、「窓際族」として広まりました。
当時は、多くの企業で終身雇用制度が定着していたこともあり、出世ルートから外れ、組織として必要とされなくなっても解雇しないという形が一般的でした。大きな過失があるわけでもない社員を解雇することが悪とされていたからです。
しかしバブル経済が崩壊し、長い不況の時代が続いたことによって多くの企業は窓際族を雇い続ける余裕がなくなります。
これをきっかけに、早期退職優遇制度の導入やリストラなどの人員削減を積極的に行う企業が増え、結果として現在では窓際族は減少傾向にあります。
窓際族の英語表現
窓際族は、主に終身雇用制度が根付いていた日本で使われてきた言葉ですが、英語では「deedwood」や「excess baggage」といった、「役に立たない人」などと揶揄する言葉で訳されます。
窓際族と社内ニートとの違い
現在では窓際族と近い意味で「社内ニート」という言葉も使われるようになりました。いずれも社内において仕事が与えられず、時間を潰している社員といった意味合いを持つ表現です。
違いは窓際族が中高年を指すのに対して、社内ニートは若年層に対しても使われることが多いという点です。
窓際族になりやすい人の特徴
窓際族という言葉はネガティブな意味合いが強いことから、そう呼ばれる人になってしまうのはできれば避けたいという方が多いでしょう。
ここでは、窓際族になりやすい人の特徴を紹介します。
コミュニケーションが得意ではない
業種にもよりますが、組織内で出世していくためにはコミュニケーション能力が求められます。社外の人と接触する営業職ではもちろんのこと、社内でもチームで仕事をするのであれば同僚とのコミュニケーションは欠かせません。
また、出世することは部下を率いて組織を動かす立場になることを意味します。部下とのコミュニケーションはそこでもまた必要となるでしょう。
そのため、組織内において「コミュニケーション能力が低い=出世に適していない」と判断され、窓際族となってしまう可能性が高いというわけです。
要領が悪い
効率的に仕事をこなすためには優先順位をつけることが大切です。多くの仕事を抱えていると、何からこなせばいいのかわからなくなってしまうこともあるでしょう。優先順位がわからないままでは効率的に仕事をこなすことができません。
仕事に優先順位をつけるということは、自分の置かれている状況を正確に把握して、仕事の整理ができることを意味します。逆にこれができないということは、自分のすべきこともわからない要領の悪い人と認識されてしまうでしょう。
その結果、組織内での評価も低くなってしまうかもしれません。
他人任せで積極性がない
サラリーマンとして出世するためには、仕事に対する積極性も重要なポイントです。誰かから仕事を頼まれるまで動かなかったり、与えられた仕事しかしなかったりする人も結果として窓際族になってしまう可能性があります。
仕事に対する積極性が低いと、周囲からの評価を下がる原因となるでしょう。その結果、かんたんな仕事しか任されなくなったり、仕事が回ってこなくなったりするというわけです。
責任感がなく仕事の完成度が低い
組織内で出世するためには、仕事への責任感も重要な要素です。任された仕事に対して責任感を持ってやり遂げることができなければ、周囲も大きな仕事を頼みにくくなります。
出世するということは、同時に多くの責任を負うことを意味します。そのため、仕事の完成度が低かったり仕事のスピードがあまりにも遅かったりする人は、出世しにくくなるというのは容易に想像がつくでしょう。
窓際族になることを避けたいのであれば、自身の責任感や仕事への姿勢について改めて考え直す必要があるといえます。
窓際族になりたい人が知るべき実態
日々忙しい仕事の中で、窓際族になりたいと考える人もいるのではないでしょうか。仕事に追われ続けていると、のんびりと過ごしながら給料を貰っている窓際族をうらやましく感じたとしても無理はありません。
しかし、当然窓際族には多くのリスクやデメリットがあります。ここでは、窓際族になりたいと考える人が知っておいたほうがいい実態について紹介します。
左遷の可能性がある
窓際族は、現在の部署などでは仕事がない人のことを指します。つまり、そのオフィスには必要がないと判断されていて、結果として思わぬ部署や支社などに左遷される可能性と常に隣り合わせといえるでしょう。
クビになる可能性がある
終身雇用制度が根付いていた時代とは違い、現在では仕事を任せられない人を雇い続ける余裕がないという企業も増えています。そのため、窓際族はいつクビになってもおかしくない状況に置かれた人となってしまいます。
周囲の視線が気になる
窓際族は、基本的に仕事をせずに社内で無為な時間を過ごすことになります。つまり、重要な仕事をせずに給料を貰っているというイメージを持たれ、周囲からの視線が冷たくなるケースも少なくありません。
パワハラを受けている可能性がある
上司からのパワハラやいじめといった理由で、仕事を与えられず窓際族や社内ニートになってしまう可能性もあります。この場合、今後も組織内で働き続けるのであれば、上司との問題を解決すべきでしょう。
窓際族が辛いときに起こす行動
窓際族になってしまったからといって、何もできないわけではありません。
窓際族になってしまって辛くなったとき、どのような行動を起こしたらいいのでしょうか。
異動や出向を検討する
窓際族になってしまった現在の状況を変えたいのであれば、異動や出向を希望することで環境を変えられる可能性があります。
社内に残りながら環境を変える手段として、検討するのもひとつの手段です。
積極的に同僚を手伝う
自分に仕事が与えられないのであれば、積極的に同僚を手伝うという方法もあります。
一度は窓際族になってしまったとしても、仕事に対する積極的な姿勢を見せることで、再びチャンスを与えられる可能性は十分にあります。
コミュニケーションの方法を変える
窓際族になる原因のひとつに、コミュニケーション能力の不足が挙げられます。
コミュニケーションの取り方を変える努力をすることで、周囲との積極的に人間関係の構築・改善していくことによって窓際族を抜け出せる可能性があります。
独立を検討する
会社の中で仕事をするのが難しいのであれば、組織を出て独立を検討するのもひとつの方法でしょう。
起業するだけでなく、フリーランスとして独立するという選択肢もあります。
窓際族の意味や特徴を理解しよう
窓際族を勝ち組とポジティブにとらえる人がいる一方で、引け目に感じている人も多くいるようです。窓際族の意味や特徴だけではなく、実態まで理解することで、自分自身のキャリアプランを考え直すきっかけになるでしょう。
自分が窓際族になったときのことまで考えてみると、今の仕事との向き合い方を見直すことにもつながるのではないでしょうか。