初老は何歳ぐらいを指すのかご存じでしょうか? 「50歳から」と答える人もいれば、「いやいや60代後半だ」という人もいるかもしれません。
今回は初老とは何歳からなのか、意外と知られていない年齢の定義を解説。また、初老という言葉の由来や類似する表現、初老が注意したい症状や老化予防のポイントについても紹介します。
初老とは?
初老とは何歳ぐらいの人を指すのか、語源や年齢の定義についてくわしく解説します。
初老の由来
初老の語源は、奈良時代にさかのぼります。当時は特定の年齢以降、10歳ごとに長寿を祝う習わしがありました。長寿に関する初めてのお祝いは40歳で、それを初老と呼んだことがはじまりです。
「初」と「老い」という漢字からもわかるとおり、人が老いを感じはじめることを表す言葉です。
初老は何歳?
初老の年齢は40歳とされています。ただし、あくまでも今より平均寿命が短かった時代の共通認識であり、男女ともに平均寿命が80歳を超えている現代では、40歳はまだまだ働き盛りであり、初老と呼ぶには早すぎると考える人が多いようです。
2010年にNHK放送文化研究所が行ったwebアンケートでは、初老と聞いて思い浮かぶ年齢として「57歳」という回答が最も多い結果となりました。ここから、初老が本来意味する年齢と世の中の人が想像する年齢とではギャップがあることがわかります。
初老と中年との違い
初老と中年は似ている言葉ですが、初老の本来の意味が40歳をピンポイントで指すのに対し、中年は40歳前後~50代半ばと幅のある年齢のことをいいます。中年を使った言葉としては、「中年層」や「中年太り」などがあります。
初老の次は?
40歳を初老というように、50歳を表す言葉に「知命(ちめい)」があります。孔子が『論語』の中で、「50歳で天から授かった使命に気づいた」と記されていることから50歳=知命といわれるようになりました。
また、60歳は還暦(かんれき)、66歳は緑寿(ろくじゅ)、70歳は古希(こき)と、初老の後にも特定の年齢を表す言葉があります。どれも人生の節目となる年齢ですので、あわせて覚えておきましょう。
初老の使い方と例文
初老は40歳を指す言葉ですが、最近では体力やメンタル面で老いを感じた瞬間にも使われることがあります。
初老は、基本的には自分の状態を指すときに用います。他人に対して「初老を迎えてどうですか?」と聞くのは失礼にあたるので注意しましょう。
・初老を迎えてから、体力の低下を感じる
・黒いセーターを着た初老の男性
・初老になってから朝のジョギングをはじめた
・初老にさしかかり、今後のライフプランを見直したいと思う
・健康診断で引っ掛かり、自分が初老なのだと実感した
自分自身が「老けたなぁ」と感じるときに、初老と言い表すことができます。
初老の類語・言い換え
初老=40歳ですが、「老い」という漢字が入っているため自分を表現する際に使うのをためらってしまうという人もいるでしょう。
そこで、初老の類語やニュアンスをやわらかくした言い換え表現を紹介します。関係性によっては、相手を表す言葉としても使えるので覚えておきましょう。
【類語】不惑(ふわく)
初老の類語に不惑(ふわく)という言葉があります。聞き慣れない表現ですが、『不惑のアダージョ』『沼の中で不惑を迎えます。輝くな! アラフォーおっかけレズビアン!』といった、マンガや映画のタイトルとしても使用されている言葉です。
また、孔子の『論語』には「四十にして惑わず」という表現があり、「40歳を迎えて心に迷いがなくなった様子」を意味します。初老よりもポジティブな印象があるため、場合によっては相手にも失礼なく使える言葉といえるでしょう。
・不惑を過ぎた今、この分野では誰にも負けないと自負している
・不惑を迎え、人生のターニングポイントに立っている
・不惑に至るまであっという間だった
【言い換え】アラフォー
アラフォーは「アラウンドフォーティー」の略で、37~43歳くらいを指す言葉です。具体的な定義はなく、周辺や周囲という意味の「around(アラウンド)」に年代を組み合わせた和製英語です。
アラフォーは、もとはファッション誌で「年齢を明記しない表現」として生まれました。50歳近くになると、今度はひとつ上の年代を表す「アラフィフ(アラウンドフィフティー)」と呼ばれます。
・明日は、アラフォーの友人同士で集まって食事会をする
・アラフォー近くなると、今までの化粧品では物足りない
・若そうに見えて、アラフォーだと聞かされびっくりした
初老の英語表現
初老は英語で「Elderly」と表現します。例えば「an elderly gentleman」とすれば「初老の紳士」と訳すことができます。また、初老期の英訳は「in the autumn of life」となります。
老化を意味する表現はほかにも、中年を意味する「middle-aged」や、年齢を意味する「age」の変化形「aging・ageing (エージング)」がありますので覚えておきましょう。
初老を実感する瞬間
初老を感じるタイミングは人それぞれですよね。ここでは、身体面・精神面・見た目で初老を実感するポイントと老いの対策もまとめました。
【身体面】視力や体力などの老い
「階段を上ると息切れがする」「活字を追っていると視界がかすんでくる」などの身体的な問題を実感して初老を意識する人も多いでしょう。体力は日ごろの運動でキープできますが、老化による視力の低下はある程度仕方のないことだといえます。
体力面の対策としては、週に何度かの運動習慣を身につけることがおすすめです。また、視力に違和感を覚えはじめたら、すみやかに眼科を受診して視力悪化の進行を防止しましょう。
【精神面】気力や集中力などの老い
老いはメンタル面にも影響するものです。中には「物事に集中できなくなった」「何をしても昔より楽しめない」という悩みが出てくる人もいます。また、女性は更年期障害に悩まされる時期でもあり、身体面の老いがメンタルにも影響します。
ほかにも認知機能の低下が見られる場合もあるため、何か精神的に不調を感じたら、早めにメンタルクリニックや婦人科を受診することをおすすめします。
【見た目】髪の毛やしわなどの老い
ふと鏡を見た瞬間に「こんなにシワがあったっけ……」と老いを感じるケースもあります。特に女性は、メイクをしたりスキンケアをしたりする際に自分の顔を見る機会が多く、見た目の老いに気づくこともあるでしょう。
男性であれば、毛髪の薄さが気になって老いを感じたという人もいるのではないでしょうか。経済力に余裕があれば、美容整形や増毛などでケアすることもできます。
初老が注意すべき病気
初老を過ぎると、メンタル面に不調をきたす人も増えてきます。落ち込んだり焦ったりと気分が変動しやすい年齢でもあるため、以下のような病気には要注意です。
そのまま放置しておくと悪化してしまうケースもありますので、少しでも違和感がある場合は医療機関を受診するようにしましょう。
初老期精神病
初老期精神病とは、40~60歳に多くみられる精神疾患の総称です。妄想性精神病やうつ病、痴ほう疾患、初老期における認知症も含まれます。また、初老期精神病は統合失調症とも混同されやすいですが、どちらかというと双極性障害(躁うつ病)に近いとされています。
更年期障害
更年期障害は、閉経後におこる体調不良や精神的不調のことをいいます。個人差はありますが40~50歳後半の女性が発症するケースが多く、主に女性ホルモンの低下が原因とされています。
症状としては、ほてりやめまい、頭痛、冷え、イライラ、情緒不安定などが特徴です。
初老の過ごし方が今後の人生を左右する
初老とは40歳を指す言葉ですが、寿命が延びている現代では自分が老いを感じたタイミング=初老であると認識することが多いようです。
また、寿命が延びたことで、初老を迎えた後の人生も長くなっている今、老化対策をすることも必須といえます。特にメンタル面のケアは重要ですので、不調を感じたらすぐ医療機関を受診しましょう。