この記事では、病気休暇制度について解説していきます。
会社員や公務員の場合、病気になった際に有給休暇などを使って仕事を休み、治療に専念することができます。
しかし、風邪で2~3日休むのとは異なり、長期間にわたって治療を必要とし、仕事を休むとなると、復帰できるのか不安になったり、お金の心配も出てきたりしますよね。
休暇制度のひとつに「病気休暇」というものがあります。休んでいる間の不安を減らし、治療に専念するためにも、病気休暇はぜひ知っておきたい制度です。
この記事では、病気休暇がどのような制度なのか、メリットやデメリットなどを紹介していきます。
病気休暇制度について
病気休暇とは、病気やけがによる治療や通院のために取得できる休暇制度です。病気休暇のほか、傷病休暇など呼び方はさまざまです。
病気休暇とは?
病気休暇は労働者が、病気の治療を続けながら働くのをサポートすることを目的とした休暇です。
病気を抱える社員にとって働きやすくなるだけではなく、会社にとっても社員が働きやすい環境を整えることでより会社への貢献を期待できるなど、さまざまなメリットがあり、多くの企業が導入しています。
休職制度との違い
休職は、原則として労働者の都合によって一定期間休むこと全般をさします。
病気以外にも家庭の都合や留学といった目的での自己都合休職や、今いる会社に籍を置いたままグループ会社に出向する出向休職など、さまざまな休職があります。
病気やけがによる休職についても、休職の場合には一定期間休み続けることを意味するのが一般的です。一方、病気休暇は、会社の制度にもよりますが通院のために1日や半日単位、時間単位で休暇を取得することが可能なケースもあります。
法定休暇と法定外休暇
病気休暇は、法律による定めがなく、企業が制度の有無や内容を自由に決められる法定外休暇(特別休暇)です。
法律で定めがある法定休暇としては、年次有給休暇があります。年次有給休暇は、労働者からの申請があった場合、企業には休みを付与する義務があります。
病気休暇が必要な理由
病気休暇が必要とされる理由には、労働者の中で長期間治療が必要な心身の病気を抱える人が増えてきた背景があるといわれています。
治療が困難な病気も、医療技術の発展により治療が可能となったものの、日常的な通院など治療の継続が必要となりました。
病気休暇があれば、休みもとりやすく、年次有給休暇を治療のために使い切ってしまうこともなくなるなど、メリットがあります。
民間企業の病気休暇
民間企業において、実際に病気休暇がどのように使われているのか解説します。
病気休暇中の給料
病気休暇中の給料については、会社の規定によって異なります。
病気休暇は特別休暇のため、給料の有無、給料を支給する場合の金額割合など会社が独自に設定することが可能です。自社の就業規則などで確認しておくのがおすすめです。
ボーナスの支給は?
ボーナスの支給に関するルールは、会社によって異なります。
ボーナスの査定期間中に、ボーナスの支給条件を満たすだけの勤務実績があれば、ボーナスが支給される可能性は高いでしょう。一般的にボーナスが支給されることの多い7月と12月について、それぞれ多くの企業が10~3月、4~9月を査定期間にしています。
ボーナスをもらえるかどうかは、会社のボーナス支給のルールと勤務実績を照らし合わせて、確認しておきましょう。
診断書は必要?
病気休暇を取得するために、会社が診断書の提出を条件としている場合は診断書が必要となります。
一般的に診断書は、会社を休む際や、業務の調整を行う際などに使われます。病気休暇に加えて、病気やけがによる業務量や勤務時間の調整が必要になる場合など、診断書があれば、勤務時間などの調整をスムーズに進めることも可能です。
勤務先に確認の上、必要があれば診断書を提出しましょう。
公務員の病気休暇
公務員にも、病気休暇と呼ばれる制度があります。民間企業との違いにも触れながら、公務員の病気休暇について解説していきます。
国家公務員と地方公務員での病気休暇の違い
公務員の休暇は、人事院規則によって定められています。
ただし、これは国家公務員の場合で、地方公務員の休みについては地域ごとの条例によって決められています。地方公務員の場合は、自分の休みを決めている条例がどれなのか、どのような内容になっているのか確認しておくのがおすすめです。
公務員の病気休暇の日数
公務員の場合、休職期間のうち、はじめの90日を病気休暇扱いとしています。期間が1週間以上となる場合には、診断書の提出が必要です。
給料の支給について
公務員の場合、病気休暇の3カ月間は全額の給料が支給されます。
その後、1年以内の休職は給料の8割が支給されます。1年以上の休職の場合は、給料が支給されません。
ボーナスについて
公務員のボーナスは過去半年の勤務状況によって支給が決定されるため、その期間の支給条件を満たしていれば、ボーナスが支給されます。
病気休暇のメリット・デメリット
病気休暇にも、メリット・デメリットがあります。労働者側と会社側から、それぞれ病気休暇のメリット・デメリットにどのようなものがあるかを解説します。
労働者側のメリット
労働者にとっては、病気休暇があれば、会社を辞めることなく、治療を続けることが可能です。
特に、半日や時間単位で休みを取得できる制度になっていれば、通院の時間だけ休みを取って、仕事への影響を最小限におさえられます。
病気やけがで、自分がいつ治療や通院が必要になるかわかりません。今は健康な社員にとっても、勤務先の会社に病気休暇があることは安心感につながるといえるでしょう。
労働者側のデメリット
病気休暇中に無給となる場合は、取得することで給料が減ってしまうことはデメリットといえるでしょう。
仕事を休むことで、業務や昇進に影響が出る可能性も考えられます。
会社側のメリット
会社としては、治療や通院が必要な社員が就労を継続できるようサポートすることで、貴重な人材が退職するのを防げます。
特別休暇としての病気休暇の導入には、福利厚生の側面もあるため、休暇制度を充実させることは、企業としてのアピールポイントにもなります。
会社側のデメリット
状況によっては、人員補充などを考えなければならず、判断の難しさがある点は企業にとってデメリットでしょう。
病気休暇を取得した本人の病状や仕事への影響によっては、現状の人員で仕事を割り振るのか、新しく人員を補充するのか判断が必要となるケースもあります。
新しく人を雇う労力や費用、一度雇用した場合に簡単には解雇できないといった事情を考えると、難しい判断が必要になります。
病気休暇は勤務先のルールをよく確認しましょう
病気休暇は、一般企業においては会社が独自で定めることができる法定外休暇で、制度の有無や運用のルールは、会社によって異なります。
病気休暇の取得を考えている方は、就業規則を確認したり、上司に相談したりしましょう。公務員にも病気休暇の制度がありますが、条例などにより規則が定められているため、事前によく確認しておくのがおすすめです。
病気休暇制度について正しく知ることで、安心して仕事を休み、治療に専念することができます。勤務先の休暇に関する制度を、ぜひ確認してみましょう。