調査会社のBCNが、昨今のデジタル家電の販売状況リポートを発表しました。リモートワークや巣ごもりの“コロナ特需”で好調に売れたものと、コロナの影響で不振が続いたものが二極化していましたが、いよいよコロナ特需も終了するのでは…と分析。長らく不振が続いていたデジタルカメラも、コロナの落ち着きや意欲的な新製品の登場で反転の兆しが見えています。
売れたモノ、売れなかったモノ
コロナ前後で売上が急上昇した商品は「PCカメラ」(Webカメラ)「有機ELテレビ」「映像関連」(Fire TV Stickなど)「ゲームコントローラー」「キーボード」などが上位を占めました。いずれも、自宅でのリモートワーク環境の構築や、自宅で過ごす時間を豊かにする“巣ごもり家電”がほとんどで、コロナ時代の生活を色濃く映し出しています。
逆に、売上が奮わなかった商品は「携帯オーディオ」「デジカメ」「デジタルビデオカメラ」など。外出や旅行、イベントの際に活躍する製品が上位を占めました。
ただ、コロナの落ち着きとともに、これまで伸びていた商品も勢いが弱まってきています。BCN チーフエグゼクティブアナリストの道越一郎氏は「コロナで需要を先食いしたため、その反動で販売が今後急激に落ち込む可能性もある」と分析しています。
主要な商品ジャンルの動向
薄型テレビは、有機ELテレビの好調な販売を受けて平均単価が上昇しています。販売台数シェアは、シャープとTVS REGZA、ソニーの3社が首位争いを続けている状況で、Hisenseもじわりとシェアを高めています。平均画面サイズは44型前後で、大型化の動きはほぼ止まったといえます。
デジタルカメラは、2021年春に売上が一時的に回復したものの、コロナの再拡大で再び大きく沈んでいました。しかし、ミラーレスカメラ用の交換レンズは2021年秋から再び販売が伸び始めています。カメラ本体も、ひと足遅れて復活する可能性が高そうです。平均単価は、ニコンの「Z 9」の予約開始とともにグラフが急上昇しているのが注目で、ニコンファン待望のフラッグシップミラーレスへの期待の高さがうかがえます。
パソコンは、リモートワーク特需を受けて2020年に急伸したジャンルですが、2021年は早くも特需が沈静化していました。販売が苦戦するなか、平均単価は上昇傾向を見せています。道越氏は、搭載CPUの高性能化やストレージのSSD化が進んだことを大きな要因として挙げています。
パソコンの周辺機器では、グラフィックスボードの動きが印象的でした。品不足や需要増を受けて、2020年秋から価格が急上昇し、一時は平均単価が8万円を超えるレベルにまで上昇。販売数量が数カ月ごとに急上昇しているのは、ビットコインの高騰によるマイニングブームが発生したことが大きい、と道越氏は分析します。
スマートフォンは、アップルが相変わらず圧倒的なシェアを維持しています。特に注目されるのが、SIMフリー端末の販売台数が2021年9月以降に急上昇したこと。iPhone 13シリーズを携帯電話キャリアではなくアップルから購入した人が増えたからとみています。
2021年に大きな動きがあったのが、工事の必要なく自宅に通信回線が設置できるホームルーター。NTTドコモが2021年8月末に5G対応モデル「home 5G HR01」を発売して参入したところ、それまで圧倒的なシェアを持っていたソフトバンクを超えていきなりトップシェアに躍り出ました。ドコモブランドの強さが垣間見えたといえます。