以前、お子さんが1才になったばかりで仕事復帰をした直後の人に聞かれました。「毎日のごはん、どうしていますか?本当に大変で大変で…」。わたしはどう答えるべきか、少し迷ってしまいました。いまなら、あっさりと思えるのです。食事は大人のごはんからちょっと取り分けてお湯でのばしてつぶせば、それだけでじゅうぶんだし、時間がないときは具沢山のお味噌汁とごはんがあれば、上出来。それもできないときは、レトルトやお弁当に頼るのも悪くないよ、って。
子どもが日ごとに食べられるものをひとつずつ増やしていき、その瞬間に自分が立ち会えるなんて、しあわせなことです。小さな口で一生懸命食べる様子を見られるのは、なんてかわいく、わくわくすることなのだろうと、うらやましくすら思います。
でも、当の立場にいたときは、楽しむなんてとんでもない。無垢で小さな子どもを前にすると、このひとさじが血となり肉となるのか、と思い、手抜きをするのもはばかられるような、なんだかうしろめたいような。少し大きくなっても、「子どもに与えたいもの」と「食べてくれるもの」の間で揺られ、限られた時間のなかで、栄養や手間や段取りや味付けその他いろいろなことがしっちゃかめっちゃかになっていた、あのころ。