スズキは軽自動車「アルト」の新型を12月22日に発売する。新型アルトで新たに設定するマイルドハイブリッド(MHV)仕様は燃費が27.7km/l(WLTCモード)で軽自動車トップとのこと。MHVが付かない最も安いグレードは94.38万円と低価格にもこだわっている。
初代「アルト」は47万円、新型は94万円
アルトはスズキが1979年5月に発売した軽自動車(国内累計販売約526万台)で、今回の新型は9世代目となる。スズキの鈴木俊宏社長は新型アルトについて、「お求めやすい価格、軽さ、扱いやすさといった軽セダンの本質的魅力はそのままに、時代のニーズに合わせてMHVを採用し、予防安全装備を充実させました。利便性と走行性能は妥協なく作り込み、内外装は世代を超えて親しみを感じてもらえるよう、愛着がわくデザインに一新しています」と説明する。
新型のグレードは「A」「L」「HYBRID S」「HYBRID X」の4種類。各グレードで2WD(前輪駆動=FF)と4WDが選べる。AとLの燃費(2WD、WLTCモード)は25.2km/lで価格幅は94.38~112.97万円、MHVを搭載するHYBRID SとHYBRID Xは同27.7km/lで109.78万円~137.94万円だ。販売目標は月間6,000台とする。
鈴木社長によると、初代アルトは47万円からという価格設定だったそうだが、新型に47万円という値段を付けることは「時代が違ってきている」ので難しいとのこと。ただ、初代アルトを発売した42年前と今とを比べると、物価上昇に加えて新車発売に際してクリアすべき法規、燃費規制、排気ガスへの対応などが重なり、クルマの価格を上げざるを得ない状況となっている。そのあたりを含めて考えると、「当時の47万円は今の94万円くらいに相当するのでは」というのが鈴木社長の見方だ。
軽自動車を気軽に使える日常的な履物である「下駄」の代わりと位置づけ、「下駄を極める」ことを目標に掲げるスズキ。同社で最も安い(=手軽な)アルトの価格を低く抑えることは、下駄がわりのクルマを作りたいとする同社にとって重要なポイントだったようだ。