ぐるなび総研は、2021年の⽇本の世相を反映し象徴する「今年の一皿」が「アルコールテイスト飲料」となったことを12月9日に発表した。

2021年の「今年の一皿」は「ノンアルコール飲料」

「今年の一皿」は、、優れた日本の食文化を人々の共通の遺産として記録に残し、保護・継承することを目的に同社が2014年より開始した取り組みで、2021年で8回目となる。検索数、上昇数など一定条件を満たした40のワードを抽出、さらにぐるなび会員を対象としたアンケートで30に絞り、メディア審査で選ばれた4つのワードから最終的に1ワードを実行委員会が承認する。

  • 画像提供:ぐるなび総研

今年のノミネートワードは「アルコールテイスト飲料」「昆虫食」「マリトッツォ」「ミールキット」の4つ。その中から、2021年の「今年の一皿」として「アルコールテイスト飲料」が選ばれた。選定理由としては、酒類提供制限を受けて多くの飲食店で提供され経営の救世主となり、今後の日本の食文化として定着する可能性があることが挙げられた。

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なお発表会では、ノンアルコール文化を普及する「shirafer(シラファー)」プロジェクトの代表・小石川泰弘氏が登壇、記念品を贈呈された。小石川氏は「アルコールテイスト飲料の普及に関わる皆さんを代表して、受けとらせていただきました。ありがとうございました」とコメントを寄せている。

「ノンアルコール飲料」今後の展望は?

同発表会では、「shirafer」代表の小石川 泰弘氏、若手料理人コンペティション「RED U-35 2021 ONLINE」でグランプリを獲得した「Yamanashi gastronomy Ichii」のシェフ・堀内浩平氏、 食プロデューサーの狐野 扶実子氏の3名によるトークセッションも行われた。

  • 左から、「shirafer」代表 小石川 泰弘氏、「Yamanashi gastronomy Ichii」シェフ 堀内浩平氏、 食プロデューサー 狐野 扶実子氏 画像提供:ぐるなび総研

堀内氏がシェフを務める「Yamanashi gastronomy Ichii」では、コロナ禍の影響を受け、注文する方も増えたことでノンアルコール飲料の種類もより増やしたそうだ。「山梨というとフルーツが有名なので、山梨産のフルーツやハーブを使ったモクテルや、発酵ドリンクを提供しています。日々メニュー開発にも取り組んでいます」。

また小石川氏は、「コロナ禍の影響や若者の酒離れなど、様々な要因があるとは思うのですが、今までどちらかといえば脇役だったアルコールテイスト飲料が今年は主役に躍り出ました。これまでも妊娠されている方、運転をしている方は元々飲みたくても飲めない状況でしたが、今年は誰もが楽しめるようになったと感じています」とこの一年を振り返った。

JAL機内食の監修も務める食プロデューサーの狐野氏は、「アルコールテイスト飲料とのペアリングが楽しめるようになった」と最近の状況についても言及した。「苦みの効かせ方やテクスチャーなど、味覚の細かいところまでこだわりがあるので、バリエーションもぐっと増えました。それに伴い合わせる料理のジャンルも広がっています。先日訪れたお店では、松の葉を抽出して柑橘を加えた飲み物とジビエを組み合わせたりと、アルコールテイスト飲料で緻密なペアリングをされていて驚きましたね」。

また、アルコールテイスト飲料は欧米でも広がっているという。ニューヨークからリモートで参加した狐野氏は、「クリスマスや年末の時期、食べたり飲んだりして、1月は節制しよう、という気持ちになります。ロンドンから発信されたムーブメントですが、ニューヨークでもじわじわと増えていますし、1月に限らず年間通して高まっているように感じます。SDGsの健康志向の高まりもありますね」と世界の動向について解説した。

最後にアルコールテイスト飲料の今後について、小石川氏は「アルコールテイスト飲料は一過性のブームではなく、日本が誇る文化になると思います。今まで取り切れなかった層を取り込める需要の発掘になりますし、飲む人も飲まない人も幸せになるツールです。僕らも世界に発信できるよう頑張っていきます」と締めくくった。

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