「且つ」は、ある事柄に対して更に事柄が加わることを表す接続詞です。文章で見かけることが多い表現であり、演説やプレゼンテーションなどのかしこまったシチュエーションでも触れる機会は多いでしょう。

本記事では、「且つ」の意味や読み方、使い方を解説します。また、「且つ」の類語や英語表現も紹介しますので、ぜひご一読ください。

  • 「且つ」の意味と読み方

    「且つ」についてくわしく解説していきます

「且つ」の意味・読み方

且つは「かつ」と読み、「ふたつの事柄や行為が並行して行われている」状態を意味します。また、ある事柄に対して、もうひとつの事柄を加える「更に」「その上」の意味も持つ表現です。

「且つ」は事柄同士を並行させるのではなく、付け加える働きをする接続詞になります。

「且つ」 は漢文訓読に由来する接続詞

「且つ」は、行為や物事が並行して行われていることを表すときに用いる接続詞です。由来は漢文訓読にあります。漢文訓読とは、漢文に記号を付けることで日本語として理解していく読み方のことです。

  • 「且つ」の意味と読み方

    且つは行為や事柄が並行している状態を表す言葉です

「且つ」の使い方と例文

「且つ」の使い方や例文を紹介します。

「且つ」は日常会話ではあまり使用しない

「且つ」は、どちらかというと堅い表現になります。中には日常会話で使う人もいますが、あまり使いやすい言葉とはいえません。

「且つ」は書類やレポートといった文章や、ビジネスシーンでの挨拶やプレゼンテーションなどで頻繁に使用されます。

「且つ」の読点は臨機応変に

「よく遊び且つよく学ぶ」のように2つの行為を並べたときに、「且つ」の前後に「、」(読点)を必ず付けるルールはありません。しかし、文章が長い時や漢字やひらがなが続いて読みにくくなる時などは、読点を付けたほうが読みやすくなる場合があります。

読点を付ける際は「よく遊び、且つよく学ぶ」と「且つ」の前に付けるのがおすすめです。3つ以上の行為や物事を並べる時も、読点があると文章が読みやすくなります。

「且つ」を用いて相反する行為や物事を成立させる

「且つ」は単に接続するだけではなく、相反する行為や事柄を「且つ」を用いて文章をつなげると、どちらも同時に行われている状況を表すことができます。

たとえば「勉学に励みつつ、且つ恋愛も楽しむ」という文章の場合、「勉学に励む」と「恋愛を楽しむ」は相反する行為といえるでしょう。しかし、「且つ」でつなげると、どちらも同時に行われている状況を表現できるというわけです。

「尚且つ」とすることで強調できる

「且つ」は行為や事柄に対して、別の行為や事柄を付け加えて、「その上」「更に」という意味で使うことも可能です。「この会社はやりがいがあり、且つ待遇もいい」は「やりがいがあって更に待遇もいい」といった意味となります。

この文章をより強調したい場合には、「尚且つ」を使用しましょう。「この仕事はやりがいあり、尚且つ待遇もいい」とすると、後半の「待遇がいい」を、より強調することができます。

「且つ」の例文

「わたしの彼氏はよく食べ、且つよく飲む」
「この車は性能が抜群、且つ価格もリーズナブルである」
「彼は野球部のエースで、且つ生徒会長だ」

  • 「且つ」の使い方を例文とあわせて紹介

    「且つ」を正しく使いこなしましょう

「且つ」の類語

「且つ」の類語表現を紹介します。

あわせて

「同時に」「その上」「更に」といった意味がある「あわせて」は「且つ」の類語といえるでしょう。ある行為や事柄に加えて、並行して何か行うことを表す際に用いられます。

「遊ぶ、且つ学ぶ」のように「且つ」を使う時は、前後の言葉をつないで、ひとつの文章として表記しますが、「あわせて」は「遊び、あわせて学ぶ」とつなげて使用はせず、「来週面談に来てください。あわせて指定の書類を持参してください」のように、それぞれ別の文章として使います。

及び・または

いくつかの事柄をつなげるときに用いるのが「及び」です。「肉及び魚」と表記する時は肉と魚が並行になるため、「肉と魚」と言い換えることもできます。

「且つ」は動詞や形容詞をつなげるのに対して、「及び」は名詞と名詞をつなげる時に使用します。

また、前後のどちらかを選ぶ場面では「または」を使用しましょう。「または」は英語の「or」に近い意味をもち、ふたつの事柄を並行させる「且つ」に対して、「肉または魚」のように「前後2つのうちのどちらか」という意味になります。

  • 「且つ」の類語を紹介

    「且つ」の類語には「あわせて」「及び」「または」などがあります

「且つ」を表す記号は「∩」

「ある集まりに属しているか、属さないかを明確に判別できるものの集まり」を数学では「集合」と呼びます。「集合」にはいくつか記号がありますが、そのなかのひとつ「∩」は「且つ」の意味を持つ記号です。

読み方は「かつ」で、「A∩ B」と使用する場合は、「AかつB」と読みます。Aという円とBという円がそれぞれあり、両方が重なる部分が共通する部分という意味で「Aであり、且つBである」となるのです。

  • 且つを表す記号は「∩」

    数学の集合で使う記号「∩」は「且つ」の意味があります

「且つ」の英語表記

「且つ」を英語で表記したい場合には「and」が適しているといえるでしょう。「and」は「且つ」のほかにも、「そして、並びに、及び、と」などにも使用できます。

  • 「且つ」を英語表記すると

    「且つ」は英語で「and」と表現するのが適してします

「且つ」の意味や使い方を十分に理解して正しく使用しましょう

「且つ」は事柄に対して更に事柄が加わることを表す接続詞の働きや、ふたつの行為などが並行して進行していることを表す副詞の働きをする言葉です。文章を書く時や、プレゼンテーションなどのシチュエーションで使用する機会も多いでしょう。

今回の記事を参考にして、「且つ」の正しい使い方を理解しておきましょう。