JR貨物は9日、川崎車両兵庫工場にて、九州向け量産先行車となる交直流電気機関車EF510形「ECO-POWER レッドサンダー」301号機を報道関係者らに公開した。国鉄時代に導入され、現在も九州で活躍するED76形・EF81形の置換え用として製作された。

  • JR貨物が九州向け交直流電気機関車EF510形301号機を報道公開

    JR貨物が九州向け交直流電気機関車EF510形301号機を報道公開

交直流電気機関車EF510形は2001年から製作を開始し、現在は本州の日本海縦貫線(北陸本線・信越本線・羽越本線など日本海沿岸の路線)や東海道・山陽本線で貨物列車の牽引に使用される。省電力で高出力の新世代機関車として製作され、愛称は「ECO-POWER レッドサンダー」。赤い車体に「RED THUNDER」のロゴが入る0番台のほか、かつて寝台特急「北斗星」「カシオペア」を牽引した500番台もJR東日本からJR貨物へ転籍し、日本海縦貫線を中心に貨物列車を牽引している。

新たに製作されたEF510形301号機は、九州で運行している交流電気機関車ED76形、交直流電気機関車EF81形の置換え用として導入される交直流電気機関車。外観は従来のEF510形のデザインを継承しつつ、車体の塗装を変更した。新塗装のベースとなる銀色は、無塗装ステンレスの機関車EF81形303号機などで親しまれた外観を受け継いでいる。車体前面の窓下にある前照灯・尾灯の周りを紺色、前面・側面の車体下部を紺色と赤いラインの配色とし、車体側面のナンバープレートも赤色としたほか、側面中央部に「RED THUNDER」のロゴを配置した。

  • 車体に「RED THUNDER」のロゴを配置

  • EF510形301号機の外観。前照灯などLED化されている

仕様も本州で運行しているEF510形とは異なり、「JR貨物グループ長期ビジョン 2030」で掲げた「グリーン社会の実現」という価値を提供すべく、貨物鉄道輸送における消費電力削減に向け、交流回生ブレーキを装備したという。

JR貨物は2021年度事業計画の中で、車両部門において故障による輸送障害を未然に防止し、安定輸送を確保するため、老朽車両の置換えを計画的に進めるとしていた。九州地区では置換え後にEF510形を導入し、九州用に仕様変更したEF510形による走行試験を行うとのこと。今回製作されたEF510形301号機は12月16日に車両メーカーから出場予定。運行開始は2023年3月(予定)とされている。