松竹梅(しょうちくばい)は、3段階のランクを表す言葉です。松竹梅が順位付けに使われていることはなんとなく知っていても、どれが一番いいランクなのかわからないという人もいるでしょう。
この記事では、松竹梅という言葉の意味やランクの順番について解説します。さらに、社会人であれば知っておきたい「松竹梅の法則」についても説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。
松竹梅(しょうちくばい)とは?
松竹梅(しょうちくばい)とは、3段階のグレード、格付けをあらわす言葉です。飲食店のメニューや日常会話の中でも、3つあるもののランクを表すのに、使われることがあります。
松竹梅のランクはどれが上?
松竹梅のランクの順番は、一番いいものから「松→竹→梅」と続き、言葉の順番が、そのままランクの高い順になっています。
そのため、飲食店のメニューで松竹梅が使用される場合は、3つのメニューのうち値段が高く上等なものは「松」になります。
松竹梅の意味
「そもそもなんで松・竹・梅なの?」と疑問に感じた人もいるでしょう。
松は常緑樹のため、冬の寒さの中でも緑の葉を保つ「長寿・延年」という意味があり、竹は折れにくい植物のため「成長・生命力」のシンボルといわれています。梅は苔が生えるくらいの樹齢になっても、春になるといち早く香りのいい美しい花を咲かせることから「長寿・気高さ」の象徴とされてきました。
このような松竹梅のことを、中国では古くから「歳寒三友(さいかんさんゆう)」と呼び、冬の厳しい寒さの中でも生命力を持つものとして讃えたのです。
それが平安時代に日本にも伝わり、そこから少しずつ松竹梅が縁起物としてお祝い事などのシンボルとして使われるようになったとされています。引き出物や、お正月に玄関に飾る門松(かどまつ)などがその例です。
なぜ松竹梅は格付けに使われるようになった?
飲食店などでは、「松コース」「竹コース」「梅コース」といったメニュー表記で格付けされていることがよくあります。
これは、寿司屋や蕎麦屋などで「特上・上・並」という3つのメニューがあると、「一番安い並を注文しづらい」「一番高い特上を頼むと気取った印象になる」といった客側の心理に配慮したことから始まったといわれています。
特上を松、上を竹、並を梅と表現すれば、縁起物のシンボルで響きもよく、注文もしやすくなるとして、メニューの名前として表記されるようになったのです。
なお、いいものから「松→竹→梅」という順番になったのには、諸説あります。
ひとつは縁起物のシンボルとなった歴史の古さ順という説です。松が縁起物とされるようになったのは平安時代、竹は室町時代、梅は江戸時代からといわれており、古い順に並べた松竹梅が、そのままランクの順番となったといわれています。
ほかにも、単純に松竹梅の順番が言いやすかったなどさまざまな説が存在します。
松竹梅に続きはあるの?
松竹梅はあくまで3つであり、続きやさらに上の順番は存在しません。
結婚披露宴では、招待客の各テーブルに松竹梅のほかに、福、禄、寿、雪、月、花などのおめでたい言葉が使われています。しかし、どれも松竹梅の続きの意味として使われているわけではないので覚えておきましょう。ちなみに「福禄寿」とは、七福神の神様のうちのひとりを指す名前です。
松竹梅の法則
「松竹梅の法則」という言葉は、ビジネスシーンはもちろん、日常でも交渉事や相手との駆け引きを有利に進めるヒントになりますので、覚えておきましょう。
営業やマーケティングにおける松竹梅の法則
松竹梅の法則とは、価格の選択肢が3つある場合に、人は真ん中のものを選ぶ傾向にあることをいいます。営業やマーケティングにおいて使われる言葉で、松竹梅の法則には「ゴルディロックス効果」というイギリスの童話を元にした呼び方もあります。
松竹梅の法則ではなぜ真ん中が選ばれるのか
価格の選択肢が3つある場合に、なぜ真ん中を選ぶのかというと、人は極端なものを避けようとする心理が働くものであるというのが理由とされています。この心理のことを行動経済学では「極端の回避性」と呼びます。
一番高いものも、一番安いものも3つの選択肢の中では極端なものになります。そこで、真ん中、つまり松竹梅でいうところの竹を、人は選びやすくなるというわけです。
消費者が一番高いものを買おうとするとき「品質はいいけど、値段が高くて自分には贅沢かもしれない」「値段が高いだけに、買って失敗したらダメージも大きい」という心理が働きます。
逆に、一番安いものを買うときには「確かに安いけど、品質が悪いのかもしれない」「一番安いのを買うと、お金がなくケチだと思われるかもしれない」といった心理が働きます。
高い値段の選択肢には損失の回避の心理が働き、安い値段の選択肢には見栄や世間体の心理が働きます。そこで、極端なものの間をとった真ん中が選ばれやすいというのを松竹梅の法則としているのです。
松竹梅の法則はビジネスシーンで活かせる
ビジネスの場で松竹梅の法則を上手に活用すれば、営業など有利に進めることが可能です。
例えば、何か売りたいものがある場合に、その商品よりも高い値段のものと低い値段のものと選択肢を3つ用意することで、真ん中の売りたい商品が購買されやすくなる状況をつくり出すことができます。
商品を提示する順番も、松→梅→竹の順にすることで、最も売りたい真ん中の竹に決まりやすいといわれています。
なお、選択肢が4つ以上あるときは注意が必要です。飲食店など、お店に入ってメニューを見て、その時点で何かを買って食べることがすでに決まっている場合には、値段が真ん中付近の商品を選ぶ傾向あるとされています。
しかし、店頭で家電を買うときなど買うか買わないかを判断している状況においては、選択肢が4つ以上あると「どの商品も買わない」という可能性が高くなるといわれています。
つまり、買う選択肢が増えると、それぞれの商品の特徴を整理することを面倒に感じてしまい、そうした手間を避けようと、結局は購入に至らないケースが考えられるのです。
お酒としての松竹梅
宝酒造から「松竹梅」という名前のお酒が販売されています。有名俳優が登場するTVコマーシャルもあり、お酒としての「松竹梅」を知っているという人もいるでしょう。
お酒の「松竹梅」には、さまざまな商品ラインナップがあります。紙パック式のパッケージもあれば、一升瓶タイプやお手軽なペットボトルタイプのもの、樽詰のものもあります。
そのほか、商品のグレードを示す佳撰、上撰、特撰、超特撰と名前がついたタイプなど、幅広く販売されています。
松竹梅の楽しみ方
「松竹梅」はお酒として飲むだけではなく、料理酒として使うことも可能です。
おでんや豚肉のしょうが焼き、肉じゃが、焼き鳥など、さまざまな料理に活用できます。宝酒造の公式ホームページでは、詳しいレシピが紹介されていますので、気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか。
松竹梅の英語表現
「松竹梅」のように、グレードやランクを意味する英語表現にはどのようなものがあるのでしょうか。
「excellent-good-poor」は「上・中・下」をあらわし、「優れている・いい・悪い」というランクを意味しています。
松竹梅の意味やランクの順番を覚えておきましょう
松竹梅はランク付けとして使われる言葉で、一番いいものから順番に松・竹・梅と表現されます。
松竹梅は飲食店のメニューなどで使われることが多く、「特上・上・並」を「松・竹・梅」とすることで、お客さんが気兼ねなく注文できるようにという意図があるといわれています。
ビジネスにおいても、人は3つの選択肢があると真ん中のものを選ぶという「松竹梅の法則」があり、営業やマーケティングをする際に知っておくと役立つでしょう。