シャープの新スマートフォン「AQUOS sense6」は、コンパクト・軽量のミドルクラススマートフォン。累計出荷1,000台超のシャープ「AQUOS sense」シリーズの最新モデルとして、従来製品同様に使い勝手の良い機能を搭載しています。今回はこのAQUOS sense6をチェックしてみました。

  • AQUOS sense6

    AQUOS sense6

価格相応で、日常的な利用には十分なパフォーマンス

AQUOS sense6は、NTTドコモ、au、楽天モバイルの3キャリアから発売されたスマートフォンです。キャリア版から少し遅れた11月下旬にSIMフリーモデルも発売されています。キャリア端末とほぼ同時にSIMフリーモデルも用意され、購入しやすい端末という点がまず大きなポイントです。

価格は、SIMフリー版で41,200円(Amazon.co.jpにおける価格、執筆時点)からとなっています。キャリア版は、いずれも一括価格でau版が40,470円、楽天モバイル版が39,800円、ドコモ版だけなぜか57,024円と高めの価格設定。

価格的にはミドルクラスで、SoCはSnapdragon 690 5G、メモリとストレージの組み合わせはSIMフリー版だと4GB/64GB、または6GB/128GBの2パターン。キャリア版は4GB/64GBモデルのみとなっています。ドコモ版はシングルSIMですが、SIMフリー版/au版/楽天モバイル版はいずれもnanoSIM+eSIMのデュアルSIMです。

SoCがSnapdragon 690ということで、パフォーマンスとしては最高レベルとはいきません。ベンチマークテストをしてみると、例えばGeekbenchはSingle-Coreが590、Multi-Coreが1,679でした。ハイエンドといってよいGoogle Pixel 6 Proではそれぞれのスコアが1,039、2,769だったので、この数値はミドルクラスのパフォーマンスといったところでしょう。

特に3DmarkのWild Lifeテストでの数字が830と奮わず、ハードなゲームをするには力不足は否めません。GFXBenchのスコアも、マンハッタン3.1が1,619、マンハッタンが2,007といった具合でした。

  • Geekbenchのテスト結果

    Geekbenchのテスト結果

  • 3Dmarkのテスト結果

    3Dmarkのテスト結果

毛色の違うところとして、AI性能を測定するGeekbench MLを測定してみましたが、これもスコアは296とあまり高い数字ではありませんでした。比較として同じベンチマークを実行したXperia 1 IIIのスコアは1,199。とはいえ、Xperia 1 IIIは15万円を超えるようなハイエンドスマートフォンで、それと比較するのが無理というもの。AQUOS sense6でも、ゲームをバリバリやるのではなく、メールやSNSなどの日常的な利用では困ることはないでしょう。

  • GFXBenchのテスト結果

    GFXBenchのテスト結果

  • Geekbench MLの結果

    Geekbench MLの結果

大画面ながらコンパクト

日常での利用を考えたときに嬉しいのがそのコンパクトさ。本体サイズは約W70×H152×D7.9~9.2mm、約156g。フラットなボディは扱いやすく、幅もコンパクトなので手になじみます。軽量なので気軽に持って扱える点は大きなメリットでしょう。

  • 正面
  • 背面
  • 大きすぎず、小さすぎない扱いやすいサイズ。背面もシンプル

  • 右側面
  • 左側面

    くさびを打ったような側面のデザインは、アクセントになるとともに滑りにくくするためにも役立っている印象

  • 上部
  • 底部
  • 底部にはUSB Type-Cポートとイヤホン端子を装備

ディスプレイは約6.1インチ、フルHD+(1,080×2,432ドット)のIGZO OLED。意外に大画面で、個人的にも大きすぎず小さすぎず、ちょうどいいサイズという印象。ディスプレイサイズとしてはiPhone 12と同等で、わずかに大きくわずかに軽い……というサイズ感です。

ディスプレイはフラットで、極端にギリギリまでディスプレイを広げたわけではなく、ややベゼルは太め。ちょうど使いやすいぐらいだと感じました。上部にはベゼルと一体化したインカメラが配置されています。

  • ディスプレイ端

    フラットディスプレイで、側面までカーブしているエッジディスプレイのような狭額縁ではありませんが、誤操作しづらい使いやすいちょうどいい幅です

  • インカメラ

    インカメラは上部に配置

前述のとおり、ディスプレイはIGZO技術を使ったOLEDを採用。ハイエンドモデルのAQUOS R6には「Pro IGZO OLED」を搭載していましたが、本機のデバイスは「Pro」ではないものの10億色の色再現や1,300万:1のコントラスト比、ピーク輝度1,300nitといったOLEDらしいスペックを備えていて、明るく美しい表示になっています。

  • ディスプレイ

    YouTubeなどの動画も十分なサイズで視聴できます。スピーカーはそれほど高音質ではないように感じました

YouTubeのHDR動画などを視聴してみると、HDRらしい広いダイナミックレンジの映像を確認できます。価格で考えれば十分なスペックでしょう。スマートフォンの大画面化の流れでいえば標準的なサイズと言えるかもしれませんが、絶対的には十分大画面なので、動画の視聴も快適です。

デザインとしては、試用機がブルーメタリックだったためか、側面を中心にブラックのギャップが目立ちます。アンテナの感度のためにはいたしかたない面はあるのですが、気になる人には気になるかもしれません。このギャップ部分は、ボディカラーがシルバーやライトカッパーの場合は白、ブラックでは黒となります。それらの写真を見る限りはあまり目立つ印象ではないのですが、ブルーメタリックのカラーだとちょっと目立つように感じます。

  • デザインのギャップ

    背面や側面の黒いギャップがわりと目立つデザインです。デザインのアクセントと捉えられないと気になるかもしれません

フラットなディスプレイでベゼル幅もあるので、想定外に手のひらが画面に触れてしまうことも少なく、操作性は悪くありません。右側面には上からボリューム/Googleアシスタント/電源の各ボタンが並びます。Googleアシスタントボタンは小さいのですが、電源ボタンとボリュームキーの間にあってあまり使わない人には邪魔になるかもしれません。

今回試用したドコモ版はシングルSIMでしたが、au版や楽天モバイル版、SIMフリー版はデュアルSIMなので、複数の回線を使い分けられるのもメリットです。料金的にも、ドコモ版以外を購入して使う方が良さそうです。対応周波数としては、5Gならn3/n28/n79もサポートするSIMフリー版が最も対応が幅広くで、すべてのキャリアに対応できます。

日常的には不満のないカメラ性能だが、ラグが気になる……

カメラは有効4,800万画素のメインカメラ、800万画素の超広角カメラ、800万画素の望遠カメラというトリプルカメラ。メインカメラの画角は35mm判換算26mm相当で、4つのピクセルを1つにするピクセルビニングを使い、1,200万画素で記録します。超広角カメラは同15mm相当、望遠カメラは同53mm相当となっています。

  • トリプルカメラ

    カメラはトリプルカメラ。超広角、広角、望遠と使いやすい画角です

いずれもやや弱めですが電子式手ブレ補正を採用していて、比較的低速のシャッタースピードでも手ブレを防いでくれます。メインカメラの画質は良好。超広角と望遠カメラに関してはミドルクラス相応という印象です。露出が明るめになる傾向があるので、タッチAFをしたあとに露出を下げる方が画質的には良いのですが、見栄え重視という印象です。

  • カメラのUIGUR

    カメラのUI。AIによるシーン認識を搭載した写真モードや動画撮影、背景ぼかしといった一般的な機能は搭載しています

  • メインカメラの画質設定

    メインカメラは1,200万画素の撮影に加え、ピクセルビニングを使わない4,800万画素の高画素撮影も可能です

カメラのUIはシャープ製で共通のもの。オートモードに加えてマニュアル写真、ビデオ、マニュアルビデオ、背景ぼかし、タイムラプス、スロービデオという撮影項目が並びます。AIによる撮影シーン認識、傾きを補正するなどのインテリジェントフレーミング、オートHDRといった機能も備えます。

カメラ機能はシンプルで特に悩むことなく使えるのですが、少し気になったのがシャッターを押した後の画像が記録されるまでのラグがやや長めな点。また、カメラを切り替える際にも少しラグが入ります。

  • 撮影例

    一般的な撮影では全く問題のない描写。色味がやや地味な点が気になりますが、細部まできっちりと再現してくれます

  • マクロの撮影例

    マクロ性能はそれほどではありませんが、素直な描写でシャープネスも適切

  • 撮影例

    ボケもなだらかで自然。やや明るめに写りがちなので、必要に応じて露出をマイナス補正すると見栄えが良くなります

  • 4,800万画素での撮影例

    4,800万画素での撮影も可能で、画像サイズはかなり巨大になります。描写に関しても甘くなるので、積極的に使う必要はないでしょう

ラグについては、個人的には我慢できないというほどではありませんでしたが、テンポ良く何枚も写真を撮るという用途には向かないでしょう。一瞬のシャッターチャンスを捉える――という撮影も難しそうです。

  • 背景をぼかした撮影例

    背景ぼかしでボケをチェック。処理しやすい被写体なので、浮かび上がるようなボケを生成できています。近づきすぎても離れすぎても警告が表示されるのですが、うまくはまれば見栄えのする写真が撮れます

  • 赤の入った撮影例

    細部の再現性や質感の表現は良いのですが、赤色がやはり地味なようです

  • 超広角の撮影例

    インパクトのある表現が可能な超広角カメラ。画質に関してはそこそこといった印象です

  • 望遠の撮影例1
  • 望遠の撮影例2
  • 倍率は2倍と物足りないのですが、描写はまずまずの望遠カメラ

トータルとしては、平均的な描写性能と使い勝手のカメラなので、通常のスナップ用途では問題ないでしょう。日常生活のスナップで写真を撮るという使い方なら特に不満もなさそうです。

日常のスマホ遣いに最適

AQUOS sense6は、価格とスペックのバランスがよく、大きすぎず小さすぎずというサイズ感も手頃です。

これより小さいサイズになると、より持ちやすくはなりますが、視認性という意味では窮屈で文字サイズも小さくなるため、日常遣いとしてはある程度のサイズも必要です。AQUOS sense6のサイズはちょうど良く、かといって大画面で大きすぎて重すぎるということもないので、扱いやすいサイズです。

こうした点から、ハイエンドスマートフォンを利用するようなゲーミング、動画を含めた静止画の撮影・編集を頻繁にバリバリ行うことはないけれども、毎日スマートフォンでコンテンツやSNSを楽しみ、たまに撮影もしたい、という人にとって適したスマートフォンといえそうです。

  • AQUOSトリック

    AQUOSシリーズではおなじみのAQUOトリックを搭載。ディスプレイの設定やショートカットなどの操作性を向上させる独自機能などが利用できます

  • 画面内指紋認証

    生体認証は画面内指紋センサーを搭載。認識速度はそれほど速くはありませんが、Payトリガー機能が利用できます。レジの前に立って画面オフから指紋センサー長押しするだけで、設定したコード決済アプリを立ち上げる、といった使い方ができます

  • Clip Now

    個人的には、画面端をホールドしてスワイプするだけでスクリーンショットが撮れるClip Nowが便利です