JR東日本は、2021年3月のダイヤ改正で実施した終電時刻の繰上げにともない、夜間の施工効率が向上したと発表した。東京100㎞圏の各路線において、終電時刻繰上げや一部線区での初電時刻繰下げによって終電から初電までの間隔を拡大することで、夜間の作業時間をこれまでより長くし、施工効率の向上をめざしてきた。

  • JR東日本が東京100km圏の主要路線で実施した終電時刻繰上げ等の効果について発表

一例として、線路の砂利(バラスト)を特殊なモルタルで固め、軌道の構造強化を行う「TC型省力化軌道工事(中央本線立川~八王子間)」では、終電から初電までの列車間合いが延びたことに加え、線路への搬入路を整備したことで、機械による実作業時間が従来の111分からダイヤ改正後は146分に増えたという。

中央快速線グリーン車導入に関連する三鷹駅分岐器撤去・敷設工事では、列車間合いが29分増えたことで従来の人力施工から大型機械施工に変更でき、労力軽減につながったという。その他の工事も新型機械の導入により、作業日数が削減できたとしている。

作業時間の拡大に加え、材料調達期間などを考慮した全体工程の最適化にも取り組み、ホームドア工事では当初計画より工期を1割程度短縮した。工事工程の短縮にともない、ホーム上やコンコース内などの作業スペース(仮囲い)の設置期間も1割程度短縮できたという。

機械化の推進による労力軽減や工期短縮などにより、作業環境の改善も進む。ひと晩あたりの検査数量が増加したことで、夜間作業の回数を削減できたほか、人力から機械施工への変更で重労働が減少。終電が多少遅延した場合でも、夜間作業を中止することなく、計画通り仕事を進められるようになったという。