NTTデータ経営研究所は12月6日、「地方移住とワーケーションに関する意識調査」の結果を発表した。調査は9月14日~17日、首都圏1都3県および大阪市・名古屋市在住の30代~50代の働く男女1,035名(男性812名、女性223名)を対象にインターネットで行われた。

  • 地方移住への関心と地方移住の検討状況

    地方移住への関心と地方移住の検討状況

地方移住(郊外を含む)への関心について尋ねたところ、27.9%が「関心がある」と回答。うち12.9%がコロナ禍を機に地方移住に関心を持ったよう。

移住の候補地としては、一都三県(東京都23区外、千葉県、埼玉県、神奈川県)のほか、長野県、静岡県、北海道など、北海道を除けば、東京都心への(静岡県、長野県は新幹線での)通勤圏となる地域が多い傾向に。移住先の選定にあたっては、出身地など、自身に縁のある地域であることよりも「自然環境が豊かだから」(49.3%)を重視している人が突出して多く、次いで「現在の職場への通勤が可能だから」(30.2%)、「家賃が安いから」(29.9%)、「自身の趣味を楽しめる環境だから」(26.7%)と続いた。

  • 地方移住後の就業に対する意向

    地方移住後の就業に対する意向

続いて、地方移住に関心がある人に対して、移住後の就業に対する意向を聞いたところ、「主にテレワークを行いながら現在の職場での勤務を続けたい」 (44.4%)が最多に。また、「主に通勤しながら現在の職場での勤務を続けたい」(16.3%)や「現在の勤務先において、移住先に近い事業所に異動して勤務を続けたい」(5.6%)を合わせると6割超が勤務先を変えずに地方移住をしたいと考えていることが明らかに。

一方で、移住後における中長期的なライフプランについては、「移住先の地域に永住したい」とする回答は2割強に留まっており、「移住先の住み心地により、他の地域に転居するか判断したい」「ライフステージが変化したら、他の地域に転居するか判断したい」で5割超を占めたことから、地方移住に関心を持ちつつも、必ずしも永住を前提とせず、今後の環境変化に応じて転居を検討したいと考えている層が大半を占めた。

  • 知識の有無によるワーケーション印象評価の差異(一例)

    知識の有無によるワーケーション印象評価の差異(一例)

次に、ワーケーションに関する認知について調べたところ、「“ワーケーション”という言葉を見聞きしたことがない」という人は約14%にとどまったものの、実際にワーケーションを経験した人はわずか約7%という結果に。

そこで、同調査では、ワーケーションは広く社会に認知されつつある一方で、不確かな知識に基づく個人の思い込みなどによって、偏った印象評価がなされていると仮定。その結果、ワーケーションに関して他者に対して説明できる以上のレベルの知識・経験を有する人(知識有り群)は、ワーケーションという言葉を見聞きしたことが無かったり、よく知らない人(知識無し群)と比べて、ワーケーションに関してよりポジティブな印象を有しており、かつ、「ワーケーションは遊びである」等のネガティブ印象はより低いことが明らかに。

また、自分自身がワーケーション申請を行う場面を中心に、「おびえた」「うろたえた」「恐れた」「恥ずかしい」「イライラした」「ぴりぴりした」「苦悩した」「不平等である」「ねたましい」などのネガティブ感情が、知識有り群と比べて、知識無し群が有意に低いことが判明。一方で、「やる気がわいた」については、知識有り群が有意に高く、ワーケーションに関する知識の有無が取得時の従業員の心理状態に影響を与えることがうかがえる結果となった。