「揶揄」という言葉はたびたび見かけることがありますが、意味や使い方を正しく理解できていますか? 本記事では、揶揄について深く掘り下げ、読み方や意味、使い方の例文、英語表現などを紹介します。「揶揄う」の読み方も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
揶揄とは? 読み方・意味・由来を解説
ここでは揶揄の読み方、意味などを紹介します。
揶揄の読み方
「やゆ」と読みます。どちらも常用外のため見慣れない難しい漢字ですが、しっかり読めるようにしましょう。
揶揄の意味
意味は「冗談や皮肉で、相手をからかうこと、なぶること」です。ここでいう「なぶる」とは、「からかってばかにする」という意味。揶揄は「揶揄する」「揶揄される」といった使い方をします。
「揶」という漢字にはそもそも「からかう、はぐらかす」という意味があり、一方「揄」という漢字にも「あざける、からかう」という意味があます。
こうした言葉が2語重なった揶揄は、ネガティブなイメージが強い言葉だといえます。
以下、『広辞苑 第七版』に掲載されている「揶揄」の意味です。
や‐ゆ 【揶揄・邪揄】
からかうこと。からかい。「―嘲弄する」
[広辞苑 第七版]
揶揄の由来
揶揄という言葉の由来に、はっきりとしたものはありません。一説によると、鎌倉時代の軍記物語「平家物語」のなかで「揶揄う」という言葉を「争う、抵抗する」の意味で使っており、ここから来ているともいわれています。
「揶揄う」「揶揄われる」の読み方・意味
「揶揄う」は「からかう」と読みます。意味は、「相手が困ること、起こることをしておもしろがること」となります。「揶揄われる(からかわれる)」は受け身なので、「相手からおもしろがられること」「相手からイジられること」といった意味になります。
揶揄の使い方・例文
揶揄という言葉は「揶揄する」「揶揄される」という使い方をします。それぞれの例文を紹介します。
揶揄の使い方
「揶揄」は、相手をからかったり、皮肉めいた批判により相手を嘲笑したりする場面で使用されます。よって、ネガティブな意味合いで使用します。
揶揄に漢字や読みが近い言葉として、「比喩(ひゆ)」があります。似ていても意味はまったく異なりますので、注意しましょう。
比喩の意味とは「ある物事を説明したり表現したりする際に、類似あるいは関係した物事を借りて表現すること、たとえ」です。比喩の「喩」の意味は「たとえ」です。揶揄と比喩とでは意味がまるで違うことが分かるでしょう。
揶揄するの例文
「揶揄する」の例文は以下の通りです。
「野党が与党の政策を揶揄する」
「前回の会議では、ライバル会社を揶揄する発言が目立った」
「人の外見を揶揄する発言はやめるべきだ」
揶揄されるの例文
「揶揄される」の例文は以下の通りです。
「仲間が揶揄されるのをだまって見ていられない」
「上司に揶揄されたことが許せなくて抗議をした」
「SNSで知らない人に揶揄されてショックだ」
くり返しになりますが、揶揄という言葉は相手を非難したり皮肉ったりする意味があります。ネガティブなニュアンスが強い言葉です。
揶揄の類語・言い換え表現
ここからは揶揄の類語を紹介します。類語を知ることで、より一層、揶揄という言葉の意味を理解しやすくなるでしょう。
嘲笑
「ちょうしょう」と読みます。「あざけり笑うこと、あざ笑うこと」という意味があります。この「あざける」とは「ばかにして悪く言ったり笑ったりすること」という意味です。
揶揄と嘲笑は、人を見下すという点では意味は同じですが、嘲笑には「(ばかにして)笑う」という意味が含まれている点が違っているといえます。
・例文
「彼の非常識な行動はみんなの嘲笑の的になった」
皮肉
「ひにく」と読みます。揶揄の意味にも「皮肉で相手をからかう」とありますが、皮肉の意味を改めて確認すると「遠まわしに相手を意地悪く非難すること」となります。似た言葉に「嫌味」もあります。また、皮肉を言ったり皮肉なことをしたりすることを「皮肉る」と表現します。
・例文
「私の失敗を、上司は皮肉まじりに責めてきた」
「今の政治を皮肉った漫画だ」
非難
「ひなん」と読みます。「相手のミスや欠点を取り上げて責めること」という意味です。揶揄と意味は似ていますが、揶揄よりも「取り上げて責める」というニュアンスが強い言葉です。非難されることを「非難を浴びる」などと表現します。
・例文
「新規事業が失敗して、経営陣は厳しい非難を浴びた」
揶揄の意味・使い方をマスターしよう
揶揄は「冗談や皮肉で相手をからかうこと」という、ネガティブなニュアンスのある言葉です。例えば政治家が他政党のことを揶揄するシーンなどは、ニュースなどでも見たことがあるかもしれません。
日常的に使うことはあまりないかもしれませんが、ネガティブな言葉こそきちんと意味を理解して、誤った使い方で相手に不快な思いをさせるというのは避けましょう。