早退とは、学校や会社を定刻より早く退出することです。
社会人であれば、会社が定める時間まで働くことは義務です。しかし、体調不良や家庭の事情でやむを得ず早退しなければならないときもあるでしょう。
本記事では、早退の定義について解説します。また、早退時の給料事情や早退が認められる理由、口頭やメールでの伝え方もあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
早退とは?
早退とは、学校や会社を定刻より早く退出することです。「早引き(はやびき)」や「早引け(はやびけ)」などといわれることもあります。
労働関連法規では早退の定義は記載されていません。そのため、早退する時間についても明確に定義されていません。
遅刻や欠勤との違い
早退と似た言葉に、遅刻や欠勤があります。それぞれの意味の違いもみておきましょう。
- 遅刻
遅刻とは、定められた時刻に遅れることです。待ち合わせや始業時間に遅れるときに「遅刻する」というような使い方をします。
- 欠勤
欠勤は、会社に出勤するべき日に出ないこと、または勤めを休むことを意味する言葉です。「体調不良で欠勤する」というような使い方をします。
会社を早退すると給料は引かれる?
中には「早退すると減給されるのか?」と気になる人もいるでしょう。ここでは、早退に関する法律を解説します。
ノーワーク・ノーペイの原則
早退したときの賃金の支払いについては、労働基準法第24条に「賃金は、通貨で直接労働者に、その全額を支払わなければならない」とあるため、基本的に全額払いが原則です。
しかし、ノーワーク・ノーペイの原則も知っておく必要があります。例えば、早退によって1日の労働時間のうち1時間しか仕事をしなかった場合は、企業側は早退した時間分の賃金を支払う義務は発生しません。
このノーワーク・ノーペイの原則は雇用形態に関わらず、すべての労働者に適用されます。また、早退のみならず、遅刻や欠勤の場合も同様です。
早退したときの給料計算はどうなる?
早退や遅刻、欠勤があった場合にノーワーク・ノーペイの原則を適用するためには、「どのくらいの時間なのか」「減給方法」、「〇分前までに連絡」、「事前申請の有無」など、就業規則に記載しておく必要があります。
ただし、企業側が減給額を決定する際は労働基準法に抵触しない範囲に抑えなければなりません。労働基準法第91条では次のような内容が明記されています。
・1回の減給額は、平均賃金の1日分の半額を超えないこと
・減給の総額が、1賃金支払期の賃金総額の1/10を超えないこと
例えば、月給20万円、1日の平均賃金が約6,666円の人の場合、給料は以下のように計算することができます。
・1回の減給額は、3,333円を超えないこと
・1か月で減給できる額は20,000円が限度
早退が認められる理由
ここでは、会社に認められる早退理由について確認しましょう。
体調不良
どんなに気をつけている人でも体調が悪くなるときがあります。通勤中や勤務中に体調不良になってしまう場合もあるでしょう。
体調不良のまま仕事を続けても、「効率が落ちる」「注意散漫になってミスをする」「同僚に感染させてしまう」などのリスクもあります。体調が悪いときは無理をせず、体を休めることも大切です。
通院
急な体調不良や持病を治療するための通院は、早退が認められやすい理由のひとつです。病院の診療時間は平日の朝から夕方までしか受付していないことが多く、早退しないと通院できないこともあります。
家庭の事情
早退が認められる家庭の事情はいくつかあります。
- 家族の体調不良
- 親族の不幸
- 子どもを預けている保育施設や学校からの呼び出し
- 子どもの授業参観
- ペットの体調不良
特に、家族の体調不良は自分の体調不良と同様に、早退が認められやすいといえます。
役所・銀行での手続き
役所の受付時間は、平日9:00から17:00までとなっているケースが多く、早退しなければ諸々の手続きができません。また、銀行も同様に早く閉まってしまうため、早退が認められやすいです。
その他の事情
早退が認められるその他の事情としては、以下のようなものが挙げられます。
- ガスや水道の点検・工事
- インターネットの開設工事
- 大家や管理会社からの呼び出し
自宅の設備点検や工事、修理などは緊急性が高いため、会社にきちんと説明すれば早退が認められるでしょう。
早退を口頭やメールで伝えるときの注意点
早退を口頭やメールで伝えるときに注意すべき点がいくつかあるので、みていきましょう。
上司に相談する
会社で早退したいとき、ます相談するのは「上司」です。上司と直接話すのは気まずいからといって、同僚や後輩に伝えるのは避けましょう。
■伝えるタイミング
早退したいと上司に伝えるにあたって、タイミングに気をつけないと悪い印象を与えてしまう可能性があります。急な体調不良でどうしようもないとき以外は、以下のようなタイミングで伝えましょう。
- 出社後すぐ
- 上司が忙しくないとき
- 業務報告のとき
- ランチを終えてリラックスしているとき
忙しいときは上司も集中して気が張っている可能性があります。また、食事中は避けるよう配慮することも大切です。
■口頭で伝える場合
口頭で伝えるときは、以下の例を参考にしてみましょう。
・〇〇課長、申し訳ありません。先ほどから具合が悪いので、今日は早退させていただいてもよろしいでしょうか?
・〇〇さん、申し訳ありません。先ほど子どものことで保育園から連絡があり、病院に連れて行く必要が出てきました。今日は失礼させていただいてもよろしいでしょうか?
「今日は帰ります」と直接的に伝えるのではなく、あくまでも「許可がほしい」というニュアンスで伝えることが大切です。
メールでの伝え方
メールでの伝え方は、以下の例文を参考にするといいでしょう。
件名:早退のお願い
本文:
総務部 〇〇係長
お疲れ様です。総務課の▲▲です。
出社後から倦怠感があり、体調がよくないため〇時をもって早退させていただきたいです。
この後は病院を受診する予定です。
また、本日作業予定の資料作成は□□さんに引き継ぎをお願いしました。
ご迷惑をおかけして大変申し訳ありませんが、何卒よろしくお願いいたします。
メールで伝えるときは、「体調不良の内容」「業務の引き継ぎ内容」をできるだけ簡潔にまとめて、最後に「謝罪のひとこと」を添えて送りましょう。
早退後の注意点
上司に伝えて会社を早退した後は、理由に伴った行動を心がけてください。体調不良が理由で早退したにもかかわらず、ショッピングや外食に出かけるのはよくありません。また、SNSでその日の出来事を投稿するのも避けましょう。
次の出勤日では、上司や同僚にお詫びと感謝の気持ちを伝えます。特に、業務を引き継いでもらった同僚には丁寧にお礼をしてください。
顧客との約束を欠席した場合は、メールでも構いませんので関係者に対してお詫びのメッセージを送りましょう。
早退の英語表現
早退は英語ではどう表現するのでしょうか。以下に例文を記載するので、必要に応じて活用してください。
I'm sorry,〇〇. I haven't been feeling well since a while ago. May I leave early today?
(〇〇さん、申し訳ありません。先ほどから具合が悪いので、今日は早退させていただいてもよろしいでしょうか?)
早退は伝え方などマナーを守りましょう
早退とは、学校や会社を決められた定刻より早く退出する行為のことをいいます。どのくらい早く退出すると早退になるのか、その定義は労働関連法規でも明記されていません。
しかし、ノーワーク・ノーペイの原則に基づき、労働基準法に抵触しない形で減給をする企業も存在します。
早退する理由としては、いつ自分の身に起こるか予想できないものも多いです。
早退したいときの上司への相談の仕方や、口頭・メールでの伝え方を事前に把握しておくと、いざというとき戸惑うこともないでしょう。