ウルトラマンシリーズ最新作『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』は、超古代の光を受け継いだ青年マナカ ケンゴ(演:寺坂頼我)が変身アイテムのGUTSスパークレンスを手にして光の巨人=ウルトラマントリガーとなり、封印から甦った超古代の“闇”の脅威から人々を守って戦う物語。ケンゴは地球防衛を任務とするエキスパートチーム・GUTS-SELECTの隊員となり、頼もしい仲間たちと力を合わせて全力で地球の危機に挑んでいく。
ここでは、GUTS-SELECTの個性豊かなメンバーを束ねるタツミ セイヤ隊長を演じる高木勝也にインタビューを行った。全体の折り返し地点を過ぎ、来たるべきクライマックスに向けてストーリーが突き進んでいく中、怪獣や「闇の巨人」の猛威に立ち向かうGUTS-SELECTの戦いもいっそう激しさを増している。老若男女、地球人、宇宙人を問わず、いかなる人物たちをもまとめることのできる、厳しさと優しさを兼ねそなえた理想的リーダー役を務める高木に、ウルトラマンシリーズへの憧れや、個性豊かなGUTS-SELECTメンバーそれぞれの持ち味について、そして『ウルトラマントリガー』という作品を通じ、子どもたちに伝えたい大事なメッセージとは何かを尋ねてみた。
――『ウルトラマントリガー』の出演依頼があったとき、どのような思いを抱かれましたか。
それはもう、とてもうれしかったですよ。僕自身、子どものころからずっとウルトラマンシリーズを観て育ちましたからね。ウルトラヒーローや怪獣の人形を親に買ってもらって、部屋中に飾っていました。隊長の役だということで、最初は「俺に務まるのだろうか」と心配になりましたけれど、せっかく選んでいただいたわけですし、この役を光栄に思って、全力で挑んでいきました。
――歴代ウルトラマンシリーズには印象的な防衛チーム隊長が多く登場しましたが、高木さんが特に印象に残っている隊長はどなたですか?
『ウルトラマンティガ』(1996年)で活躍されたGUTSのイルマ隊長(演:高樹澪)ですね。『ウルトラマントリガー』が『ティガ』の系譜を受け継ぐ作品だから挙げたのではなくて、子どものころにテレビを観ていて、隊員たちを引っ張る強さとか、女性隊長ならではの優しさ、カッコよさがあって、今でも強烈な印象を持っています。そしてやっぱり、なんといっても『ウルトラマン』(1966年)の科学特捜隊・ムラマツキャップ(演:小林昭二)は忘れることができません。すばらしいリーダーだなって、幼い心にも響いていました。
――タツミ隊長はナースデッセイ号の司令室で極力感情を抑え、隊員たちに冷静で適格な指示を出す寡黙な雰囲気が特徴です。
歴代ウルトラマンシリーズにはいろんなタイプの隊長が活躍してきましたけど、タツミを演じるにあたっては、僕の考える王道のリーダー像というか、これぞ隊長!というイメージをぶつけてみました。テレビを観ている方たちにも、ここにいる人がみんなに指示を与える隊長なんだなと、ひと目でわかっていただけるような佇まいを意識しています。
――高木さんのトレードマークであるヒゲが、タツミ隊長のダンディなイメージを高めていますね。
いやあ~、今回ヒゲはどうしますか?って坂本浩一監督と最初に相談したんですけど、監督から「カッコいいから、そのままでいいよ!」と言われたので、ヒゲで通させていただいてます(笑)。僕としても、隊長役ならヒゲは欲しいなと思っていたので、よかったなと。最近の防衛チーム隊長で、ヒゲを生やしている人っていなかったと思います。ヒゲにもこだわりがあって、『仮面ライダーアマゾンズ』の三崎一也のときは、ヒゲの両端の角度を少し上げて、普段からニヤっとしているような表情をつけていたんです。彼は元詐欺師で、陽気に振る舞うキャラでしたから。タツミの場合は全体に細くヒゲを整えて、ソリッドな雰囲気を出そうとしました。
――ヒゲのおかげで、高木さんの男性的な魅力が際立っていますし、無口なところも含めてタツミ隊長のストイックさが強く引き出されているんですね。
タツミはGUTS-SELECTの隊長に任命されるまで、いろいろと訓練を重ねてきて、命をかけた任務も散々こなしてきただろうと、テレビには映っていない彼の「履歴書」を自分なりに考え、ふとした場面でそういうところを出せるよう意識しました。僕自身は、フットワーク軽めな人間なので、タツミのようなカタい人物を演じるときには、背骨を三倍にも四倍にも太くするようなイメージを持つようにしています。本番に入る直前は「はいっ、俺の背骨が三倍~四倍になった! さあ本番行きましょう! タツミです!」みたいな暗示をかけて、毎回挑んでいました(笑)。
――子どもから大人まで幅広い年齢層をターゲットとするウルトラマンシリーズに出演するにあたって、高木さんが特に意識されたこととは何でしょう。
最初に思ったのは、あまり自分が大人っぽい雰囲気を出しすぎると、子どもたちに怖く思われるんじゃないかなってことでした。まあ……こういう顔ですからね(笑)。そんなことを考えながら撮影に臨んだんですが、やっていくうちに、あまり気にしすぎるのもよくないなと思うようになりました。坂本監督の第1話から始まって、いろいろな監督が参加されていて、そんな中でタツミとしての表現方法も変化していったんです。武居正能監督の回で、監督から「隊長は感情をもっとバーンと出していいですよ! もっとちょうだい!」と言われたのがきっかけで、冷静で寡黙なタツミも少しずつ、熱い感情を出すようになりました。内に秘めていたエネルギーを外に噴出させるような芝居も、後半エピソードで出てくると思いますよ。
タツミを演じるにあたり芯として持っていたのは、子どもたちに大切なことを伝えたいという思いです。これはケンゴをはじめ、GUTS-SELECTのみんなが持っている気持ちでもあります。僕たちの「最後まであきらめない気持ち」「大変なときこそ頑張るぞ!という姿勢」を子どもたちに観てもらって、何かを感じ取ってほしいです。僕自身がヒーローに憧れ、ヒーローから大事なメッセージを受け取って育った子どもでしたから、こんどは僕らが今の子どもたちにいろいろなことを伝えられたらいいなって、常にそれを念頭に置いていました。
――GUTS-SELECTのみなさんとのチームワークはいかがでしたか。
ケンゴ、ユナ(演:豊田ルナ)、アキト(演:金子隼也)の若手3人チームと、ナースデッセイ号の司令室にいるタツミ、テッシン(演:水野直)、ヒマリ(演:春川芽生)の大人3人とマルゥルのチームで撮影が分かれる事が多いのですが、みんな仲が良くて、司令室に全員集合するシーンではパワーが2倍にも3倍にも上がる印象です。節目の回では、そこにシズマ会長役の宅麻伸さんが加わって、もっと盛り上がりますからね(笑)。宅麻さんは最高ですよ。大先輩でありながらとても優しくしてくださり、笑いが好きでよく若手チームの緊張をほぐしてくださいますから。