ダイキン工業は、独自の空気清浄技術「ストリーマ」と波長265nmの「UVC LED」を搭載した空気清浄機の新製品を発表、12月10日から順次発売します。今回の新製品は家庭用ではなく、人が集まる公共的な場所へ設置する業務用です。例えば天井に設置する空気清浄機は、学校や飲食店などへの導入を想定しています。
265nmの波長を出す「UVC LED」
少しさかのぼりますが、ダイキン工業(以下、ダイキン)は、2021年4月に「UV ストリーマ空気清浄機」という製品を発売しています。ストリーマ技術や、UVC LED、集じんフィルターを組み合わせた製品です。今回の新製品では、UVC LED搭載モデルを業務用にも拡充した側面があります。
ポイントになるUVC LEDは、UV(紫外線)除菌をうたったガジェットや空気清浄機をはじめ、さまざまな製品に搭載されています。ただ、一口にUV除菌といっても、紫外線の波長によって効果に差が生じます。
ダイキンが採用しているUVC LEDは、旭化成が開発した「Klaran」というUVC LEDです。Klaranは窒化アルミニウム基板を使うことによって、除菌に効果的な波長265nmにおいて「世界最高出力を実現した」(旭化成調べ)点が特徴です。除菌効果が高いため、照射する時間が短くて済みます。ちなみに、一般的なUVC LEDはサファイア基板という素材を使っており、このサファイア基板で265nmの波長を作るのは難しいそうです。
また、UV光源のひとつである高圧水銀ランプと比較すると、Klaranは水銀を使っていないため、環境への負荷が抑えられます。加えて、水銀ランプにはウォームアップ時間が必要ですが、LED光源のKlaranでは不要。瞬時にオン・オフを切り替えられるのも大きなメリットです。
今あるエアコンに追加できる除菌ユニットに期待
今回の新製品は、12月10日発売予定の「加湿UV空気清浄機」、2022年4月1日発売予定の「天井埋込カセット形UVストリーマ空気清浄機」、2022年6月1日発売予定の「UVストリーマ除菌ユニット」、2022年6月下旬発売予定の「UVパワフルストリーマ空気清浄機」の4製品です。
このうちユニークなのは、「天井埋込カセット形UVストリーマ空気清浄機」と、「UVストリーマ除菌ユニット」でしょう。
前者の「天井埋込カセット形UVストリーマ空気清浄機」は、その名の通り天井に設置する空気清浄機。ダイキンによると、人が密集する空間では、飛沫などの小さい粒子は人体が発する熱によって天井に向かって上昇するとのこと。そこで、天井に空気清浄機を設置することで、上昇する飛沫を空気と一緒に取り込めるわけです。
天井に余裕がある広い場所ならエアコンに加えて空気清浄機を埋め込むことも可能ですが、そこまでスペースがないという場合には「UVストリーマ除菌ユニット」を選べます。この「UVストリーマ除菌ユニット」は、ダイキンの業務用空調機器の天井埋込カセット形エアコン「S-ラウンドフロー」に後付け可能なユニットです。天井に新しく空気清浄機用の穴を開けずに設置できるのがポイント。
学校や塾の教室、クリニックの診察室、飲食店、オフィスの会議室など、それほど広くなくても天井埋込カセット形のエアコンを備えているところは結構ありますよね。床に空気清浄機を設置しているところも多いですが、天井に設置できれば床のスペースを占領せず、限られたスペースを有効に活用できます。インテリアの雰囲気も損ないません。しかもエアコンの気流を生かしながら空気清浄できるため、効率的に空気をキレイにできそうです。
お店や飲食店での空気清浄機設置が広がりそう
ダイキンによると、2020年の空気清浄機の出荷台数は過去最高になったとのこと。家庭用に購入する人が増えているだけでなく、病院や福祉施設、オフィス、店舗など業務用の用途が進んでいることがその背景にあります。
言われてみると、普段利用している美容院、病院、子どもの習い事の教室といった場所で、空気清浄機を設置しているところが増えたように思います。これからは、空気清浄機を設置するだけでなく、空気清浄機にどんなプラスα機能があるのかが、お店のアピール材料になるのかもしれませんね。
ちなみに、ダイキンの空気清浄機事業は1971年にスタート。50年の歴史があります。その知見を生かし、今後も業務用分野の製品を拡充していくとのことです。