声優、そしてアーティストとして活躍する花澤香菜のレーベル移籍後初となるライブ「HANAZAWA KANA Showcase Live 2021 “Moonlight Magic”」が、2021年11月21日に埼玉県・川口リリアホールにて開催。花澤の音楽活動を初期から支えるサウンドプロデューサー・北川勝利率いるバンド“ディスティネーションズ”と共に素敵な時間を繰りひろげた。

オープニングは今年9月にリリースされた移籍第1弾シングル「Moonlight Magic」と、そのカップリング曲「港の見える丘」。座席の間隔を空けながらもいっぱいのファンが駆けつけた会場が、大きな拍手で花澤を出迎える。花澤自身、有観客でのライブ開催が2020年2月以来とあって、ファンの前で歌えることへの喜びが表情からも歌声からもあふれだすようだった。また、この公演は日本国内と中国の2カ国で生配信が行われているということで、2曲を歌い終えたところで日本語と中国語の両方で挨拶。グローバルに活躍する花澤らしい一幕となった。

この日のライブはトークコーナーを挿みながら進行し、前半パートでは中国語通訳のビンビンを交えて北川勝利と共に楽曲の裏話についてトーク。「Moonlight Magic」「港の見える丘」はいずれも作詞が花澤、作曲が北川のコンビによる作品だが、楽曲が出来上がるまでの話を生でじっくり聴けるというのはなかなか貴重で、濃いひと時だったといえるだろう。そして、開演からまだ間もないこの時間帯でいきなりの重大発表が。

「2022年2月23日 アルバム『blossom』発売決定!」

会場のファンはもちろん、花澤自身のテンションも大いに上がったこの発表。タイトルの由来やアルバムのテーマとなる「再出発」について、また、ここで情報が解禁された収録楽曲の一部について嬉しそうに、かつ真剣な表情で語る姿が印象的だった。楽曲については情報を提供するだけでなく、この場で初お披露目することに。再びステージ上に登場したバンドメンバーと共に「You Can Make Me Dance」「Miss You」「Don't Know Why?」「SHINOBI-NAI」の4曲を立て続けに披露した。

この4曲のうち「SHINOBI-NAI」はすでに11月3日より配信がスタートしており、ポルカドットスティングレイとのコラボレーションでも話題となった作品。MVにはポルカドットスティングレイのメンバーも出演していて、そこでの特徴的な振付けもファンの間でおなじみとなりつつある。その振付けを歌い終わった後に花澤が簡単にレクチャーするが、会場のファンはMVを見て覚えてきたのか教えられるまでもなく完璧に踊れている様子。花澤も目を丸くしつつ「あれー?練習してきた?」と楽しそうな様子。そうこうしているうちに曲が終わった後だというのに会場の雰囲気がまた盛り上がってきて、そんな空気を感じとった北川が「やる?もう1回」と粋なはからい。急きょ予定にはなかった2回目の「SHINOBI-NAI」に突入するというまさかの展開になり、会場のテンションやアーティストとの一体感が一段と増していった。

トークパート後半戦も、さらに重大発表が目白押し。まずは花澤香菜オフィシャルファンクラブ「Destination Club」の開設が発表され、デジタルアイドルカード&フィギュアの発売、写真集の発売決定とうれしいお知らせが続いていく。アルバムの詳細な情報も含めて、これには会場のみならず配信で見ている全国のファン、そして中国のファンも大喜びしていたことだろう。中国でも絶大な人気を誇る花澤は現地の音楽番組への出演や自身のライブツアーなどで何度も中国を訪れている。その当時の思い出話をいくつか語ってトークコーナーを締めくくり、「Moonlight Magic」の中国語詞バージョン「心口不一」と「港の見える丘」の中国語詞バージョン「没有你的港湾」の2曲を披露した。

ここで移籍後に制作された現時点での楽曲はすべて出しきったことになるが、これで終わらないのが今回のライブ。SNSを中心に世界中で大人気となっている「恋愛サーキュレーション」や「You Can Make Me Dance」と同じ矢野博康の作詞・作曲による「We are so in Love」などを披露して会場をさらに熱く盛り上げる。曲と曲の合間に花澤がバンドの演奏に合わせて「メロンパン!メロメロ!」とパンの名前をシャウトするパフォーマンスも以前から花澤を応援しているファンにとっては懐かしく、最近ファンになったという人には新鮮に映ったのではないだろうか。そして、ライブのラストを飾るのは2012年にリリースされた花澤のデビューシングル「星空☆ディスティネーション」。アーティスト・花澤香菜の原点であるこの曲を歌うことで、ニューアルバム『blossom』のテーマである「再出発」への一歩を踏み出す――。そんな決意が見えたライブとなった。