「罹患」とは、感染症を伝えるニュースなどで聞くことがある言葉です。正しく読めますか? 意味がよくわからないという方も多いかもしれません。
この記事では罹患の正しい読み方や意味、使い方、英語表現などをご紹介します。「感染」や「疾病」など、似た言葉との違いなどについても紹介しますので、参考にしてください。
罹患とは? 読み方と意味
罹患の読み方
罹患は「りかん」と読みます。「らかん」などと読んでしまいがちですが、これは誤りです。「りかん」と正しく覚えましょう。
〇りかん
×らかん
罹患の意味
罹患は「病気にかかること」という意味の名詞です。「罹」と「患」にはもともと、次のような意味があります。
- 罹…「災難にあう、病気にかかる」という意味。「罹(かか)る」とも読む。
- 患…「病気、病気の人」という意味。
がんやインフルエンザ、新型コロナウィルスなどに対して使われますが、風邪などの症状に対しても「風邪に罹患する」などと使います。
罹患の使い方・例文
罹患という言葉の意味を確認してきましたが、実際にどのように使われるのでしょうか。以下の例文を参考にしてください。
・胃腸炎に罹患しないよう、手洗いとうがいを毎日行っている
・祖母は胃がんに罹患したので先週入院した
・インフルエンザに罹患したため、会社へ提出する罹患証明書を準備した
・新型コロナウイルス感染症の欧米諸国における罹患率は、他国に比べると高い傾向にある
罹患と感染・発症との違い
罹患と感染の違い
新型コロナウィルス感染症により、罹患と感染の言葉違いを意識するようになった方もいるでしょう。意味の違いを並べて確認してみましょう。
- 罹患とは、病気にかかること
- 感染とは、病原体(病気のもととなるもの)が体内へ入り込むこと
さまざまな捉え方がありますが、病原体が体内へ入った状態は「感染」ですが、体に備わった免疫機能などが働いて病原体が死滅する場合があります。その場合は「感染したが、罹患しなかった」といえるとする説があります。
反対に、感染したのち免疫機能などがうまく働かず、発熱や頭痛などが発症した場合には「感染して罹患した」ということだとする説があります。
罹患と発症の違い
ここでも二つの言葉を並べて確認してみましょう。
- 罹患とは、病気にかかること
- 発症とは、病気の症状があらわれること
罹患の「病気にかかる」という意味には、病気からくる症状に苦しむという意味も含まれます。厳密にいうと、罹患とは発症した状態を指していることになります。つまり罹患も発症もほぼ同じ意味だと捉えられます。
罹患の類義語
罹患にはよく似た言葉がいくつかあります。混同してしまわぬよう、確認しておきましょう。
罹病
「罹病(りびょう)」もまた、「病気にかかること」という意味です。罹患と罹病は同じ意味と捉えてよいでしょう。
発症
「発症(はっしょう)」とは、「病気の症状があらわれること」という意味です。症状とは病気によって引き起こされる、肉体的、精神的な異常を言います。具体的には発熱、嘔吐、腹痛、頭痛、倦怠感などがこれにあたり、こうした症状があらわれることを発症と言います。
発病
「発病(はつびょう)」とは、「病気になって、病状がはっきりとあらわれること」という意味です。「疲労が積もり積もって発病した」などと表現します。
疾病
「疾病」は「しっぺい」と読みます。「病気、やまい」そのもののことを指します。「疾病にかかる」などと表現します。例えば「インフルエンザに罹患する」という表現では、インフルエンザ=疾病となります。
感染
「感染(かんせん)」とは「病原体(病気のもととなるもの)が体内へ入り込むこと」という意味です。それによって発病することも含めて「感染する」という場合もあります。
感染にはほかにも、「影響を受けてそれに染まること」「コンピューターに不具合を起こすものが組み込まれること」などという意味もあります。
床に伏す
「床に伏(ふ)す」とは、「病気になって寝込んでいる状態」を指します。
罹患の英語表現
罹患を英語で言い換えるときには「get」「catch」「contract」などの言葉を使います。「contract」は「感染する」という意味に近くなります。
He got an infectious disease.(彼は感染症に罹患した)
She has contracted a virus.(彼女はウイルスに感染した)
罹患の意味や感染・発症との違いを覚えておこう
罹患は「りかん」と読みます。「らかん」ではありませんので注意しましょう。意味は「病気にかかること」です。感染や発症、疾病など、似た言葉がいくつかあるので、混同しないように意味を確認しておきましょう。