プロダクトライフサイクル(PLC)理論を初めて耳にした人は、言葉だけで意味を理解するのは難しいでしょう。PLC理論はマーケティング戦略の基本となる考え方なので、しっかりと理解することでビジネスにも役立ちます。
そこで、今回はプロダクトライフサイクルについて、初心者にもわかりやすく解説していきます。マーケティング戦略にどう活かすのかといった点についても紹介しますので、プロダクトライフサイクルについて知りたい人、ビジネス用語として学んでおきたい人は、ぜひ参考にしてください。
プロダクトライフサイクル(PLC)とは?
商品やサービスは、市場でずっと同じ状況で売れ続けるわけではありません。 プロダクトライフサイクル(PLC:Product Life Cycle)とは、商品・サービスを市場に投入してから消えゆくまでの過程を4段階、または5段階のサイクル、プロセスで示したものです。
4段階は「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つの段階で考察を行い、5段階では成熟期と衰退期の間に「飽和期」を加えます。
プロダクトライフサイクルの5つのステージ
プロダクトライフサイクルの5つの段階について解説していきます。プロダクトライフサイクルの流れやそれぞれのプロセスの意味について知ることで、基礎的な部分を理解しましょう。
導入期
1つ目の「導入期」は、市場に商品を投入してすぐの段階です。この時期はまだ商品について知らないユーザーが多いため、広告や無料サンプルの配布といった、認知度を高めるための啓蒙活動が重視されます。広告費や人件費がかかる時期ですが商品の売上はまだ少なく、利益もあまり出ません。
成長期
成長期の段階では、商品が市場に浸透しはじめ売上も急上昇してきます。購入した人の口コミでさらに販売数が増え、需要の拡大により生産数が増えます。生産効率も上がってくるので、利益も増えていくでしょう。
一方、商品の認知度が高まることで、他社も商品を開発し参入してくる時期でもあるため、他社製品との差別化を図り、さらに認知拡大などの計画が必要になります。
成熟期
成熟期は商品が市場に認知され、売上や利益が横ばいになってきます。競合他社も増えてきて、顧客の奪い合いが激化、価格競争が起こってくる時期です。
市場の大幅な拡大は見込めなくなってくるため、自社製品のブランド構築、イメージ強化が重要になってきます。
飽和期
飽和期は需要が頭打ちになり、売上は伸び悩み低下してきます。新規顧客よりリピーターによる需要の割合が増えてくるでしょう。リピーターであるユーザーが再度商品を購入する際に他社へ流れないようにする囲い込み戦略が必要になってきます。
ユーザーの声に耳を傾けることも重要で、商品の改良を行うこともあります。
衰退期
プロダクトライフサイクルの最後の段階が衰退期です。この段階では売上も利益も激減していきます。新たな代替品が販売されるなど市場でのニーズも減少し、撤退する競合企業も増えてくるでしょう。
市場に残るには、リピーターを取り込むための商品の改善やリニューアルといった対策が必要になります。
プロダクトライフサイクルを理解する意味は?
プロダクトライフサイクルを理解することで、市場での自社製品の状況を客観視できるようになります。商品投入のタイミングも把握しやすくなるため、売れる時期に売れる商品を市場に投入することが可能になります。
広告費をかける時期、ブランド構築に力を入れるタイミングなども見極められるので、無駄なコストの削減が可能になるでしょう。そのため、利益の増大にもつながります。
プロダクトライフサイクルにあてはまらないケース
プロダクトライフサイクルはマーケティング戦略に役立つフレームワークですが、中にはこの考え方にはあてはまらないケースもあります。
例えば、何十年もの間ずっと売れ続けていて、定番といわれるような商品です。この場合は他社製品との差別化が図れているため、ずっと売れ続けていることが考えられます。
ほかにも、急激に売上を伸ばしブームとなった後、急激に売上が落ちるタイプ、ブームが数年のサイクルで再熱するタイプなども、プロダクトライフサイクルの流れとは違っています。
各プロセスのマーケティング戦略
プロダクトライフサイクルをマーケティングに活かすためには、それぞれの段階に合わせた戦略が重要です。それぞれの戦略についてもみていきましょう。
導入期
商品が市場に出はじめたばかりの段階なので、商品を知らないユーザーも多く存在する時期。市場の商品認知度を上げるための戦略が必要です。
商品を知り興味を抱いてもらう、そして安心して購入してもらうため、広告やサンプル、試供品の配布などを行い周知していきます。
成長期
商品が市場に浸透し売上も急上昇してくる段階で、在庫管理が需要な時期。
他社が競合商品を投入してきたり、消費者が商品知識を深めてきたりするため、他社との差別化や市場のニーズに合わせるなどの戦略も必要になってきます。
成熟期
売上が鈍化してくるこの時期には、競合会社も増えてきます。購買者も商品に慣れてきて真新しさを感じません。
競合商品に打ち勝てるように他社との差別化を図り、他社商品にはない魅力を訴求することが大切です。
飽和期
類似商品も増えてきて、売上が伸び悩んでくる時期。
新規購入する消費者は減少するため、リピーターに満足してもらうための戦略が必要です。ユーザーの声を聞き商品を改良するなどをして、他社へユーザーが流れないようにする対策を行い、可能であればシェアの拡大を狙いつつ、維持するための戦略で顧客をつなぎとめます。
衰退期
売上も利益も縮小し、商品のニーズ自体も減少する段階です。上位にある企業は利益を出し続けることも可能ですが、市場からの撤退を検討する時期でもあります。
市場に残るためには、商品をリニューアルする、リピーターの囲い込みを行うなどが重要な戦略となります。
プロダクトライフサイクルマネジメントとは?
プロダクトライフサイクルマネジメント(PLM:Product Lifecycle Management)とは、プロダクトライフサイクルの理論を用いたマーケティング手法のこと。
製品の企画から設計、生産・製造、販売、出荷、メンテナンス、廃棄・リサイクルといった製品のライフサイクルを一元管理する取り組みです。
プロダクトライフサイクルマネジメント導入のメリット
プロダクトライフサイクルマネジメントを導入するメリットとしてまずあげられるのは、設計や生産など各部門で情報を管理し共有できる点があります。各部門で顧客のニーズを共有したり各部門の製造工程を一元管理したりすることで、製品の品質が向上します。
各ステップの管理により作業効率を向上させ、コスト削減が可能になる点もメリットです。
PLC理論を理解してステップアップしよう
5つの段階の成長パターンであるPLC理論を理解することは、ビジネスにおいてとても重要です。マーケティングにおいて、どの段階にあるのかを見極めることで、今とるべき戦略も立てやすくなるでしょう。
中にはプロダクトライフサイクルにあてはまらない商品もありますが、段階に応じたタイミングを逃さないことは、大きなプラスになるはず。
PLC理論を自分自身の知識として取り入れて、プロダクトライフサイクルマネジメントをうまく導入しながらステップアップしてください。