席次とは、会議や接待などでの座席の順序を指します。ルールを知らないと取引先や上司の機嫌を損ねてしまい、仕事に悪影響を及ぼす可能性も。社会人として知っておきたいビジネスマナーの一つです。
本記事では席次について、会議室や車内などシーン別に解説。席次を考えるにあたり必要となる上座と下座の定義や、例外となるケースなども詳しく紹介します。
席次とは
席次とは「参加者が座る席の順番」のこと。会議や接待などの場に加え、移動の際にも配置を考慮する必要があります。
上座・下座とは
席次は目上の人から順にいい席を選ぶのがマナーです。年齢や肩書きなどを比較して上下関係を判断してください。
立場が最も上の人は、席の中で一番いい席を意味する上座へ案内しましょう。立場が下なら下座を選択します。
上座・下座の基本ルール
上座・下座の判断は、出入り口との距離で決まります。出入り口から一番遠い座席が上座、最も近い座席が下座というのが一般的です。上座は人の出入りが少なく、落ち着いて会話や食事ができるのが特徴。一方、下座は店員さんやお手洗いに行く人などで出入りが盛んなため、ゆっくり落ち着いて過ごすには難しい場所です。
この考え方は基本的にどのような場所でも変わりません。席次に迷ったときは「出入り口から遠くが上座、近くが下座」ということを思い出して、判断してみましょう。
出入り口が複数あるケース
出入り口が2つあるような会議室や個室だと、どう判断すべきか迷ってしまうかもしれません。この場合、人の出入りが多い方の出入り口から遠く、より落ち着ける席を上座としましょう。
例外となるケース
例外的に、入り口から最も遠い席が上座というルールが変わることがあります。それは、室内に窓があり外の景色を眺めながら過ごせる座席がある場合です。
このとき、上座は窓の真正面になります。これは目上の人に外の景色を存分に楽しんでもらうためです。また、室内に絵画が飾られている際も同様に、絵画が一番よく見える座席が上座となります。少しややこしく感じてしまうかもしれませんが、臨機応変に対応できるようにしておきましょう。
会議室における順位の席次マナー
会議室の場合も基本的なルールは変わりません。ただし、応接セットでの席次は上座と下座の位置が変化するので注意しましょう。
なお営業などで企業を訪問したときには、下座に腰を下ろして担当者を待つようにしてください。下座が不明なら立ったまま待ちましょう。
一般的な会議室の席次
中央の机を挟んで椅子が用意されている会議室では、出入り口から最も遠い席が上座です。次いで上座の隣、上座の向かい、出入り口に最も近い下座の順番になります。優先度は地位または役職、次に年齢順で決まります。
議長席を設ける会議室(コの字型)の席次
議長がいる会議においては、出入り口から遠く参加者全員を把握しやすい中央付近に議長席を配置。席次は議長席の右隣を上座とし、2番目が議長席の左隣、3番目が上座の隣と交互に座ります。
議長席を設ける会議室(ロの字型)の席次
議長席は出入り口から一番遠くて参加者全員を把握しやすい中央付近に配置します。上座は議長席を除いて最も出入り口から遠い席となり、机を挟んだ向かいが2番目、上座の隣が3番目です。
応接室の席次
ソファのある応接室においても、出入り口から遠い場所が上座になります。1人掛けのソファよりも2人掛けや3人掛けなどの複数人座れるソファの方が上座にふさわしいとされ、応接室の奥に設置されていることが一般的です。
応接セットの席次
オフィスをパーティションで区切った簡易的な応接セットでは、上座と下座の位置関係が変わることがあります。上座の場所はオフィスを視界に入れながら座れる席。企業を訪問したお客様が座るのが一般的です。下座はオフィスを背にして座る側となり、社内の人間が座ります。
乗り物内における順位の席次マナー
席次マナーは移動中の車内やエレベーター内でも適用されます。基本的なルールは変わらないものの、一部例外的なケースもあるので頭に入れておきましょう。
タクシーの席次
タクシーでは運転席の真後ろが上座となり、次いで助手席の真後ろ、後部座席の中央と続きます。立場が下の人は下座となる助手席に座りましょう。タクシーはドアが多いため、席次のルールである「出入り口から最も遠い場所が上座」で考えると迷うことも。いざというとき適切に案内できるよう、図で覚えておくといいでしょう。
社用車・自家用車(運転手:目上の人)の席次
社用車または自家用車での外出では、上司やお客様が運転手となる場合のみ助手席を上座とします。後部座席は運転席の真後ろ、助手席の真後ろ、中央の順番で着席すれば問題ありません。
社用車・自家用車(運転手:立場が下の人)の席次
役職や年齢が最も下の人が運転を担うのであれば、上座は運転席の真後ろになります。席次はタクシー乗車時と同じなので、あわせて覚えておきましょう。
新幹線・電車の席次
新幹線と電車では、進行方向を向いた状態での窓側の座席が上座です。3列ならば、2番目は通路側の席で、下座は中央の座席になります。ボックス席での席次は、進行方向を向いて座る列の窓際席が上座、進行方向に背を向けて座る列の中央が下座です。
エレベーターの席次
エレベーター内は出入り口から見て左奥が上座で、隣、手前の左、最後の手前右が下座です。ただし下座に立つ人は乗降時に操作盤を扱う必要があるので、操作盤が反対側にあるときは3と4を入れ替えて乗りましょう。
エレベーターに乗る順番についても気になるところですが、これについては立場が下の人が先に乗るべきか否かで意見が分かれるマナーで、どちらが正しいかというのは決められていません。
先に乗るのであれば速やかに操作盤の前に立ち、開くボタンを押しながら目上の人を中に誘導しましょう。先に乗らないのであれば、外でボタンを押しながら目上の人をエレベーター内に誘導し、最後に乗ってください。
接待・会食における順位の席次マナー
取引先との会食でも、相手に失礼のない振る舞いを心がけたいところ。あらかじめ席次マナーを覚えておくと、いざというときも慌てずに対処できます。
床の間が真ん中にある和室の席次
和室に床の間(花や掛け軸などが置かれる場所)があるときは、床の間のすぐ前の席が上座です。それ以降は上座に近い順からいい席となります。
床の間が左右にある和室の席次
床の間が左奥または右奥に位置する和室でも、床の間の目の前に位置する席を上座とします。なおテーブルの向きに応じて隣や正面の人は変わりますが、配置自体は変わりません。
床の間がない和室の席次
床の間がない和室では、「出入り口から一番離れた位置が上座」という通常の席次マナーが適用されます。出入り口と座席の位置関係を確認してから案内してください。
和室によっては庭園が隣接しており、お部屋の中から綺麗な景色が楽しめることも。このようなときは各席からの眺めもチェックし、上座の場所を柔軟に変更することが大切です。
円卓の席次
円卓では出入り口から最も離れた場所を上座とし、左右交互に着席するのがマナー。下座は通常と同じく出入り口に最も近い座席です。
レストランの席次
レストランでの席次も出入り口から離れた座席が上座となります。下記のような席では、次いで上座の左、右の順番です。
カウンターの席次
カウンター席のあるお店でも、出入り口から最も遠い座席を上座とするのが基本です。ただしカウンター内にいる店員さんに話しかけやすい座席を上座とするケースもあります。案内する際に希望の座席を聞くといいでしょう。
席次は身につけておきたいビジネスマナー
席次は立場や肩書きに応じた着席順です。目上の人は入り口から遠く離れた上座で、最も立場が下の人は入り口のすぐ近くに位置する下座を選択するのがマナーとされています。
ただし、入り口の個数や景色の見え方など、ほかの要因で変わることも。例外的なケースがあると覚えるのが大変と感じるかもしれませんが、席次は社会人として身につけておきたいマナーの一つです。ぜひこの機会に覚えてみてはいかがでしょうか。