発売と同時に大流行したゲーム、ポケモンGO。ここに使われているのがビーコンによる位置情報です。ゲームのほか集客ツールとしても大きな注目を集めるビーコンは、スマートフォンの普及により一気に注目が集まっています。
本記事ではビーコンの基本知識についてわかりやすく解説します。マーケティングなどでの活用事例や、似ている通信機器との違い、メリットについても紹介しますので、ビーコンについて理解を深めるのに役立ててください。
ビーコンとは
早速、ビーコンの意味や使用シーン、仕組みなどを見ていきましょう。
ビーコンの意味
ビーコンという言葉には、もともと「のろし、灯台」といった意味があります。通信用語としてのビーコンとは、無線通信のBluetoothを使って情報を送受信するシステムのことです。送受信する端末そのもののこともビーコンと呼びます。
ビーコンの使用シーンは登山やゲーム、カーナビ使用時などさまざま
ビーコンは、例えば以下のようなシーンで用いられています。
- 登山中に雪崩が起きた際の遭難者救助
- 美術館での作品ごとの音声ガイド
- スマートフォンの位置情報を利用するゲーム
- 渋滞や通行止めなどの情報をカーナビへ送信する
- 店舗への集客を効率的に行うツール など
Bluetoothの信号を使用
ビーコンではBluetoothの信号を使います。そのためGPSなどに比べると送受信の範囲は狭いですが、その狭い範囲内で正確に位置を把握し、的確に情報を発信できる点が長けています。ビーコンとGPS、Wi-Fiとの違いについては後ほど解説します。
スマホの普及で注目度が一気に上昇
ビーコンは発信機の他に受信機が必要となります。そのための端末は、例えば登山をするときに持って行ったり、美術館で音声ガイドに申し込むと入り口で渡されたりします。つまり、以前はビーコンからの情報をキャッチするための受信機をわざわざ携帯する必要がありました。
しかしスマートフォンの普及によって一気にビーコンは身近な存在になります。スマートフォンに内蔵されたBluetoothを使い、スマートフォンそのものが受信機の役割を担えるようになったのです。ビーコンからの情報をキャッチするにはアプリのダウンロードが必要ですが、Apple社が開発したiBeaconなど、アプリ不要のものもあります。
スマートフォンの普及によって、スマートフォンを持つ人なら誰でも気軽に、ビーコンのシステムを利用することができるようになったのです。
ビーコンの種類
ビーコンにはさまざまな種類があります。サイズも豊富で、小さいものではボタンサイズのものもあります。またインテリアにもなじむデザインのものや、ソーラー電池タイプ、屋外で使える防水防塵タイプなどもあります。
中でもBLE(Bluetooth Low Energy)対応のビーコンは、消費する電力が少なくボタン電池でも稼働するため、使いやすくコスパがいいとされています。
ビーコンと他の無線通信(GPS、Wi-Fi)との違い
無線通信にはGPSやWi-Fiも一般的ですが、ビーコンはこれらと何が違うのでしょうか。見てみましょう。
GPSとは
GPSは、「Global Positioning System」の略。人工衛星を使って位置情報を収集するシステムのことです。「全地球測位システム」とも呼ばれるように広範囲をカバーすることがでる一方、精度に数十メートルの誤差が生じることもあります。また地下などでは衛星からの信号をキャッチすることができないなどの弱点もあります。
Wi-Fi(無線LAN)とは
Wi-Fiは無線LAN機能のことで、アクセスポイントごとに通信をします。位置情報の精度があまり高くなく、複数のアクセスポイントが近くにあると、お互いに電波が干渉し合ってしまい通信が不安的になってしまうことがあります。
ビーコンは精度の高い位置情報が強み
ビーコンは数センチ~数十メートルと、GPSに比べカバーする範囲は狭いですが、その範囲内で高い精度で位置測定をすることができます。消費電力が少なく、端末が複数あっても干渉しないので、Wi-Fi(無線LAN)よりも通信が安定しています。
マーケティングなど、ビーコンの活用方法
ビーコンは、実際にはどのように活用されているのでしょうか。
店舗への集客・販促ツール
店舗にビーコンを設置しておけば、カバーする範囲内にユーザーが入った際にクーポンやセール情報などを知らせることができます。これはユーザーが持っているスマートフォンにダウンロードされたアプリを介して行われます。つまり、ユーザーは自ら店舗のウェブサイトにアクセスしなくても、自動的に送られてくる店舗からの情報をチェックすることができます。
またビーコンは狭い範囲を正確にカバーすることができるので、店舗に訪れるユーザーがどの道を経由してきたかなどのデータを集めることも可能に。集客パターンが把握できれば、効率的に店舗へ誘導することができるようになるかもしれません。
こうした活用例は、観光地や美術館、展示会などにも導入されています。
落とし物や忘れ物防止
鍵や財布などの貴重品にビーコンを取り付けてスマートフォンと連動させておけば、万が一落としたり忘れたときに通知が来て気付きやすくなります。
見守りツール
子供や高齢者が迷子になってしまうのを防ぐための見守りツールとして、キーホルダー型のビーコンもあります。出掛ける際に身に付けておけば、人混みなどで自分と離れてしまったときに通知が来て知らせてくれます。
在庫管理や従業員の在席管理
倉庫内にビーコンを配置しておけば、どの商品がどの棚に保管されているかなどを把握することができるので、作業の効率化が見込まれます。また、各従業員がビーコンを携帯していれば、誰がどこにいるかをすぐに把握することも可能です。
ビーコンを導入するメリット
ここからは、ビーコンをビジネスシーンに導入した際のメリットを見ていきます。
広告費などを削減できる
前述したように、ビーコンは店舗への集客ツールとして活用されています。店舗の近くにいるユーザーに向けて最新のセール情報やクーポンを届けることができるので、チラシ制作の削減などにつなげることができます。また、ウェブサイトを更新する手間も省けます。
顧客データを収集できる
ビーコンは、ユーザーの来店回数や購買履歴などのデータを蓄積することもできます。ユーザーごとに適した情報をカスタマイズして届けることができるので、効率的に販促活動を行うことができます。
翻訳機能がある
ビーコンのなかには、自動翻訳機能を搭載しているものもあります。日本人だけでなく外国人に向けても気軽に情報を発信することができるのは、大きな強みだといえるでしょう。
ビーコンはスマホで情報を受信できる便利なツール
ビーコンはBluetoothを通して情報をユーザーに届けるシステム、または送受信する端末そのものを指します。スマートフォンが世の中に普及したことで、ビーコンにも急速に注目が集まっています。GPSやWi-Fiに比べると、狭い範囲内で位置情報を正確に捉えられる点が長けています。カーナビに、ゲームに、販売活動に。私たちの身の回りで、ビーコンを活用したビジネスが広く展開されています。