女優の酒井美紀が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、あす28日(通常と異なり13:40~ ※関東ローカル)に放送される『私が守りたいもの~北の大地 牧場一家の12年~』。北海道の小さな牧場・大林ファームで競走馬を育てる家族の12年を追った作品だ。
早朝から深夜まで続く重労働で、休みなく命と向き合う仕事。愛情を注いだ馬の安楽死や、不況による経営難という事態に加え、都会で傷ついた子供たちを癒やすために受け入れる取り組みも行う大林さん一家の姿を見て、酒井は何を感じたのか――。
■馬の安楽死と、預かった子供との別れの場面に…
収録を終えて、「ちょっと感動しながら読んでしまったんですよ。ナレーションがそれじゃいけないと思いながらだったんですけど、優しくていいお話でした」と感想を語る酒井。「命と向き合ってるこの家族が素敵なんですよね。生まれる姿や死んでいく姿を見て、子供たちも命の尊さや家族の大切さを学んでいるんだなと思いました」と感心した。
収録中は全編にわたって涙を堪えていたというが、特に感情を揺さぶられたのは、放牧中に脚を骨折してしまった馬を、やむなく安楽死処分しなければならなくなった場面と、都会から預かっていた不登校の双子との別れの場面。
前者については「馬は脚を1本骨折してしまうと他の脚がどんどん悪くなってしまい、生きていても苦しいんだというのを初めて知りました。競走馬じゃない形でも生かしておけないのかなと思っていたのですが、難しいんですね」と振り返り、「台本を読んだだけでもイメージがブワーッと出てきたんです。台本だけで涙したのは久しぶりでしたね」と明かした。
■いとこを預かった経験――国際NGOの活動につながる
今回登場する大林美和さんは、札幌で生まれ育ち、スローライフに憧れて小さな牧場に嫁いだ。番組では自然豊かな北の大地を映し出しているが、酒井自身も「自然の中で暮らすのは大好きなんです」と共感。
ただ、「私は静岡の山奥で農作物を育てる環境だったのですが、大林さんは生き物と一緒の暮らしをされているので、本当に過酷で覚悟がいることだなと思いました」と想像しつつ、「あれだけ一生懸命、毎日毎日愛情いっぱいに馬を育てたら、家族のようになるじゃないですか。それでもセリで売られるというのは寂しいだろうなと思ってしまうのですが、やっぱりいい競走馬ができて活躍してくれるのが喜びなんでしょうね」と思いを巡らせた。
また、都会で傷つき不登校となった双子のきょうだいを受け入れる姿にも共感し、「実は、私が中学生のときに、いとこがいろいろあって、うちで預かって一緒に暮らした経験があるんです。美和さんは受け入れた最初の頃、(先生に相談するため)毎日学校に行ってたとおっしゃっていましたけど、うちの母もそうでした」と回想。酒井は、途上国の子供たちを支援する国際NGOの親善大使などの活動もしているが、「そういう幼少期の経験の影響が大きいと思いますね」と話した。
■「いろんな温かい気持ちになれる番組」
今回のサブタイトルは「私が守りたいもの」だが、自身の“守りたいもの”を聞いてみると、「子供の幸せを守っていきたいと思いますね」と回答。それだけに、番組の映像を見て母親目線になる場面が多かったようで、「12年を追うと大林さんの子供たちが本当に大きくなっていますが、これからも楽しみですね。彼らがどういうふうに大林ファームで仕事をしていくのか、ぜひ番組で追ってほしいです」と期待する。
その上で、「いろんな温かい気持ちになれる番組です。命と真剣に向き合う人々の素敵さとか、家族や周りの人たちと支え合う姿にとても感動するので、ぜひ見ていただきたいです」と見どころを予告し、「あんなに愛情いっぱいで育てられた馬も子供たちも、幸せだろうなと思いますね」と目を細めていた。
●酒井美紀
1978年生まれ、静岡県出身。91年にデビューし、映画『ひめゆりの塔』『Love Letter』『誘拐』『愛する』などに出演し、ドラマ『白線流し』(フジテレビ)がロングシリーズとなった。20年に不二家のペコちゃん70周年アンバサダーを務めたことをきっかけに、翌21年から同社の社外取締役を務めている。