幕張メッセで11月24~26日の3日間にわたり開催された「第7回 鉄道技術展 2021」にて、JR九州は初の単独出展を行った。業務用アプリなどのシステムを展示し、IT化を進めるJR九州の体制を感じさせるものとなった。

  • JR九州のブースに多くの人が集まった

勤務作成のカテゴリに属するのは3種類。乗務員勤務作成支援システムは、乗務員勤務の計画に必要な各種資格情報と行路情報にもとづいた予定作成・実績管理を就業管理パッケージソフト(TIME-3X)のテンプレートとしてシステム化し、乗務員区所での勤務作成時の作業負担軽減と人為的ミス軽減を目的にしている。

就業管理システム「TIME-3X」は、従業員の勤怠から健康管理まで、働き方改革やニューノーマルにも対応した就業管理システムとなる。「工数入力」「人時生産性」「身上変更」などのオプションで幅広く業務を支援している。

  • 就業管理システムもパソコン上に

  • 業務シフトもクラウドアプリで作成

  • 調整式簡易復旧稼働ブラケット

勤務表の作成もシステム化されている。行路(仕業)・交番割当をもとにして、訓練や年休などで発生する未充当の行路に対して勤務条件を考慮し、乗務員の勤務表をクラウドサービスで作成する。

沿線設備カテゴリは7種類。調整式簡易復旧稼働プラケットは、現地の線路条件に合わせ、架高・種別・Mゲージ・曲線引金具の種別を調整でき、緊急時は条件に合わせて組み替えるだけで取付けが可能だという。踏切しゃ断桿折損防止器(屈折型)は、屈折型の踏切遮断器における先端部折損を防止するために開発された。防護無線制御装置(機器室型)は、脱線などが発生した際に隣接線の列車を防護するために開発された。

  • 建築限界を計測するシステム

  • トンネル検査支援などもアプリに

  • 運転士支援や無線局の管理システム

  • 防御無線制御装置

  • 位相差表示装置

  • 沿線設備カテゴリの主要な展示品

位相差表示装置は、信号用低圧電線の張替えなど施行する際、電源位相差を測定し、誤配線を防止する。建築限界計測システムは、検測車に回転式レーザ測長センサを搭載し、トンネルや乗降場などの構造物までの距離を走行しながら測定する。測定データは記録媒体に収録され、地上システムで軌道設備の情報とリンクし、データを出力する。作業統制Webシステムは、線路内作業の申請承認・作業情報管理をウェブ上で可能にした。橋りょう検査支援アプリとトンネル検査支援アプリは、タブレットを活用して土木構造物の検査の効率化を実現する。

車両・車載装置カテゴリは4種類。車両検査計画最適化システムは、車両の検査時期や作業工程の割当てについて最適な計画をシステムが自動作成し、誰もが高品質な計画を作成できる。運転士支援・時刻表・列車内自動放送アプリ「知らせる君」は、スマートデバイスのGPSで列車位置を取得し、運転士に停車駅接近や徐行区間接近を注意喚起することで、運転士のヒューマンエラーを防止する。運転士の時刻表表示や専用の放送装置を必要としない列車内自動放送も実現している。

  • サイドビューカメラシステム

  • サイドビューカメラ

  • JR九州は今回の鉄道技術展で単独ブース初出展

無線局管理システム「Radius」は、無線局にかかわる情報を統合的に管理し、業務をサポート。サイドビューカメラシステムは、自列車の分割・併合状態を自動で認識し、車体側面のカメラで撮影した自列車の映像を運転台のタブレット端末に表示することで、ワンマン運転時のホーム監視やドア扱いなどの運転支援を行う。Wi-Fiを活用したネットワーク構築で、設備工事も簡素化されている。