幕張メッセで11月26日まで開催された「第7回 鉄道技術展 2021」にて、総合車両製作所はステンレス車両シリーズ「sustina」の新ラインナップ「New sustina basic」を出展。3D映像で紹介され、専用のメガネで迫力の車両動画を見ることができた。
同社ブースで行われたプレゼンテーションにて、「sustina」は共通のプラットフォームによるイニシャルコストの低減をめざすとともに、ユニバーサルデザインにより使いやすく安心で快適な車両にすることをめざしたと説明。実物の車両の外板も展示され、2枚のステンレス板をレーザー溶接でフルフラットにすることで、ラッピングや塗装でも美しい仕上がりが可能になるとのことだった。
「sustina」はステンレス鋼材を示す「SUS」、維持しやすいという意味の「sustainable」、地球を救う女神の意味である「-ina」を組み合わせた造語。車両のコンセプト自体は2013年にスタートし、2015年からのSDGs(持続可能な開発目標)に重なる要素を備えていたと説明する。
新たなラインナップとなる「New sustina basic」については、いままで以上にコスト低減が求められる中、これまでに開発した共通プラットフォームを活用し、設計等をシンプルにするよう努めたという。基本設計部分を拡大し、オプションを選ぶスタイルにしている。その一方で、安全にかかわる部分は標準装備に。車体が大きく壊れないように設計された。
会場では、VRによる座席の種類やドア、運転台部分の選択シミュレーションが行われ、プラットフォームが固定されていながらも、多様なバリエーションを実現することが可能と示されていた。
さらに、異常振動モニタリングソリューションとして2製品が展示されていた。「ツインセンサ型 脱線検知装置(TRAIN SAVER+)」は脱線検知信号によって非常ブレーキを作動させ、脱線による衝突や転覆に至る前に列車を止めることができる。乗務員の気づきにくい中間編成の脱線も検知が可能になる。センサや本体制御ユニットをセパレート配置することもでき、取付位置の制約もない。
「安研型 防護無線自動発報装置」は、乗務員が負傷・意識喪失や平静を失った場合でも、脱線検知信号により防護無線を自動で作動し、2次事故を抑える。おもに先頭車両運転士側の台車の挙動を常時モニタリングし、衝突検知機能も有している。これらの装置はワンマン運転や自動運転の安全をサポートするものとなる。
その他の展示として、低コスト広告ディスプレイ「TRAIN VIEWER+」は既存車両に簡単に取り付けられる一方で、LTE通信を利用しての安価な情報配信もできる。遠隔操作型ボールコック「AIR LEAD」はどんな場所のボールコックでも操作でき、ホームドアを設置した路線において、車両の非常ドアコックハンドルの移設や追加設置も可能になる。