JR東海と新幹線メンテナンス東海は26日、サーモグラフィカメラを活用した「座席濡れ検知装置」を開発し、12月から東海道新幹線で使用開始すると発表した。
東海道新幹線では、東京駅で列車の折返し運転を行う際、車内の点検・整備を短時間で手際よく進めている。1日あたり100本を超える列車の点検・整備を実施し、1編成あたり約1,300席の全座席を1席ずつ確認しているが、座席の濡れは目で判別しにくいため、現在は「濡れ検知機能付ホウキ」を使用し、作業を行っている。
「濡れ検知機能付ホウキ」での確認は中腰での連続した作業となり、整備スタッフの身体的負担になっていた。そこで今回、作業性のさらなる向上を目的に、サーモグラフィカメラを活用した「座席濡れ検知装置」を開発。この装置の導入により、立ち姿勢で装置を座席方向に向けるだけで座席の濡れが検出される。装置の画面と音声により整備スタッフへ通知することが可能になった。
「座席濡れ検知装置」の技術開発に関しては、機械学習技術を活用した画像分析により、座席・座面を自動的に認識する機能を開発。赤外線画像から座面部分の温度を取得し、濡れ箇所を自動的に判定・表示する機能も開発したという。
「座席濡れ検知装置」を導入して作業性が改善されることで、整備スタッフの身体的負担が軽減されるとともに、整備スタッフの習熟度によらず迅速かつ正確な点検が可能になると説明。11月に全スタッフの教育を完了し、12月から全面的に使用開始する予定としている。