葛飾区東金町運動場スポーツクライミングセンターで11月23日、「Top of the Top 2021」が開催された。この日はボルダリング種目の準決勝、決勝が行われ、女子は森秋彩選手が、男子は井上祐二選手がそれぞれ優勝を飾った。
実力者ぞろいの大会
「Top of the Top 2021」は今年度のスポーツクライミング国際大会派遣選手やパリオリンピック強化選手を対象にした特別大会だ。
2020東京オリンピックで初めて競技として採用されたことを契機に、スポーツクライミングの関心も高まったばかり。「スポーツクライミング日本代表選手の頂上決戦」と銘打ったとおり実力者ぞろいの大会となり、大きな注目が集まった。
森秋彩選手が圧倒的な実力で優勝
女子では、パリ五輪の強化選手で茨城県山岳連盟所属の森秋彩選手が圧倒的な実力で優勝を果たした。森選手は全4課題のうち3つの課題で完登。いずれも最初のトライで登り切る「一撃」を成功させ、圧巻のパフォーマンスを見せた。
22日に行われたリード種目でも2位(ただし、悪天候の影響で決勝は不成立。予選の結果で最終順位が決められた)という成績を残した森選手。
フラワーセレモニーでは「素直にすごい嬉しいし、最後の課題ができなかったのは悔しい」とスピーチし、「自分の苦手な動きが多かったので不安だったけど、対応できてよかった。最後は力不足だったこともわかったので、これからのモチベーションにしたい」と語った。
2位には松藤藍夢選手(神奈川県立新羽高校)、3位には倉菜々子選手(愛知県山岳連盟)が続いた。
男子ボルダリング種目は接戦
和やかな雰囲気とは裏腹に、男子ボルダリング種目は接戦の模様を呈した。
第1課題では6人中5人が完登と好スタートを切るも、続く第2課題の完登者はゼロ。最終的には井上選手のみが3完登を達成した。ラストの第4課題では、残り2秒でミッションを達成して優勝を決めた井上。この劇的勝利に観客席も大いに沸いた。
試合後のフラワーセレモニーでは、「まさか優勝するとは思っていなかった」と話し、「準決勝では良いトライができなかったが、決勝では皆さんの後押しもあって楽しく良い登りができた。ありがとうございました」と感謝の言葉を述べた。
第4課題については、「登っているときに完登できる感覚はあった。自分としてはもう少し時間があると思っていたので、(終了のカウントダウンの)音が鳴ったときは焦った」と胸中を明かした。
また、緊急事態宣言が明け、久しぶりの有観客試合になったことについても触れ、「皆さんの応援がないと盛り上がって競技ができない。今後も大会があるので、応援してもらえると励みになる。これからもよろしくお願いします」と訴え、勝利者インタビューを締めくくった。
男子ボルダリング種目では、2位に杉本怜(オリエンタルバイオ)、3位に渡部桂太(住友電装)がそれぞれ2完登で続いた。